退職届を保留にされたら?退職日の確認と会社への伝え直し方

退職届を出したのに「いったん保留にさせてほしい」と言われると、退職できなくなったように感じるかもしれません。しかし、保留と言われただけで退職できなくなるわけではありません。

ただし、あなたが会社に伝えた内容が「辞めたいという相談」だったのか、「合意退職の申込み」だったのか、「確定的な退職の通知(解約の申入れ)」だったのかによって、今の状況と次にやるべきことは変わります。また、契約に期間の定めがあるかどうかでもルールが異なります。

この記事では、まず自分の状況を確認し、必要なら退職の意思を改めて伝え直すまでの手順を順番に整理します。

退職の申し出が保留されている方へ。会社に伝えた日時・内容と希望する退職日を整理して相談しましょう。退職の時期や進め方は、契約内容と個別の事情に応じて確認します。

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退職届を保留にされても退職できる?

書類の名前より、伝えた内容と経緯を確認する

「退職届」「退職願」という表題だけで法的な効果が決まるわけではありません。大切なのは、あなたが実際に何を伝え、会社がどう受け取ったかという内容と経緯です。自分の申し出がどれに当たるかを、まず確認してください。

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種類 内容 会社の承諾
相談 退職を考えていることを伝えただけ 退職の効力は発生していない
合意退職の申込み 退職日を提示し、会社の同意を求めた 会社が承諾するまで退職は確定しない。承諾前なら撤回の余地がある
確定的な退職の通知(解約の申入れ) 退職日を指定し、一方的に契約終了を通知した 無期契約では会社の承諾は不要。通知の到達と退職日までの期間を確認する

表題が「退職願」であっても、文面や伝え方が確定的な意思表示であれば解約の申入れと評価されることがあります。逆に「退職届」と書いてあっても、相談の場で口頭の打診として出しただけであれば、確定通知とは言いにくい場合もあります。迷ったときは、伝えた言葉・文面・状況を振り返り、厚生労働省「確かめよう労働条件」の退職の解説も参考にしてください。

無期契約と有期契約でルールが異なる

「正社員だから無期契約」とは限りません。契約書や労働条件通知書で、契約期間の定めがあるかどうかを確認してください。契約書の記載と実態が違う場合は、雇用契約書と実態が違うときの対応を参考にしてください。

無期契約の場合

確定的な退職の通知(解約の申入れ)が会社に到達すれば、民法627条により原則として2週間の予告期間を置いて契約を終了できます。会社の承諾は必要ありません。ただし、それより先の日を退職日として通知した場合、その日より前に自動で退職するわけではありません。また、就業規則に「1か月前までに届け出ること」などの定めがある場合もあります。就業規則の手続も確認し、可能な範囲で引継ぎを調整しましょう。一方で、就業規則に長い予告期間や会社の許可が書かれているだけで、無期限に退職を止められるわけではありません。日程の主張が食い違う場合は、規則と通知の記録を相談先に見せて確認してください。

有期契約の場合

期間の定めがある契約では、原則として契約期間中の退職には会社との合意か、やむを得ない事由が必要です(民法628条)。

ただし、労働基準法附則137条により、1回の契約期間が1年を超える契約を締結した労働者は、その契約の初日から1年を経過した日以後であれば、会社に申し出ることでいつでも退職できます。「勤続年数が通算1年以上なら誰でも対象」ではない点に注意してください。また、次の契約には137条は適用されません。

  • 一定の事業の完了に必要な期間を定める契約
  • 一定の高度な専門的知識等を有する労働者がその専門業務に就くための契約
  • 満60歳以上の労働者との契約

自分の契約がどれに該当するか判断がつかない場合は、契約書を手元に用意したうえで相談窓口に確認するのが確実です。

最初の申し出と退職日を4項目で確認する

伝えた内容・到達日・通知した退職日・延期の合意を記録する

退職届を保留にされたあと、次の行動を決めるためには、最初の申し出がどういう状態にあるかを整理する必要があります。以下の4項目を確認してください。

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確認項目 確認のポイント
伝えた内容 相談・合意退職の申込み・確定的な退職通知のどれか(前章の表を参照)
到達日 メールの送信日や書面の発送日ではなく、会社側に通知が到達した日が基準になる。手渡し・郵送の記録や受領者を確認する。送った時刻と、会社が内容を確認できる状態になった時点を混同しない
通知した退職日 具体的な日付を伝えたか。「なるべく早く」など曖昧な表現だけだったか
延期への合意 保留と言われた際に「わかりました、待ちます」など、退職日の延期に自分から同意したか。上司が「保留にする」と一方的に言っただけでは、あなたが延期に同意したことにはならない

この4項目を書き出しておくと、次に何をすべきかが見えてきます。

再確認でよい場合と、新たな通知が必要な場合

無期契約で、最初の通知が必要な期間を確保した有効な解約の申入れとして会社に到達し、その後に撤回や退職日の変更をしていない場合は、まず元の通知内容と退職日を確認します。会社には「○月○日付での退職の意思に変わりはない」と伝え、受領状況と手続の担当者を確認しましょう。すでに有効な通知があるのを確認するだけなので、この確認によって自動的に新たな2週間が始まるわけではありません。

一方、最初の申し出が相談にとどまっていた場合は、これから確定した退職の意思を通知することになります。無期契約なら原則2週間の予告期間を踏まえ、到達の見込みから余裕を持って退職日を設定します。退職日を書いていなかった、文面が曖昧だったという場合は、それだけで元の通知が無効と決めつけず、内容と経緯を相談先に確認してください。元の通知の確認なのか、新しい通知なのかを曖昧にしたまま日付を書き換えないことが大切です。

具体例で考える

無期契約で、以下の通知が有効に到達し、撤回や日付変更もない例です。9月1日に上司へ「退職を考えている」と相談だけした場合、この時点では確定通知ではありません。その後、9月8日に「10月1日付で退職します」という確定的な通知が会社に到達したとします。9月15日に上司から「保留にしたい」と言われたが、あなたは延期に同意しなかった場合、9月8日の通知は有効なままです。同じ内容を9月15日に再確認しても、退職日は10月1日のままであり、9月22日や9月29日に自動的にずれるものではありません。

ただし、個別の事情によって判断が変わる可能性はありますので、不安がある場合は相談窓口の利用も検討してください。

会社の返答別に、退職の意思を伝え直す

「上司が預かる・人事に回していない」と言われた場合

退職届を直属の上司に渡したものの、上司が手元に留めていて人事部門に届いていないケースがあります。

まず、就業規則や社内規程で退職届の提出先・提出手続を確認してください。宛先が「会社」や「人事部長」になっている場合、上司に渡しただけで会社への到達が認められるかどうかは、上司の権限や社内の手続によります。上司に渡せば常に会社に到達したと断定はできません。

確実に届けるために、退職届の控え(コピー)を添えて人事部門や会社の正式な窓口にも直接提出してください。メールで送る場合は、送信日時と内容が記録に残ります。

「後任が決まるまで待ってほしい」と言われた場合

無期契約で、すでに有効な退職の通知を出している前提で考えます。後任の採用や引継ぎ先の決定は会社側の事情であり、それを理由にあなたの退職が無期限に延びるわけではありません。

ただし、円満に退職するために一定の引継ぎ期間を設けること自体は、あなたにとってもメリットがある場合があります。対応のポイントは次のとおりです。

  • 期限の決まっていない延期に安易に同意しない。「○月○日までなら調整できます」と、自分から具体的な期限を示す
  • 引継ぎ資料の作成やスケジュールの提案は、退職日の延期とは別の話として進める
  • 延期に合意する場合は、新しい退職日を書面やメールで双方確認する

返事がない場合

退職届を提出したのに、会社から何の返答もないことがあります。返事がないことを「承認された」と解釈するのは危険です。受領されたかどうか、退職の手続が進んでいるかどうかを、自分から確認してください。

「○月○日までにご回答をお願いします」と、自分で回答期限を設定して連絡するのが実務的です。この期限はあくまで連絡上の目安であり、法律で定められた期限ではありません。期限までに返答がなければ、改めて書面やメールで意思を伝え、到達の記録を残す対応に進みます。

連絡文の例

以下はあくまで参考です。日付や内容は、自分の事実に合わせて書き換えてください。

○月○日に○月○日付で退職する旨を通知いたしましたが、退職の意思に変わりはございません。退職届の受領状況と、退職に関する手続のご担当窓口をご確認いただけますでしょうか。

私は、○年○月○日をもって退職します。本書面により、労働契約の解約を申し入れます。受領状況と退職手続の担当窓口について、ご連絡をお願いいたします。

1つ目は、すでに出した通知が有効な場合に、受領と手続を確認する例です。2つ目は、これまで相談しかしていなかった無期契約の方が、改めて確定的な通知を出す例です。到達日から退職日までの期間は、民法627条の2週間以上を確保し、就業規則の定めも確認して設定してください。「即日退職」の汎用テンプレートとして使うものではありません。

退職の申し出が保留されている方へ。会社に伝えた日時・内容と希望する退職日を整理して相談しましょう。退職の時期や進め方は、契約内容と個別の事情に応じて確認します。

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受け取ってもらえないときは内容と到達を記録する

メール・書面の控えと会社の応答を保存する

退職届を受け取ってもらえない場合は、通知の内容と、いつ届けたか(届けようとしたか)の記録が重要になります。

  • メールで送った場合は、送信済みメールを保存する
  • 書面を手渡ししようとして拒否された場合は、日時・場所・相手の発言をメモしておく
  • 会社からの返答(メール、口頭でのやり取り)も記録に残す

記録を残す目的は、あとから「いつ・何を伝えたか」を確認できるようにするためです。ただし、会社の機密資料や業務データを持ち出すこととは区別してください。あくまで自分の退職に関する通知・やり取りの記録を保存するものです。

内容証明と配達証明の役割を分ける

郵便で退職届を送る場合、内容証明郵便と配達証明はそれぞれ証明するものが違います。

内容証明郵便は、いつ・誰から・誰あてに・どのような内容の文書を差し出したかを日本郵便が証明するサービスです。文書の内容が真実かどうかを証明するものではありません。

配達証明は、郵便物が配達された事実を証明するサービスです。内容証明郵便に配達証明をつけることで、「この内容の文書が、この日に届いた」ということの証拠になります。

注意点として、内容証明郵便を送っただけでは到達が証明されるわけではありません。配達証明をつけていない場合は、追跡情報や会社の応答など、到達を示す記録も確認します。配達証明も、誰が実際に受け取ったかまで証明するものではありません。また、「発送してから2週間で退職が成立する」のではなく、到達日が起算点です。

受取拒否や保管期間の経過などで届かなかった場合に到達が認められるかは、個別の事情によって異なります。この場合は記録を保持したうえで、専門家や相談窓口に確認してください。

退職日までの出勤・引継ぎと相談先を整理する

最終出勤日と退職日は別に確認する

退職日は契約が終了する日です。最終出勤日は、実際に最後に出勤する日です。有給休暇を取得する場合、最終出勤日と退職日が異なることがあります。

  • 有給休暇:残日数を確認し、取得する場合は就業規則に沿って申請してください
  • 体調の悪化:出勤が難しい場合は、無断欠勤ではなく、休暇の相談と医療機関の受診を検討してください
  • 引継ぎ:業務内容・進行中の案件・関係者の連絡先などを整理し、後任者や上司に共有します
  • 貸与品の返却:PC・社員証・制服など、会社から借りているものの返却方法と期限を確認してください
  • 退職後に必要な書類:離職票・源泉徴収票・健康保険資格喪失証明書など、退職後に届く書類の送付先を会社に伝えておきます

話が進まない・請求や脅しがあるときの相談先

退職の手続が一向に進まない場合や、「損害賠償を請求する」「懲戒処分にする」などと言われた場合は、一人で抱えず外部に相談してください。

  • 総合労働相談コーナー:厚生労働省が全国に設置している無料の相談窓口です。予約不要で、退職トラブルを含むあらゆる労働問題について相談できます
  • 労働基準監督署:賃金の未払いや違法な労働条件など、労働基準法違反が疑われる場合に対応します。退職そのものの民事的な紛争の判断は管轄外です
  • 弁護士:民事上の紛争の判断や、会社との交渉が必要な場合は弁護士への相談を検討してください。請求や処分の予告がある場合は、その文書や発言の記録を持参してください
  • 退職代行サービス:本人に代わって退職の意思を会社に伝えるサービスです。利用を検討する場合は、伝達のみか交渉まで対応するのか、対応範囲と料金を契約前に確認してください。「即日確実に解決する」「損害賠償は絶対にゼロになる」といった断言をしているサービスには注意が必要です

退職届を保留にされたときのよくある質問

口頭で伝えただけでも退職できますか?

口頭でも、内容と経緯によって有効な退職の意思表示になり得ます。ただ「辞めようか考えている」と相談しただけの場合とは区別が必要です。ただし、口頭だけでは「いつ・何を伝えたか」の証拠が残りにくく、会社側が「聞いていない」と主張した場合に争いになりやすいです。口頭で伝えたあと、改めてメールや書面でも同じ内容を通知し、記録を残しておくことをおすすめします。

保留されて2週間たてば出勤しなくてよいですか?

保留と言われた日から2週間、という数え方では判断できません。無期契約で有効な解約通知が会社に到達したか、通知した退職日はいつか、日付変更への合意がないかを確認してください。2週間より先の日を退職日として通知した場合、その前に自動で退職するわけではありません。相談や合意退職の申込みにとどまる場合や、有期契約の場合も扱いが異なります。退職日と休暇の扱いが確認できないまま出勤をやめないようにしましょう。

一度「待ちます」と言った場合はどうなりますか?

その言葉を伝えた文脈や前後のやり取りから、延期に同意したと評価される可能性があります。何を、いつまで待つと合意したのかを書面やメッセージで確認してください。延期に合意していれば、元の退職日に自動的に戻るとは限りません。新しい退職日の調整や通知が必要かどうかは、契約期間と合意内容を踏まえて相談先に確認しましょう。

退職届を保留にされたら、まず自分が伝えた内容と経緯を確認し、今の通知が有効かどうかを整理してください。有効な通知があれば退職日を改めて確認し、これから通知する場合は契約期間と必要な予告期間を踏まえて進めましょう。一人で判断が難しい場合は、総合労働相談コーナーなどの窓口に記録を持って相談することで、次の一歩が具体的になります。

退職の申し出が保留されている方へ。会社に伝えた日時・内容と希望する退職日を整理して相談しましょう。退職の時期や進め方は、契約内容と個別の事情に応じて確認します。

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