無断欠勤のまま辞めたい…退職代行との違いとリスクを弁護士視点で解説
目次
「もう行けない」と感じたとき、無断欠勤という選択
朝になると動悸がして出社できない、上司からの連絡を見るだけで吐き気がする、家族にも相談できず数日が過ぎてしまった。こうした状態は珍しいことではありません。無断欠勤が続いている方の中には、単に連絡を怠っているのではなく、心身が限界に近い状態で連絡そのものができなくなっている方もいます。
ただし、無断欠勤と退職は同じではありません。会社に行っていなくても、退職の意思が正式に伝わっていなければ、法律上は在籍している状態が続きます。期間の定めのない雇用契約では、労働者側から解約の申入れを行い、原則として2週間で雇用が終了する考え方が基本です。そのため、何も伝えないまま欠勤だけが続く状態は、”辞めたことになっている”とは言えません。
無断欠勤のまま放置すると、会社から電話やメールが大量に来る、自宅訪問を受ける、緊急連絡先に連絡が入るなど、精神的な負担がさらに大きくなることがあります。”もう行けない”と感じた時点で、バックレるか我慢するかの二択で考えないことが大切です。
— 実際のLINE相談をもとに匿名化・要約した表現
無断欠勤を続けるとどうなるか(リスク整理)
無断欠勤が続くと、まず問題になりやすいのが懲戒処分のリスクです。もっとも、会社が懲戒解雇を行うには、就業規則に懲戒の根拠や事由が定められていること、そして処分が客観的に合理的で社会通念上相当といえることが求められます。無断欠勤があっただけで直ちに懲戒解雇が有効になるとは限りませんが、放置期間が長くなるほど会社側に処分の口実を与えやすくなります。
次に気になるのが損害賠償リスクです。実際には、損害賠償が認められるには会社側が具体的な損害と因果関係を立証する必要があり、単なる退職や欠勤だけで広く認められるケースは多くないと考えられています。また、労働基準法16条では、あらかじめ違約金や損害賠償額を定めることが禁止されています。
さらに、無断欠勤のままだと離職票、源泉徴収票、雇用保険被保険者証など、退職後に必要になる実務が滞りやすくなります。
| リスク | 無断欠勤(バックレ) | 退職代行を使った退職 |
|---|---|---|
| 懲戒解雇リスク | 高い | 低くしやすい(正式な退職手続きへ移行) |
| 損害賠償リスク | ゼロではない | 極めて低いと考えられることが多い |
| 連絡・訪問されるリスク | 高い | 窓口一本化で下げやすい |
| 離職票の受け取り | 滞りやすい | 郵送で進めやすい |
退職代行は「連絡できない状態」でも使えるか
退職代行は、会社へ自分で連絡することが難しい状態の方でも利用しやすい仕組みになっていることが多く、相談から依頼までLINEやメールで進められる場合があります。電話が苦手な方でも、文章のやり取りだけで状況を説明しやすい点は大きな特徴です。
また、依頼後は本人に代わって退職の意思を会社へ伝えるため、自分で上司に電話して辞めると言う負担は減らしやすくなります。無断欠勤中であっても、そこから正式な退職手続きに切り替えることは可能です。
もっとも、退職代行には種類があり、どこまで対応できるかは同じではありません。単に退職意思を伝えるだけで足りるのか、有給休暇の取得希望や未払い賃金、会社からの強い反発への対応まで想定するのかで、選ぶべき窓口は変わります。
無断欠勤中に退職代行を使う手順
欠勤日数・会社からの連絡状況・体調を共有します。現状をそのまま伝えるだけで大丈夫です。
対応範囲(有給消化・未払い賃金等)を確認してから依頼します。
業者が会社に退職の意思、今後の連絡先、貸与物返却方法を伝えます。
本人への直接連絡が減り、着信やメッセージに追い詰められる状況が和らぎます。
保険証返却なども郵送で処理でき、会社と顔を合わせる必要がありません。
— 実際のLINE相談をもとに匿名化・要約した表現
新卒・入社直後の無断欠勤は特に早めに動くべき
2025年4月、新入社員が入社初日〜3日で退職代行を使うケースが急増しています。「思っていた職場と違った」「体が拒否反応を起こした」という方が、連絡もできないまま無断欠勤状態になるケースも少なくありません。
入社直後であっても、退職の権利は変わりません。むしろ在籍日数が短いほど、早めに正式な手続きへ切り替えることが重要です。無断欠勤のまま放置すると、短期間でも懲戒扱いになる可能性があるほか、給与の精算や書類受け取りが複雑になりやすいためです。
「入社して数日しか経っていないから退職代行は大げさでは」と思う方もいますが、心身が限界の状態で我慢するより、正規の手段を早めに使うほうが後のトラブルを小さくできます。
「損害賠償される」は本当か?
無断欠勤や突然の退職をめぐって、会社から「損害賠償になる」「訴える」と強く言われることがあります。ただ、実際に裁判で損害賠償が認められるには、会社側が具体的な損害の内容、金額、その損害が当該労働者の行為によって生じたことを示す必要があります。一般的な欠員対応や引き継ぎ負担といった抽象的な事情だけでは、広く認められにくい傾向があります。
また、雇用契約に「無断欠勤したら違約金○万円」のような定めがあっても、そのまま有効とは限りません。労働基準法16条は、使用者が労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定したりすることを禁止しています。
不安が強い場合は、会社からのメッセージや書面を保存したうえで、法的対応が可能な窓口に確認するのが安全です。
よくある質問(FAQ)
無断欠勤が続いてしまったとしても、そのまま放置するしかないわけではありません。バックレはその瞬間の負担を減らすように見えても、連絡・書類・処分・生活再建の面で不利になりやすいことがあります。出社や電話が難しい状態でも、退職の意思を正式に伝える方法はあります。今の状態を悪化させないためにも、できるだけ早く「放置」から「手続き」へ切り替える視点が大切です。





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