新卒が退職代行を使うのはアリ?入社直後に辞めたい方への完全ガイド

新卒が退職代行を使うのはアリ?入社直後に辞めたい方への完全ガイド

入社してすぐに「もう無理かもしれない」と感じても、その気持ちをすぐに言葉にできるとは限りません。求人票と実際の仕事内容が違ったり、聞いていた勤務条件と現場が食い違っていたりすると、心身が動かなくなることもあります。新卒で退職代行を使うのは特別なことではなく、状況を整理して安全に退職を進めるための手段の一つです。本稿では、法律上の考え方、注意点、使い方、退職後のキャリアまで実務的に整理します。

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新卒が入社直後に退職代行を使うケースが急増している

2025年春は、入社直後の退職代行利用が目立った時期として各所で取り上げられました。報道ベースでは、ある退職代行事業者における2025年度新卒利用者数が4月に前年同月比で約2倍だったと紹介されています。業界全体の公的統計ではありませんが、入社初日から数日で相談する新卒が増えている実態を示す材料の一つです。

背景として大きいのは、本人の我慢不足というより、採用時の説明と実態のずれです。賃金、労働時間、配属、休日数などの重要な条件は本来明示されるべきですが、入社後に「聞いていた話と違う」と感じるケースは少なくありません。

そのため、新卒の早期退職を一律に「甘え」と片づけるのは適切ではありません。採用ミスマッチや職場の説明不足が背景にあることも多く、まずは自分を責めるより、契約時の説明と現実にどの程度ずれがあるのかを整理することが大切です。

「入社2日目に退職代行を使いました。求人と全然違って、朝になると体が動かなかったです。自分が弱いだけだと思っていましたが、条件の違いを書き出したら、無理を続ける理由が見つかりませんでした」
— 実際のLINE相談より(匿名化済み・フィクション)

新卒でも退職代行は使える?法律上の整理

新卒であっても、期間の定めのない雇用契約であれば、民法627条の考え方が基本になります。一般には、期間を定めない雇用では、各当事者はいつでも解約の申入れができ、原則として申入れから2週間で雇用が終了すると整理されています。

民法627条(期間の定めのない雇用)
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。

この考え方は、新卒だから適用されないというものではありません。入社初日、入社数日、研修中、試用期間中であっても、期間の定めのない雇用契約で働いているなら、原則として退職の申入れ自体は可能と考えられます。「試用期間中は辞められない」という説明は、一般論としては正確ではありません。

もっとも、今日連絡したから今日で法的に完全終了という意味ではありません。実務では、退職代行を通じて以後の連絡窓口を一本化し、退職日の扱い、貸与物の返却、給与精算などを整理していく流れになります。

新卒が退職代行を使うときの注意点4つ

新卒の退職代行では、感情面より先に実務面を押さえておくとトラブルを減らしやすくなります。特に次の4点は事前に確認しておきたいポイントです。

注意点 内容
研修費用の返還請求 会社から「研修費を払ってほしい」と言われることがあります。ただし、労働基準法16条は、契約不履行に対する違約金や賠償予定を禁じています。個別事情によって判断は分かれますが、退職だけを理由に一律返還を求める条項は慎重に確認すべきです。
給料の精算 働いた分の賃金は精算対象です。月途中退職では就業規則に沿って日割り計算になることがあります。未払いが疑われる場合は、出勤日や労働時間の記録を残しておくと役立ちます。
内定辞退との混同 入社前の辞退と、入社後の退職は別です。すでに就労を開始しているなら、一般には「内定辞退」ではなく「退職」として整理されます。会社の説明が混ざっていないか確認が必要です。
健康保険・年金の手続き 退職後しばらく次の会社に入らない場合、国民健康保険や任意継続、国民年金への切替えなどの手続きが必要になる場合があります。退職後に放置しないことが大切です。

研修費用については、会社が実際に立て替えた実費や、資格取得に関する特別な合意が問題になることはあります。ただし、「数日で辞めたから一律○万円」という形は争点になりやすい部分です。請求書や誓約書が届いた場合は、その場で自己判断せず、専門家への相談を推奨します。

給与についても、「もう来ないなら払わない」という扱いが当然に認められるわけではありません。制服、社員証、パソコンなどの返却物は、追跡可能な方法で返す準備をしておくとやり取りがスムーズです。

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新卒が退職代行を選ぶ理由と使い方

新卒の退職代行利用が増えているのは、「自分で言えば済む話」と分かっていても、それができない事情があるからです。入社直後はまだ社内の人間関係ができておらず、直属上司に退職を伝えるだけでも大きな心理的負担になります。家族に心配をかけたくなくて親にも言えず、結果として出社できないまま時間だけが過ぎるケースもあります。

退職代行を使う流れは、一般的にはシンプルです。まず、LINEやフォームで勤務先情報、雇用形態、入社日、今の状況を共有します。その後、退職の意思表示、会社から本人への直接連絡を控えてほしい旨、貸与物の返却方法、必要書類の送付先などを整理して進めていきます。

とくに新卒で注意したいのは、会社側から「研修費」「損害賠償」「無断欠勤扱い」などの言葉が出て不安になりやすい点です。そうした交渉や法的論点が絡む可能性がある場合は、弁護士型の窓口を選ぶ意義があります。退職意思の伝達だけでなく、未払い賃金や請求書対応など、法律判断が必要な場面に進む可能性があるためです。

「親にも言えないまま5日間行けませんでした。会社からの着信を見るだけで吐き気がして、連絡できないまま固まっていました。退職代行に相談したら、翌日から会社との窓口が切り替わって、やっと寝られました」
— 実際のLINE相談より(匿名化済み・フィクション)

使い方のコツは、感情だけでなく事実をメモしておくことです。たとえば「求人票では土日休みだったが、実際はシフト制だった」「固定残業代の説明がなかった」「研修内容と現場配属後の業務が大きく違った」など、時系列で整理しておくと相談が進めやすくなります。

退職後のキャリアへの影響は?

「新卒で数日や数週間で辞めたら、もう転職できないのでは」と不安になる方は少なくありません。ただ、厚生労働省が公表したデータでは、大学卒就職者の3年以内離職率は3割を超えて推移しています。早期離職自体は珍しい現象ではありません。

もちろん、早期離職がまったく影響しないとは言い切れません。応募先から退職理由を聞かれる可能性はあります。ただし、短期離職の事実だけで一律に不採用になるわけでもありません。第二新卒採用では、スキル完成度よりも、基礎的なコミュニケーション力や今後の伸びしろを見る採用もあります。

履歴書や面接では、前職の在籍期間が短いことを過度にごまかさず、事実ベースで簡潔に説明するのが無難です。たとえば、「入社後に労働条件や業務内容の相違が判明し、継続が難しいと判断した」「体調面に支障が出る前に環境を見直した」といった形で、感情より経緯を中心に整理すると伝わりやすくなります。

よくある質問(FAQ)

Q入社初日に退職代行を使っても問題ありませんか?
A入社初日であっても、すでに雇用契約のもとで就労が始まっているなら、退職の申入れをすること自体は可能と考えられます。実務上は、出社停止のタイミング、貸与物の返却、会社からの連絡窓口などを整理する必要があるため、手順を整えて進めることが大切です。
Q研修中に退職代行を使うと、研修費用を請求されますか?
A請求されると言われるケースはありますが、請求がそのまま認められるとは限りません。違約金や賠償予定を禁じる労働基準法16条との関係が問題になるためです。もっとも、実費負担や個別契約が争点になる場合もあるので、書面が届いたら内容確認を優先した方が安全です。
Q新卒で短期離職すると転職は難しくなりますか?
A不利になる場面が全くないとは言えませんが、短期離職だけで可能性が閉ざされるわけでもありません。採用側は、短期間で辞めた事実だけでなく、その理由をどう整理しているか、次に何を重視して職場選びをするかも見ています。
Q親に報告する前に退職代行を使っても大丈夫ですか?
A法的には、親への報告が先でなければならないという一般的なルールは確認できません。実際には、先に退職手続きを進めた方が心身の負担が軽くなる方もいます。一方で、生活費や保険の切替えなどで家族の支援が必要になることもあるため、落ち着いた段階で共有する方が現実的なケースもあります。
Q新卒で退職代行を使うことは「甘え」ですか?
Aそう言い切ることはできません。採用時に明示されるべき労働条件と実態が食い違っていたり、強い不安や体調不良で自分では連絡できない状況になったりすることはあります。その場合、退職代行は無責任な手段というより、手続きを安全に進めるための方法の一つです。

まとめ

  • 新卒で退職代行を使うことは、特別な逃げ道ではなく採用ミスマッチに対処するための現実的な選択肢
  • 入社初日・研修中・試用期間中でも、期間の定めのない雇用なら退職の申入れは原則可能(民法627条)
  • 研修費用・給与精算・健康保険の手続きは事前に把握しておくとトラブルを減らしやすい
  • 会社から法的な請求が予想される場合は弁護士型を選ぶことを推奨
  • 短期離職は珍しくなく(3年以内離職率3割超)、第二新卒としてのキャリアは続けられる

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  • 参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」
  • 参考:厚生労働省「採用時に明示しなければならない労働条件に関するFAQ」
  • 参考:e-Gov法令検索「民法」「労働基準法」
  • 参考:日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」

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