新卒でも退職代行は利用できます。入社1日目、研修中、試用期間中という理由だけで利用できなくなるわけではありません。ただし、代行への相談・会社への連絡・退職の成立は別であり、依頼した翌日から自動的に休める制度ではありません。
入社直後は、有休がまだない、初回給与が入っていない、寮を出る準備が必要など、勤続年数の長い人と違う確認が必要です。この記事では「自分は誰に何を頼むか」「明日からどうするか」を、文面と手順で整理します。
- 明日の出勤が難しい:有休がないときの連絡
- 代行に何を頼めるか知りたい:依頼先と費用の確認表
- 研修費を請求された:請求への確認文
- 退職後のお金が不安:生活費・給付・保険の確認
契約内容・希望日・会社とのやり取りを整理してご相談ください。依頼前に対応範囲と費用をご確認ください。
新卒で退職代行を使うかは、困っていることから決める
「新卒なのに使ってよいか」より、退職する意思が固まっているか、会社へ安全に伝えられるか、交渉や法律上の問題があるかを見ます。全員が代行を使う必要はありませんし、自分で一度伝えないと相談できないわけでもありません。
| 現在の状況 | まず進めること | 次の選択肢 |
|---|---|---|
| 辞めるか迷っている | 仕事内容・指導体制・体調のどこに困っているか整理 | 人事への調整相談、休職制度の確認、就職相談 |
| 辞める意思があり、上司や人事と話せる | 契約と希望退職日を確認 | 面談・メール等で自分から伝える |
| 威圧が強く、直接伝えるのが難しい | 言われた内容・日時を記録 | 代行や労働相談窓口を利用 |
| 退職拒否、費用請求、未払いで争いがある | 契約・請求書・やり取りを保存 | 交渉や法律相談に対応できる依頼先を検討 |
| 体調が悪く勤務できない | 受診・休む連絡を優先 | 退職以外の休養方法も含めて相談 |
配属や指導の変更を試したいなら「誰に、何を、いつまでに変えてほしいか」を伝えます。たとえば「質問の担当者が決まらず作業が止まるため、今週中に相談相手と確認時間を決めてほしい」と具体化します。改善の回答がない、相談で威圧される場合は、同じ相手とのやり取りを繰り返さず別の窓口へ進みましょう。
休職制度が入社直後でも使えるかは会社によって異なります。体調の判断を「甘えかどうか」で決めず、眠れない・食事が取れないなど生活に支障があるなら医療機関に相談してください。
試用期間でも、退職日は雇用契約を見て確認する
雇用契約書や労働条件通知書で「契約期間」を探します。「正社員」「試用期間3か月」という名称だけで、無期雇用か有期雇用かを決めつけないことが大切です。
- 期間の定めがない雇用:労働者の辞職は、民法上、原則として申し入れから2週間で効力が生じます。会社の退職手続きも確認します。
- 期間の定めがある雇用:途中退職は合意や、やむを得ない事由などを検討します。「新卒だから」「試用期間だから」だけで2週間のルールにはなりません。
- 契約が分からない:人事に適用する契約書の控えと期間を照会し、資料を相談先に見せます。
会社との合意で早い退職日になる場合はありますが、希望だけで即日成立するわけではありません。求人の説明と実際の条件が違う場合も、募集時の説明と契約時に明示された条件を分けて確認します。詳しくは雇用契約書と違うときの確認・退職条件、有期の方は契約社員の途中退職へ。
根拠:大阪労働局・退職に関するQ&A。
有休がない新卒が、明日から出勤できないとき
法定の年次有給休暇は、原則として6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に発生します。会社が入社時に前倒しで付与していることもあるため、まず自分の付与日・残日数を確認してください。
有休がなければ、欠勤や会社独自の休暇、早期の合意退職などを検討します。欠勤は給与が減ることがあり、連絡をしなければ会社が安否確認をする場合もあります。退職代行に送信しただけで会社への欠勤連絡が済んだと考えないでください。
体調不良で自分から休む連絡をする文例
体調不良で本日の勤務が難しいため、欠勤をご連絡します。 今後の勤務については受診等を踏まえ、○日までに改めて連絡します。 電話での対応が難しいため、当面はメールでご連絡いただけますでしょうか。
体調不良ではない場合に、この理由を作って使う必要はありません。実際の事情と休む希望を伝え、勤怠の扱いを確認します。会社所定の連絡先へ始業前を目安に連絡し、難しい場合は可能になり次第伝えましょう。
代行へ頼む前に確認する4点
- 会社へ連絡する日時と、担当者につながらなかった場合の次の連絡方法。
- 退職希望日と、出社できない最初の日。両方を別々に伝える。
- 有休がない期間をどう申し入れるか、欠勤分の給与がどうなるか。
- 会社への連絡が終わったことを、いつ・どの方法で報告してもらうか。
返信がないまま始業時刻を迎える場合は、依頼先の別窓口・緊急連絡先にも確認します。それでも不明なら「会社への連絡は未確認」と記録してください。本人が連絡できる状態なら、会社所定の窓口へ欠勤等の勤務連絡だけを行い、送った内容を依頼先にも共有します。その場で退職条件や費用請求への同意まで約束する必要はありません。
本人からの連絡が難しい場合は、家族など信頼できる人に勤務連絡の補助を頼めるか検討します。補助を頼める人もいない場合は、その状況を依頼先に残し、体調と安全を優先してください。返答を待つために受診を遅らせる必要はありません。
根拠:厚生労働省・年次有給休暇。
依頼先は「連絡だけか、交渉が必要か」で選ぶ
| 依頼先 | 確認する対応範囲 | 新卒が聞くこと |
|---|---|---|
| 民間の代行業者 | 本人の退職意思の伝達等。法的な代理交渉はできない | 退職日や金銭で会社が反対したら、誰が対応するか |
| 労働組合 | 適法な団体交渉の範囲での対応 | 加入先・交渉主体・組合費。訴訟や個別の法的紛争まで同じ範囲と考えない |
| 弁護士・法律事務所 | 退職交渉、請求への法的判断・代理対応等 | 研修費請求、未払い請求、裁判対応が契約料金に含まれるか |
「弁護士監修」と書いてあるだけでは、その弁護士があなたの代理人になるとは限りません。契約先と、実際に会社と交渉する人を確認してください。根拠:東京弁護士会・退職代行サービスと弁護士法違反、厚生労働省・労働組合。
料金は名称だけで比較せず、同じ条件で見積もりを取ります。税込総額、追加費用、組合費、後払い手数料と期限、キャンセル・返金条件、対応が終わる時点の6項目を確認しましょう。後払いは無料ではなく、退職後も支払いが必要です。生活費を残せるかも計算します。
新卒で○月○日に入社しました。契約期間は○○、有休は○日/未確認です。 ○月○日から出社が難しく、退職希望日は○月○日です。 会社には未連絡/○日に○○と伝えました。 費用請求・未払い・寮などの問題は○○です。 対応する方、会社への連絡時刻、休む期間の扱い、総額と追加費用、本人に連絡が来た場合の対応を教えてください。
退職を迷っている段階なら、その点も最初に伝えます。相談しただけで契約が成立するのか、正式依頼に何が必要かを確認し、契約書・見積もり・説明は保存してください。
契約内容・希望日・会社とのやり取りを整理してご相談ください。依頼前に対応範囲と費用をご確認ください。
研修費・制服代・損害賠償を請求されたときの確認文
「すぐ辞めるなら払え」と言われても、その場で支払いを約束する必要はありません。一方で、研修費という名称だけで、すべて返さなくてよいとも言い切れません。業務命令の研修なのか、任意の資格取得への貸付なのか、何に署名したかを確認します。
請求内容を確認したいため、請求の理由、根拠となる契約・規程、金額の内訳と支払期限を書面でご提示ください。 資料を確認し、相談したうえで回答します。現時点では支払い・給与からの控除には同意していません。
| 求められたもの | そろえる資料・確認点 | 対応 |
|---|---|---|
| 早期退職の違約金 | 「○か月以内なら○万円」等の条項 | 退職を妨げる賠償予定に当たるか相談 |
| 研修・資格取得費 | 業務命令か、受講の任意性、貸付契約、実費内訳 | 費用の実態を整理し、弁護士等に返還義務を確認 |
| 制服・パソコン代 | 貸与か購入か、返却条件、破損の有無 | まず物品の返却と金銭請求を分けて確認 |
| 採用費・業務への損害 | 何が原因でどんな損害が生じたという請求か | 請求書を保存し、自己判断で債務承認や示談をしない |
労働契約の不履行に対する違約金や損害賠償額をあらかじめ定めることは労働基準法16条で禁じられています。ただし、実際の損害についての請求まで一律に不可能という意味ではありません。賃金からの一方的な控除も原則禁止です。根拠:厚生労働省・賠償予定と賃金控除。
代行の範囲外と言われたら、会社の請求資料と契約書を持って弁護士へ相談します。相談先が分からなければ総合労働相談コーナーへ。裁判所から書類が届いた場合は、代行の返答待ちで期限を過ぎないよう、すぐに法律相談へ進んでください。
本人や親への連絡・寮の退去に備える
代行を通して連絡を控えてほしいと申し入れても、会社からの連絡を完全に止められるとは限りません。緊急連絡先に親を登録している場合は、そのことも依頼先に伝えます。
- 本人へ電話が来た:着信時刻、相手、留守電やメールを保存して担当者へ共有。金銭や退職日の約束をその場で変えない。
- 親に連絡された:何を伝えられたかを確認し、今後の窓口を再度会社へ伝えてもらう。親に返答や支払いを任せきりにしない。
- 自宅への郵便が困る:実際に受け取れる送付先を相談。虚偽の住所で必要書類を受け取れなくしない。
- 寮・社宅に住んでいる:契約上の退去期限、鍵の返却、荷物の搬出、次の滞在先と費用を退職日と合わせて確認。
親へ説明できる状況なら、「仕事を続けるのが難しい理由」「退職手続きの窓口」「当面の住まいと生活費」を分けて伝えると、相談内容が明確になります。家族に相談しづらい事情がある場合は、無理に頼らず自治体等の相談窓口も利用してください。
身の危険を感じる訪問や脅しがある場合は、代行への相談とは別に、安全な場所への移動や警察への相談を優先します。
新卒の退職後は、給付を当てにする前に生活費を確認
まず「いま使える預貯金+入金が確認できる給与」から、家賃・食費・通信費・保険や年金・転居費・代行費用を引き、次の収入まで暮らせる期間を確認します。未決定の失業手当や傷病手当金を、確定収入には入れないでください。
失業手当は、入社直後でも必ずもらえるわけではない
雇用保険の基本手当は、原則として離職前2年間に通算12か月以上の被保険者期間などが必要です。特定受給資格者・特定理由離職者は、離職前1年間に通算6か月以上の場合も対象になります。1か月の数え方にも賃金支払基礎日数・時間の条件があるため、在籍した月数だけでは判断できません。
初めて加入して数週間・数か月で辞める人は、期間が足りないことがあります。過去の加入歴がある場合も含め、ハローワークで確認してください。病気などですぐ働けないときは基本手当の前提と異なるため、受給期間の延長等を相談します。根拠:ハローワーク・基本手当の受給要件。
傷病手当金は、在職中と退職後で条件が違う
在職中の支給条件を満たしても、退職後の継続給付には、退職日まで継続して1年以上の被保険者期間などの追加条件があります。初めて会社の健康保険に加入した新卒が数か月で辞める場合、退職後も受けられる前提にしないでください。退職日の勤務状況なども含め、加入している保険者へ確認します。根拠:協会けんぽ・傷病手当金Q&A。
健康保険と年金は、手続き先を先に決める
次の会社の健康保険に切れ目なく加入しない場合は、国民健康保険・家族の健康保険の被扶養者・条件を満たす任意継続を比較します。任意継続には加入期間や申請期限があるため、入社直後でも選べると決めつけず加入条件を確認してください。
20歳以上60歳未満で厚生年金等を外れる場合は、国民年金の手続きも確認します。親の健康保険の扶養に入っても、年金まで自動的に不要になるわけではありません。保険料を払うのが難しいときは、未納のままにせず日本年金機構の加入・免除・納付猶予の案内から相談へ進みましょう。
住まいや生活費がすでに足りない場合は、就職活動の相談だけでなく、自治体の生活困窮者向け相談窓口にも早めに連絡します。勤務継続が難しい健康状態なら、資金がたまるまで我慢することだけを選択肢にしないでください。
依頼後に本人がすることと、次の職場への質問
代行に依頼しても、書類の記入や貸与品の梱包まで自動的に終わるわけではありません。担当者と「誰が・何を・いつまでに」を確認します。
- 会社への連絡結果、退職日、休む期間の扱いを記録する。
- 退職届の内容・宛先・送付方法を確認して提出する。
- 研修中の課題や担当作業の進捗・保存場所を、指定された相手へ渡す。
- 貸与品は返却先と方法を確認して送り、追跡・受領の記録を残す。詳細は貸与品返却の手順へ。
- 最終給与の明細・入金、必要な離職票・源泉徴収票・資格喪失証明等の発行先と予定日を確認する。
書類が届かなければ、依頼先が催促を扱えるか確認し、離職票はハローワーク、健康保険の加入は保険者・自治体に必要な代替資料を相談します。受領を待つだけで保険等の手続き期限を過ぎないようにしましょう。
面接は「前向きな言葉への置き換え」だけで終わらせない
短期離職は理由を聞かれることがあります。「第二新卒だから転職で有利」とは限りません。事実、当時取った対応、次の職場で確認する条件を整理します。働いていた事実を隠したり、していない改善相談を作ったりしないことが大切です。
入社後、○○という事情で勤務の継続が難しくなり退職しました。 当時は○○を確認しましたが、解決には至りませんでした。 現在は、同じことを繰り返さないために、○○の条件を確認して応募しています。
相談できなかった場合は「当時は相談を進められず退職しました。現在は質問する項目を整理しています」など事実に合わせます。体調に配慮が必要なら、治った・制約がないと偽らず、現在できる勤務の条件を整理してください。
- 入社後の研修期間と、質問できる担当者は誰ですか。
- 配属後に担当する業務と、変更の可能性を教えてください。
- 残業やシフトはどのように決まり、事前にどこまで分かりますか。
- 困ったとき、直属の上司以外にも相談できますか。
大学等の卒業後おおむね3年以内の方は、新卒応援ハローワークで応募書類や面接を相談できます。対象に当てはまるか分からない場合も、最寄りのハローワークで利用できる窓口を確認しましょう。
新卒の退職代行でよくある質問
入社1日目や研修中でも退職代行は使えますか?
入社からの日数だけで利用できなくなるわけではありません。ただし、連絡した当日に退職が成立するとは限りません。雇用契約の期間と希望退職日、出社できない期間の扱いを依頼先へ伝えて確認してください。
試用期間中ならすぐ辞められますか?
試用期間中というだけで即日退職できるわけではありません。契約期間の定めがない雇用か、試用期間を含めた有期契約かを確認します。即日の合意退職や欠勤の扱いも、契約と事情に応じた確認が必要です。
有休がまだない新卒は退職まで出勤が必要ですか?
有休がない期間を、自動的に有休として休むことはできません。出社が難しい場合は、欠勤・会社の休暇制度・早期の合意退職について連絡や相談をします。連絡を誰がいつ行うか、欠勤分の給与がどうなるかも確認してください。
退職代行を使えば親や転職先に知られませんか?
知られないとは保証できません。会社の緊急連絡先や退職書類の送付先、扶養・住居の手続きから伝わる場合があります。依頼先には連絡を避けたい相手と方法を伝え、会社から直接連絡が来た場合の対応も決めておきます。
新卒で退職したら失業手当をもらえますか?
原則として離職前2年間に通算12か月以上、特定受給資格者・特定理由離職者は離職前1年間に通算6か月以上の被保険者期間などが必要です。入社直後は満たさないことがあります。過去の加入歴も含め、受給資格をハローワークで確認してください。
今日の連絡と、退職後の準備を一つずつ進める
明日の出勤が難しいなら、まず受診・休む連絡と、その連絡を誰が行うかを確認します。そのうえで、雇用契約の期間、有休、希望退職日、会社からの請求の有無を整理して相談してください。
依頼前に対応範囲と総額を確かめ、依頼後は会社への連絡結果、必要書類、貸与品、生活費の確認へ進みます。「新卒なのに」と一人で結論を急ぐ必要はありません。自分で対応できるところと支援が必要なところを分けることが、次の行動を決める助けになります。
契約内容・希望日・会社とのやり取りを整理してご相談ください。依頼前に対応範囲と費用をご確認ください。





コメントを残す