歯科衛生士の22歳が院長のハラスメントで退職代行を使った話【モデルケース】

歯科衛生士の22歳が院長のハラスメントで退職代行を使った話【モデルケース】

※本記事は実際の相談傾向をもとに作成したモデルケースです。特定の個人・企業とは関係ありません。
個人歯科医院で院長からのハラスメントに1年間耐え続けた22歳の歯科衛生士が退職代行を使って辞めるまでの話です。国家資格があるので転職できる。でも、誰もいない小さな職場で「辞めます」と言えない——その閉塞感から抜け出した経緯をまとめました。

📋 この記事のモデルケース

業種 歯科医院・歯科衛生士
雇用形態 正社員
年代・性別 20代前半・女性
勤続年数 1年
主な悩み 院長からのハラスメント・低賃金・退職を言い出せない閉塞感
退職方法 退職代行(弁護士法人)を利用

歯科医院で働いていたころの状況

私は歯科衛生士として、地元の個人歯科医院に就職しました。専門学校を卒業して国家資格を取り、初めての職場でした。規模は院長ひとりとスタッフ数名という小さなクリニックで、地域に根ざした雰囲気がありました。最初は「アットホームな職場で働けてよかった」と思っていました。

でも、入職してすぐに気づいたことがありました。院長のキャラクターが、職場全体を支配していました。

院長は60代の男性で、長年その医院を経営してきた方でした。地域での信頼は厚く、患者さんにはとても丁寧でした。でも、スタッフへの態度はまったく違いました。

処置中に声を荒げる。患者さんの前で衛生士のミスを指摘する。「前の衛生士はこんなことなかった」という比較を頻繁にする。機嫌が悪い日は、挨拶しても返事がない。昼休みに院長が診療室にいると、スタッフ全員が小声で話すようになる——そういう職場でした。

他のスタッフも似たような状況でしたが、誰も口に出しませんでした。「そういう人だから」「慣れるしかない」という空気がありました。私も最初はそう思おうとしていました。

院長のハラスメントで限界を感じた瞬間

明確に限界だと感じたのは、入職から8ヶ月ほど経ったある日の午後でした。

スケーリングの処置中に、院長から「手が遅い」と言われました。患者さんのいる前で、はっきりと言われました。患者さんが気まずそうな表情をしているのが分かりました。私はそのまま処置を続けましたが、手が震えていました。

処置が終わったあと、院長は何事もなかったように次の患者さんの対応に入りました。私はユニットの後片付けをしながら、涙がこぼれそうになるのを必死にこらえていました。

患者さんの前で言われたことが、一番きつかったです。私が間違っていたとしても、あの言い方じゃなくていいと思いました。でも、院長に何かを言える雰囲気ではなかったし、言っても変わらないと分かっていました。

それ以降、院長の機嫌を常に読みながら仕事をするようになりました。院長が診療室に入ってくる音がするだけで、肩に力が入るようになりました。仕事への集中が難しくなり、患者さんの対応にも影響が出ているのではないかと不安になりました。

給与の問題もありました。専門学校でかかった費用を少しでも早く回収したいという気持ちがありましたが、初任給は同期の友人と比べても低い水準でした。国家資格を持っているのに、なぜこれだけしかもらえないのかという気持ちは、ずっとありました。院長に相談するような雰囲気はまったくありませんでした。

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小規模職場で退職を言い出せなかった理由

国家資格があるので、転職自体は怖くありませんでした。歯科衛生士の求人は多く、別の医院に移ればいいと頭では分かっていました。でも、実際に退職を言い出すことができませんでした。

一番の理由は、院長に直接伝えなければならないことでした。

個人医院は小さい職場です。人事部も総務もありません。退職を告げる相手は院長本人しかいません。しかも、その院長が退職を言い出せなくさせている張本人でした。「辞めます」の一言を、あの院長に面と向かって言う——それを想像するだけで、体が動かなくなりました。

院長の反応も怖かったです。引き止められる、怒られる、「患者さんはどうするんだ」と言われる——そういう展開が頭の中でくり返されました。実際、前に辞めたスタッフのことを「あいつは突然消えた」と言っていた院長の声を思い出すたびに、余計に言えなくなりました。

他のスタッフに相談しても「そうだよね、辞めにくいよね」という話になるだけで、誰も解決策を持っていませんでした。職場全体が院長の空気に縛られていました。

転職先を探しながら、退職を言い出せないまま1ヶ月、また1ヶ月と時間が過ぎていきました。転職サイトで気になる求人があっても、今の職場を辞めないと面接に進めないという感覚がありました。

退職代行を知ったきっかけ・迷った理由

退職代行を知ったのは、友人からの一言でした。別の医療系の職場を辞めた友人が「退職代行を使った」と話してくれました。詳しく聞くと、私の状況と重なる部分がありました。

最初は「そこまでしなくてもいいのでは」と思いました。1年も経っていないこと、若い自分が退職代行を使うのは大げさではないかという気持ちもありました。でも、友人に「一人で解決できないなら、頼っていい」と言われて、少し気が楽になりました。

調べてみると、弁護士法人が対応する退職代行サービスがあることが分かりました。小規模な医院での退職は、個人間のやり取りになりやすいため、何か法的なことを持ち出された場合でも対応できるという点に安心しました。医療系の職場での退職対応の実績についても確認しました。

費用について1週間ほど迷いましたが、「このまま毎日あの職場に行くことのほうがコストが高い」と思えてきました。体が持たなくなる前に動こうと決めました。

実際に依頼してみた流れ(相談〜退職完了)

LINEで相談を始めました。歯科衛生士として個人医院に勤めていること、院長からのハラスメントがあること、退職を直接言い出せない状況であることを伝えました。返信は落ち着いた内容で、「その状況はよくある相談です」と言われたとき、少し肩の力が抜けました。

確認事項は、院長の連絡先、雇用形態、退職希望日、有給の残日数、貸与物(ユニフォームや院内用の器具など)の有無でした。小規模の医院なので、人事担当がなく院長への直接連絡になることを伝えました。担当者は「問題ない、対応できる」と言いました。

依頼した翌朝、私は出勤しませんでした。退職代行の担当者から院長へ連絡が入り、私の退職の意思と即日退職の希望が伝えられました。

院長から私のスマホに直接電話がかかってくるかもしれないと思っていました。でも、担当者がその点もきちんと対応してくれていたようで、院長から直接連絡が来ることはありませんでした。あの声を聞かなくて済んだことに、正直ほっとしました。

その後、院長から退職書類と貸与物の返却について担当者経由で連絡がありました。ユニフォームは郵送で返却し、離職票などの書類は後日郵送されてきました。退職完了まで、院長と直接話すことはありませんでした。

手続き全体を通じて、自分が直接やり取りしたのは退職代行の担当者だけでした。あれだけ恐怖を感じていた退職が、こんなに静かに終わるとは思っていませんでした。

退職代行の流れ(相談〜退職完了)
退職代行の流れ(相談〜退職完了)

辞めた後の変化

退職してすぐの数日間は、会社から何か連絡が来るのではないかとスマホをずっと気にしていました。でも、何も来ませんでした。

1週間ほど経ったころから、体が軽くなってきました。朝起きたとき、今日も院長の機嫌を考えながら出勤する必要がないと気づいたとき、涙が出ました。泣く理由が、つらさではなく解放感だったのは初めてでした。

その後、転職活動を進めて別の歯科医院に就職しました。法人が運営する規模の大きいクリニックで、スタッフが多く、評価制度もある職場です。給与は前職より上がり、院長との関係も「上司と部下」という感じで、理不尽なことを言われることはありません。

歯科衛生士という仕事そのものは好きです。患者さんと向き合い、口腔ケアを通じて健康に貢献できることにやりがいを感じていました。前の職場では、その仕事のやりがいが院長への恐怖で消えかけていました。今は、仕事自体に集中できています。

同じ状況の人へ伝えたいこと

歯科衛生士として個人医院で働いている人の中に、私と似た状況にいる人は少なくないと思います。小さな職場で、退職を告げる相手が院長しかいない。そのハードルを越えられないまま、毎日を消耗しながら働いている人がいると思います。

国家資格があるから転職できる。でも、辞めると言えない。この矛盾した状態はとても苦しいです。転職先を探す余裕すら、毎日の疲弊の中で削られていきます。

院長に対して何も言えないのは、あなたが弱いからではありません。院長が絶対的な権力を持つ小規模職場という構造の問題です。そこに一人で向かっていくことを、自分に強いる必要はありません。

退職を伝えることが怖いなら、代わりに伝えてもらう方法があります。弁護士法人が対応する退職代行なら、万が一何かを言われても対処できます。「1年も経っていないから」「若いから」「資格があるのに情けない」——そんなことを思わなくていいです。今の職場を安全に辞めることは、次のキャリアへの正当な一歩です。

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