退職代行の違法性。成功率99%の落とし穴。利用する前に絶対知るべきこと

民間の退職代行は違法。退職成功率99%の落とし穴

退職代行サービスは民間業者と弁護士が提供していますが、民間の退職代行業者は違法の可能性があるのはご存知ですか。報酬目的で法律とお金にまつわる交渉を民間がすると違法となります。また、近年は民間の退職代行業者の中には誤解を招くPRをしているところも。

そこで、今回は退職代行を利用する前に必ず知っておいて欲しい退職代行の業界知識と、度々噂される違法性を具体的にご紹介します。昨今の競争の激化により増えてきた、民間の退職代行の中には誤解を促すセールス文句を使っているところもありますので、その真実をご説明します。

退職代行のHPで必ず見かける「退職成功率99%」の裏側

退職代行のHPで必ず見かける「退職成功率99%」の裏側

民間の退職代行業者のHPを見てみると、ほぼすべての業者が謳い文句としているのが「退職成功率99%」という文言。おそらく実際は100%の業者もいるでしょうが、誇大広告にならないように信憑性を持たせて99%としている様子がうかがえます。

しかし、これにはちょっとした裏側・からくりがございます。

法律的には本来退職は2週間後に必ずできる

民法627条
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。

民法電子版(総務省)

従業員が会社を退職するのは、憲法の職業選択の自由によって尊寿され、法律によって固く守られています。民法では、会社と無期限の雇用契約を結んでいる労働者(従業員)は、会社側に退職を申し入れてから2週間後に退職することができるとあります。これは会社側が退職届を受理するかしないかは関係なく、一方的に、強制的に会社を退職することができますので、会社側は、当該従業員を退職させなければならないのです。

そのため、退職代行の業者が代理で会社側に電話をして、「〇〇さんは2週間後に退職いたします」と伝えれば、それで従業員の退職は決定となるのです。

民間退職代行の限界と違法性。重要なのは退職日までの過ごし方

重要なのは退職日までの出社の有無。民間退職代行の限界と違法性

退職代行を依頼する上で重要視しなければならないのが、「退職までの出勤の有無」と「退職の手続きや未払いの金銭の請求」です。

退職までの2週間を有給消化や欠勤扱いにしてもらうことができなかったら、上司と会社にたてついた後の2週間の出社はまさに地獄です。また、有給を取得できないばかりか、事務が嫌がらせをして手続きを遅らせたり、当月分の給料や残業代を振り込まなかったりする事案もあります。

しかし、そういった法律や金銭が絡むトラブルに対して、民間の退職代行業者はめっぽう弱く、また、金銭交渉においては違法性が指摘されています。

民間の退職代行は違法?非弁行為に相当するものはすべて駄目!

民間の退職代行の違法性。非弁行為に相当するものはすべて駄目!

退職代行は、必ず上記のような有給休暇の消化の可否や退職金、未払いの残業代、パワハラの慰謝料などをまとめて請求する事案が普通となります。こういった法律や金銭が絡む交渉を民間業者が報酬を受け取って行うのは、実は法律では「非弁行為」となり違法です。

ここ数年で退職代行も大分企業の間で認知度が上がってきたため、会社によっては「従業員が退職代行を利用してきた際の手引き」といったガイドラインを用意しているところもあります。そのため、民間の退職代行業者が実は有給消化や残業代の請求交渉などができないことは、企業側も知っているとみていいでしょう。

退職日の交渉をするだけでも違法?退職代行の法的会社の違い

民間の退職代行ができるのは、広義でいえば「使者」です。つまり伝言の役割のみであり、「交渉事」となると、高い違法性が指摘されます。金銭が絡まなくとも、退職日の交渉をするだけでも違法性はあるということです。

専属弁護士のアドバイスを貰っている退職代行業者も違法

民間の退職代行業者の中には、「弊社では顧問弁護士を雇っています」、「弊社は専属の弁護士に法的なアドバイスを貰っています」と、会社のバックに弁護士がいることをPRしているところも見受けられますが、実はこちらも違法。

当該弁護士本人が退職代行の依頼を受けて、その弁護士が正式に委任した個人や業者が交渉に当たるのであれば別ですが、単にアドバイスをもらっている、弁護士を雇っている、というだけでは高い確率で違法となります。

労働組合加盟の退職代行業者は違法ではないがグレー

労働組合加盟の退職代行業者は違法ではないがグレー

昨今は労働組合に加入することによって、違法からグレーとみなされる民間の退職代行業者も増えてきました。労働組合には金銭交渉をする権利を有していますので、違法を免れて有給や残業代の交渉をすることができます。

ただし、労働組合に加盟している退職代行業者ができるのは、あくまでも会社の違法性を指摘して上記金銭交渉をするだけとなり、実際会社側が拒んだり、裁判や示談交渉に発展する場合は、弁護士の業務領域となり、労働組合加盟の退職代行業者であっても手だしすることができなくなります。

また、最近は民間の退職代行業者が揃って労働組合に加盟するようになったため、それ自体の違法性も指摘されています。労働組合に加盟している以上は、実体を持って労働組合の仕事も忠実にこなさなければなりませんが、加盟するだけ加盟して実態を伴わないところもあるようです。

違法行為によって退職が無効も。退職代行業者の弱み

違法行為によって退職が無効も。民間の退職代行業者の弱み

退職代行を利用する強みの一つに「会社や上司に自分の代わりに退職の意向を示してくれる」ことが挙げられます。つまり、もう自分は会社や上司と話す必要がない、上司が怖くて退職を切り出せない、という人が退職代行を利用します。

しかし、違法性が指摘されている民間の退職代行に依頼してしまった場合、下記のような問題が生じるケースがあります。

退職代行
「〇〇さんが退職したいと言っています」
会社
「本当かどうか怪しいから、〇〇さんと直接会って、話す機会を設ける」
「残業代を払うつもりはないから、こちらも弁護士を雇ってもいいよ」

と言われた場合、実は民間の退職代行では切り抜けることが困難となります。なぜなら、民間の退職代行ができるのは、あくまでも「退職の意思を伝える」ことだけであり、代理の役割を担うことができるのは、弁護士のみとなります。そのため、民間の退職代行は「代理で退職の手続き及び交渉をすること」はできなく、「〇〇さんの代理で電話しております」と言った時点で違法行為に相当します。

示談交渉はどうする?退職代行に任せるのは違法?

示談交渉はどうする?退職代行に任せるのは違法?

一般的に有給消化や残業代、パワハラなどの慰謝料の請求をする際、会社側が歯向かって裁判に発展する可能性は極めて低いです。その理由は、過去の判例から会社側が勝つことは困難だからです。そのため、会社側は示談交渉を求めてきますが、上記の非弁行為を鑑みても分かるように、民間の退職代行業者が示談交渉をするのは違法となりますので、「先方が示談交渉を求めてきたので、あとはお願いします」と丸投げされることになります。

また、労働組合に加盟している退職代行は示談交渉をすることができますが、そもそも彼らに示談交渉の経験はほとんどないはずですので、こちらが不利にならない交渉術や法律的な解釈と説明、落としどころとなる請求金額を模索することは不可能です。

違法な退職代行は今後も増加する。業者の選択には気を付けて

いまでは無理がある民間の退職代行。違法には手を出さないように

退職代行がまだ認知度が低い2010年当初は、突然退職代行と名乗る業者から電話がかかってきたら、会社側も身構えて交渉していました。しかし、2021年現時点では、退職代行の存在は会社側も周知していて、業者から電話が来た時のマニュアルを用意しているところもあります。

また、従業員が退職代行に依頼すると、業者の担当者は会社に出向くわけではなく、すべて電話で退職交渉のやり取りをしますので、非常に生産性が高く、また原価もかからないため、高い利益を得ることができます。そのため、今後も日本のストレス社会の需要に適用すべく、退職代行業者は増えることが予想されます。そのため、依頼する従業員はホームページから退職代行業者の良し悪しを見極めなければなりません。

違法とは無縁!退職代行は弁護士に任せるのが一番!

違法とは無縁に!退職代行は弁護士に任せるのが一番!

退職代行は民間と弁護士がサービスを提供していますが、今回ご紹介したように、民間の退職代行は違法行為が黙認されている状況となっていますし、そもそも残業代や当月の給料、退職日までの有給休暇の消化、退職金の交渉ができない時点で、なかなか依頼するのは難しいのではないでしょうか。

そこでおすすめとなるのが弁護士による退職代行です。あまり知られていませんが、退職代行自体は古くからある弁護士業務の1つで、それが民間が請け負うようになったため、日の光が当たるようになりました。

弁護士はもちろんいかなる違法行為も許しませんし、弁護士は弁護士法という硬い法律で束縛されているため、悪さもできません。上記の金銭交渉だけではなく、示談交渉や裁判にも対応していますので、万が一退職する会社が強きに出てきたとしてもまったく心配はいりません。

弁護士と民間の退職代行の費用の違い

弁護士と民間の退職代行の費用の違い

そこでに気になるのが弁護士費用ですね。「違法の有無を考えると弁護士に相談するのが一番いいのだろうけれど、費用が高いなら民間の退職代行業者にするかな」という人も多くいるはずです。

しかし、そもそもの誤解として、退職代行を請け負う弁護士は企業案件ではなく一般個人の案件を積極的に引き受けているので、法外な料金を請求されることはありません。テレビ等で見るような高額な弁護士費用を請求するのは一部の顧問弁護士となります。

退職代行にかかる費用の相場

退職代行にかかる費用は、民間業者で3~7万円。弁護士で4~10万円となります。御覧のように料金はそれほど変わりありません。もし弁護士に残業代や退職金の請求を依頼するのであれば、オプションで成功報酬となります。相場は20%前後。そのため、「残業代の請求を依頼したけど、手数料負けしてしまった」ということにはならないのでご安心ください。

LINEで無料相談可能!すべてメールですませられる弁護士

一般個人から依頼を請け負っている多くの弁護士は退職代行も受注していますが、下記で紹介するのは退職代行をメイン業務として活躍している弁護士事務所です。

弁護士法人「みやび」

全国対応の弁護士事務所「みやび」は、これまで弁護士とは無縁だった人でも気軽に問い合わせ・相談できるように、LINEのテキストチャットによる無料相談&依頼のサービスを設けています。退職代行を請け負うことで有名な弁護士事務所は複数存在しますが、実績や人気度を鑑みると、みやびは頭一つ分抜けている印象があります。

https://taishoku-joho.com/store/miyabi/

弁護士法人「ITJ」

こちらもLINEの無料相談ができることで知られる弁護士事務所。みやびとほぼ似たようなサービスで、若干料金は安いですが、その分、口コミはそれほどよくないのが残念なところ。

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