業務委託契約中にうつ病になってしまい、仕事ができなくなった場合、依頼企業に契約解除の申し出が必要です。しかし、依頼主との関係によっては、納品完了の有無や契約期間によって「仕事を辞めさせてくれない」、「賠償請求されてる」、「違約金の支払いを求められている」といった問題も発生することがあります。
ここでは賠償問題等トラブル回避の注意点や、うつ病になったあとの手続き、相談先を紹介します。
目次
業務委託契約で仕事中にうつ病になった場合。契約解除する前にやるべき確認事項
業務委託契約中にうつ病になってしまい、これ以上契約遂行(業務)ができないと判断した場合、まずやるべきこと、考えるべきこが以下となります。
1.業務委託契約を今すぐ解除したいのか、それとも休職の後続行したいのか
まず考えるべきは、業務委託契約をしている今の会社と契約を解除したいのか否かです。「2~3か月休ませてもらったら今ある仕事は納品できる/仕事に復帰できる」という場合、最初にやるべきことは依頼主に相談することです。納品を待ってもらうこともできるかもしれませんし、一時業務停止(休職)といった臨時の計らいを受けられるかもしれません。
2.業務委託契約書を見直す
うつ病で業務委託契約の仕事が続行困難と判断したとき、まずは最初に依頼主と交わした業務委託契約書を見直すことが大切です。業務委託契約書には契約途中解除の項目があるはずなので、もし違約金が発生する場合は、その旨も記載されています。
業務委託契約途中、うつ病で契約解除したい。違約金のリスクはある?
業務委託契約途中に契約解除を申し出ると、場合によっては違約金が発生することがあります。例えばWebサイトの制作等は、会社が年度予算と年間スケジュールをもってしてアウトソーシング(業務委託契約)しているため、途中で頓挫することはあってはなりません。請負契約は完成品の納品義務を負うため、「半分まで完成したので50%の報酬をください」といっても、依頼企業が納得することはほとんどありません。
業務委託契約の途中解除は違約金のリスクを孕みます。業務委託契約書には契約解除時の違約金の有無が記載されていますが、そのほとんどは具体的な金額や算出方法、支払い上限などは記載されていないため、訴訟問題に発展することがしばしばあります。業務を遂行できないために、企業側が直接損失を被った場合は、損害賠償請求される事例もありますので、契約解除は慎重を期す必要があります。
うつ病で業務委託の契約解除をした後、申請できる手当はある?
会社に勤務する社員がうつ病で仕事ができなくなった場合は、労災や傷病手当といった各種制度を利用することができます。しかし、業務委託契約は個人事情主・フリーランスといった事業者が交わす契約となり、自営業業者に労働法や健康保険は適用されません。
そのため、民間の保険サービスであれば可能ですが、国が用意している制度では、なかなか適用される手当を見つけることはできません。もちろん業務委託契約がなくなったからといって、ハローワークに失業手当を申請することもできないので、業務委託の契約解除にあたっては、その後の自分の生活もある程度考慮が必要となるでしょう。
個人事情・フリーランスは就業不能保険/所得補償保険への加入がおすすめ
個人事業主やフリーランスといった自営業者は、上述したように国が用意する制度の利用が困難です。そのため、民間の保険会社が提供する就業不能保険/所得補償保険を利用するのがおすすめです。注意点としては、保険会社によって補償内容や月額支払い料金が大きく異なるのと、うつ病や腰痛、頚椎疾患のような中長期にわたって治療が求められる疾病に対しては補償の対象外となるケースもよくあります。自営業者向けの保険を取り扱う会社はそれほどたくさんはありませんので、よく吟味して選ぶことをおすすめします
職場に出勤している個人事業主やフリーランスはうつ病による業務委託契約解除で労災申請できる可能性がある
業務委託契約は、通常成果物の納品の有無の契約となるため、その過程である業務内容を依頼企業が指示することはできません。しかし、企業の中には業務委託契約者となるフリーランスに職場への出勤を命じたり、勤務時間を指示して強制的に拘束するところも少なくありません。
しかし、そのようなフリーランスがうつ病になってしまった場合、弁護士に相談することで国の制度(手当)の利用が可能となる場合があります。昨今は企業が弱者となるフリーランスに対して社員と同じような規則・業務を強いる「偽装請負」が社会問題となっています。
弁護士に相談して会社を訴えることで、フリーランスも業務委託でなく会社の社員(雇用契約)と見なされ、国の制度だけでなく、会社に対して残業手当や有給休暇の付与なども請求できる場合があります。
業務委託中にうつ病になってバックレてしまった。損害賠償される可能性はある?
うつ病になった人の中には、つい業務委託契約の仕事をバックレてしまった、という問題を抱えている人もいます。「会社から損害賠償請求されないか毎日不安」という人もいるでしょう。まず、冒頭で紹介したように、最初に企業と交わした業務委託契約書を見直し、違約金や損害賠償の記載の有無を確認してください。もしそれらの項目がない場合、原則として即時契約は可能です。
また、会社側が腹を立てて違約金や損害賠償を請求してくる可能性も十分ありますが、フリーランスが払わなければならないときは、相手が裁判を起こして、支払い命令が発生したときに限ります。裁判費用と労力、自社の損失を立証できるか否かを考えた場合、多くの企業は諦めます。
とはいってもバックレて良いことは一つもありませんし、場合により自分が窮地に陥ることも考えられます。そうならないためにも、自力で解決が困難と感じた場合は、弁護士のような頼れる第三者に仲介してもらうがおすすめと言えるでしょう。
「業務委託契約書がない/書面で契約を交わしていないから損害賠償請求されない」は通用しない
フリーランスの業務によっては、最初に業務委託契約を書面で交わしていないケースもあります。この場合、受託者側は、「契約を交わしていないから損害賠償は請求されないだろう」と考えることもできます。しかし、業務を行うにあたっては、見積もりのやり取りや業務・納期・報酬の具体的な打ち合わせをメールでやり取りします。契約内容が書面に残されていない場合は、このメールを証拠として立証できるため、企業側はフリーランスに対して損害賠償を請求することができるものと思われます。
うつ病で業務委託の契約解除を希望。おすすめ相談先の弁護士の選び方
うつ病で業務委託の契約解除を希望する人の中で、相手企業との自力での交渉が難しいため、第三者による仲介を必要と感じている人は、「退職代行を依頼できる弁護士事務所」に相談してみてはいかがでしょうか。
弁護士と言えば「費用が高い」イメージを持つ人が多いと思いますが、退職代行サービスを提供している弁護士は、一般所得者層を主な依頼者としているため、最初の相談が無料であったり、全体の支払い費用も数万円で済むところが多いです。仮に違約金・損害賠償請求などのトラブルに発展しても、示談交渉できるので被害を最小限に抑えるこができます。
ただし、弁護士によっては業務委託契約の契約解除に関しては退職代行のサービス範囲外としていたり、通常よりも高額な費用を見積もるところもあるようです。無料相談の枠内で、サービスに掛かる総費用は必ず質問しておくべきでしょう。
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