理不尽な業務委託契約。トラブル解決は弁護士に相談を

理不尽な業務委託契約。トラブル解決は弁護士に相談を

企業と業務委託契約を交わすフリーランス・個人事業主の中には、理不尽な理由で契約解除や損害賠償請求される人も少なくありません。相手が企業の場合は圧力に屈してしまうこともありますし、また、トラブルによっては理不尽なほど高額な損害賠償請求されることもあります。

そこで、ここでは理不尽な業務委託契約にまつわるトラブル事例や、解決に向けた法律相談先を詳しくご紹介します。

この記事で分かること

  • 業務委託のトラブルの事例
  • 偽装請負のリスク
  • 弁護士を利用した業務委託トラブルの解決法

理不尽な業務委託契約が多発。フリーランスの悩み

理不尽な業務委託契約が多発。フリーランスの悩み

近年はフリーランス・個人事業主が非常に増加し、日本国内の労働者人口の5~7%と言われています。また、これまで副業でお小遣い稼ぎに仕事をしていた人の中には、昨今のコロナにおけるリモート促進や自由な働き方を受けて、本業に転身するフリーランスも増加しています。

しかし、フリーランス・個人事業主の増加に伴い浮上する問題が「理不尽な業務委託契約」です。フリーランスや個人事業主の多くは企業から案件を受注しているため、どうしても立場的に弱く、また法律の知識も少ないため、理不尽な業務委託契約をしてしまうことが多くあります。

業務委託契約のトラブル事例。損害賠償を請求されることも

業務委託契約のトラブル事例。損害賠償を請求されることも

業務委託契約は一般的に労働法が適用されないため、案件を受注する際に交わす最初の業務委託契約書に記載されている項目が法的にも重要視されます。

理不尽な理由であっても企業側がフリーランスに対して損害賠償を請求できる事案もあります。下記では業務委託契約にまつわるトラブル事例をまとめてみました。

会社の機密情報が漏洩してしまったトラブル事例

委託者(クライアント)がDMの発送業務を受託者に業務委託契約をした。
受託者はDMの発送業務の一部を第三者の下請けを雇って委託してしまった。
下請けが誤ってDMの顧客情報を流出してしまった。これを受けて委託者が受託者に対して「付随義務違反」として2200万円の請求を行った。
裁判では委託者の要望が全面的に認められただけではなく、当初の請求額を超える2800万円の支払いを受託者に命じた。

納期の遅延による損害賠償事例

委託者(クライアント)がカタログデザインをフリーランスに依頼。納期厳守を契約書に盛り込んでいた。
受託者(フリーランス)が契約期間中にケガをしてしまい、納期に間に合わなかった。
クライアントはカタログデザインを取引先に提出できなかったことにより取引が消滅。受託者に対して取引で得るはずだった300万円を請求中。

途中で契約解除され本来得るはずの利益を得られなかったトラブル事例

委託者(クライアント)がゲームアプリの開発をフリーランス(受託者)に3000万円で依頼。
完成間近になったところ、突然委託者が契約を解除。受託者は本来得られるはずだった3000万円を請求。
しかし、契約書には「委託者はいつでも契約解除できる。その時の支払う報酬はそのときの現実に生じた損害のみ賠償」との文言があったため、委託者の報酬支払はわずか85万円にとどまった。

特に最後の事例は業務委託契約書を利用した悪質かつ理不尽な事例と言えるでしょう。
上記文言は業務委託契約書ではよく見受けることができ、受託者(フリーランス)は委託者を信頼して署名するほかなく、圧倒的な不利な立場となります。

しかし、法に照らし合わせると、このような理不尽な結果が生まれることが多いことは覚えておくべきでしょう。

業務委託契約で理不尽な「競業避止義務」を締結される問題

業務委託契約で理不尽な「競業避止義務」を締結される問題

会社の中には、業務委託契約者に対して競業避止義務契約を強要するところも少なくありません。これは流動性が高い個人事業主の中には、自社の競合他社と取引するところも多く、情報漏洩が懸念されるためです。

ただし、競業避止義務は憲法の職業選択の自由に抵触する可能性もあるため、場合によっては無効判断が下されることもあります。また、通常競業避止義務契約は業務委託契約の満了時に改めて別紙で契約するケースが多く、その場合、個人事業主は契約書にサインしない、という手段も十分有効です。

理不尽な業務委託は労働法適用の可能性も

理不尽な業務委託は労働法適用の可能性も

理不尽な業務委託契約の中には、下記のような理不尽な労働条件を強いられている人も多くいます。

  • 依頼者のオフィスに週〇日は最低出勤すること
  • 月曜から金曜の〇時~〇時まで勤務すること
  • 事務所勤務時の残業代は支払わない(業務委託契約のため)

このような企業都合で正社員と同じような労働環境で働かされている個人事業主も多くいます。
ただし、上記の理不尽な条件に当てはまる場合は、フリーランス・個人事業主であっても正社員と同様の扱いを企業はしなければならなく、労働法が適用されるため、1.有給休暇の発生、2.残業代の支払い義務などが生じる可能性が高いです。

本来業務委託契約は業務内容による委託となるため、仕事の方法(勤務地や出勤の有無など)や時間の拘束をしてはなりません。

しかし、理不尽な企業の中には、当然のように要求してくるところも少なくなく、フリーランスも同意せざるを得ない状況にあることがほとんどです。

近年は会社が業務委託者に対する「偽装請負」が深刻な社会問題に

近年は会社が業務委託者に対する「偽装請負」が深刻な社会問題に

近年はフリーランスや個人事業主の増加に伴い、会社の偽装請負が深刻化しています。偽装請負は、簡単に言えば業務委託契約にも関わらず、実態が異なることを指します。

よくある偽装請負の事例としては、以下が挙げられます。

業務工程への直接指示

一般的な業務委託は、成果物を納品して報酬を得る請負契約となります。請負契約の場合、依頼企業は業務委託者に対して細かな業務工程を指示することができません。「職場への出勤を命じる・勤務時間を指示する・作業の進め方を指示する」などが典型で、これらの指示が見られた場合は、偽装請負の可能性があるため注意を払う必要があります。

この場合の偽装請負は、業務委託契約者を社員のように偽装している行為となります。社員(雇用)する場合、会社側は社会保険や給与、残業代、賞与、退職金、有給休暇といった福利厚生含む各種支払いが必要となります。そのため、会社はこれらの人件費を節約するため、業務委託契約者に社員と同じ扱いを強いている可能性があります。

使用者が不明

会社Aが会社Bに業務委託をして、会社Bは会社Cに会社Aから受けた仕事を依頼。会社Cが個人と業務委託契約をした場合、個人は会社Cとの契約になります。しかし、場合によっては会社AやBが個人の業務委託契約者に対して指示を出すこともあります。このように使用者が複雑かつ不明な場合も偽装請負と見なされます。

>>厚生労働省「偽装請負ってなに?」

業務委託で契約解除された。報酬を受け取れない問題の対応

業務委託で契約解除された。報酬を受け取れない場合の対応

業務委託の途中で契約解除され、報酬もクライアントから受け取れない場合、まずは業務委託契約書を確認してください。報酬支払の項目や契約解除項目を確認し、何かしらの制約があれば、業務委託契約の解除の無効化を訴えることができます。

また、「双方の合意による契約期間中の解除」などと記述がある場合は、一方的な契約解除はできませんので、契約解除の無効を訴えることができるはずです。

また、理不尽な理由で一方的に企業が業務委託契約を解除しないように、「下請法」という法律があります。下請法第2条の2に基づくと、委託者(企業)は成果物の納品を受けたあと60日以内に報酬を支払わなければなりません。

もし上記内容を訴えても報酬を受け取れない場合は、下記対応を順番にとることを検討しましょう。

  1. 内容証明郵便の送付
  2. 支払督促
  3. 民事調停
  4. 少額訴訟(60万円以下)・通常訴訟(60万円以上)

注意点としては、もし企業が「支払う意思がまったくない」場合、3.民事調停はあまり意味がありません。そのため、請求金額が60万円以下の場合は少額訴訟、60万円以上は通常訴訟の準備をするといいでしょう。

フリーランスの法律相談は弁護士事務所に依頼。理不尽な業務委託トラブルの問題解決へ

フリーランスの法律相談は弁護士事務所に依頼

フリーランス・個人事業主が理不尽な対応を依頼者から受けた場合は、法律相談先として弁護士事務所に依頼するのがおすすめです。一般の正社員は労働基準法に基づいて労働基準監督署に相談することが可能ですが、労働法の適用外となるフリーランス・個人事業主は労働基準監督署に相談することができません。

そのため、フリーランスの法律相談先は「弁護士事務所」となります。弁護士事務所というと相談料を取られたり、高額な弁護士費用がかかるイメージがあると思いますが、フリーランスが依頼するような弁護士事務所は一般の所得に合わせた料金設定となっているので、相談料は無料のところが多いですし、費用も実費(書類の郵送代など)以外は数万円の基本料金と成功したときに2~3割の成果報酬となることがほとんどです。

依頼内容によっては着手金ゼロもあるので、まずは怖がらずに相談してみるのが良いでしょう。

理不尽な業務委託契約で損害賠償を請求されたときの対応と法律相談先

理不尽な業務委託契約で損害賠償を請求されたときの対応

理不尽な業務委託契約で期間中の途中契約解除や正社員のような労働の強制、そして損害賠償請求された場合は、まずは心を落ち着かせて、最初に署名した業務委託契約書を探してください。

もし自力で対処できないようであれば、上記でご紹介したように弁護士に相談するのが良いでしょう。

下記で紹介する弁護士事務所はフリーランス・個人事業主の強い味方となってくれます。全国対応可・LINEによるテキストチャット可など、一般労働者の標準に沿った料金・サービスを提案してくれます。

業務委託契約のデメリットとリスクは事前に把握しておこう

業務委託契約を結ぶ個人事業主・フリーランスは上述の通り、通常の労働法が適用されません。そのため、最初の契約が肝心となるため、場合によっては訴訟や損害賠償請求トラブルに発展することもあります。

少しでも自分に有利になるように、業務委託契約書はしっかりと熟読し、もし疑問点があれば担当者と打ち合わせして契約文面の修正を依頼するのがおすすめです。また、上記で紹介した法知識は自営業者であれば必ず身に付けておいてください。自分の身は最終的には自分で守らなければなりません。

「弁護士法人みやび」なら業務委託契約のあらゆるトラブルを解決|個人事業主向け

「弁護士法人みやび」なら業務委託契約のあらゆるトラブルを解決

東京に所在を置く弁護士法人みやびは、個人向けに退職代行サービスを提供している法律事務所です。退職代行は昨今民間企業も続々と実施していることでメディアから注目されていますが、通常は無期雇用の正社員やアルバイト、パートに適用されるサービスとなります。一方、弁護士法人みやびのような弁護士事務所であれば、今回のような業務委託契約の契約解除や、偽装請負、競業避止義務契約など、あらゆるトラブルにも対処することができます。

弁護士法人「みやび」は東京に本社を置き退職代行サービスを提供している法律事務所です。

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