IT企業のバックオフィスで評価されなかった30代女性が退職代行を使った話【モデルケース】
📋 この記事のモデルケース
| 業種 | IT企業・バックオフィス(経理・総務) |
|---|---|
| 雇用形態 | 正社員 |
| 年代・性別 | 30代前半・女性 |
| 勤続年数 | 4年 |
| 主な悩み | 評価格差・給与の頭打ち・転職活動中で退職を言い出せない |
| 退職方法 | 退職代行(弁護士法人)を利用 |
目次
IT企業のバックオフィスで働いていたころの状況
私は30代前半で、IT系のスタートアップに近い規模の企業でバックオフィス業務を担当していました。入社時は経理補助として入り、途中から総務・労務・法務補助まで業務範囲が広がっていきました。会社が成長するにつれて、私の仕事量も増えていきました。
最初の1〜2年は充実していた部分もありました。会社が大きくなっていく過程に関われている感覚がありましたし、やることが多い分だけ経験も積めると思っていました。決算補助、採用関連の書類整備、契約書の管理、備品の調達、社員の入退社手続き。様々な業務をこなしながら、「自分は会社の縁の下を支えている」と思っていました。
でも3年目に入ったあたりから、少しずつ気持ちが変わっていきました。きっかけは、同期入社のエンジニアの昇給を知ったことでした。
彼女は私と同じタイミングで入社しましたが、エンジニアとして開発に携わっていました。3年目の査定で大きく給与が上がったと話してくれました。私の給与はほとんど変わっていませんでした。もちろん職種が違います。でも、同じ会社に同じ年数勤めていて、これだけの差がつくのかと思うと、やるせなさが積み重なっていきました。
バックオフィスは「コストセンター」と呼ばれることがあります。直接売上を生まないため、評価されにくい。それは頭では分かっていましたが、現実として突きつけられると、「自分の4年間は何だったのか」という気持ちになりました。
評価されない現実に限界を感じた瞬間
限界を感じたのは、ある期の評価面談でのことでした。
その年は特に多忙でした。新しい会計システムの導入プロジェクトに関わり、ベンダーとのやり取りから社内への周知、マニュアル整備まで、ほぼ一人で対応しました。通常業務と並行していたので、残業も増えていました。「今年こそ評価に反映されるかもしれない」と、少し期待していました。
評価面談で上司に伝えたのは、「業務の幅が広がっている割に、給与への反映が少ないと感じている」ということでした。上司は「バックオフィスはどうしても上限があるからね」「頑張っているのは分かるけど、評価の仕組みが違うから」と言いました。
残業が増えても、業務範囲が広がっても、給与はほとんど変わらない。バックオフィスというポジションにいる限り、この会社では評価の天井があると分かりました。
転職活動を始めたのはそれからすぐのことです。求人を調べ、書類を出し、いくつかの会社と面接を進めました。でも、転職活動を進めながら、現職に在籍し続けることが日に日につらくなっていきました。
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転職活動中なのに退職を言い出せなかった理由
転職活動を始めてから、状況はかえって複雑になりました。
「内定が出たら辞めよう」と思っていました。でも、いざ内定が近づいてくると、どうしても退職を言い出せない自分がいました。
バックオフィスという仕事の性質上、私が抜けると会社の業務に大きな影響が出ます。給与計算、社会保険の手続き、契約書の管理——知っているのが私だけという業務が、いくつもありました。引き継ぎを考えると、「今のタイミングで辞めたら迷惑がかかる」という気持ちが常にありました。
上司は普段から「あなたがいないと回らない」と言っていました。最初はその言葉を評価として受け取っていましたが、転職活動を始めてからは重荷にしか感じられなくなりました。退職を告げたときに「あなたがいないと困る」「今辞められたら損害が出る」と言われることが、目に浮かびました。
もうひとつの問題は、転職先が決まる前から精神的にすでに消耗しきっていたことです。転職活動の合間に現職の業務をこなし、面接の準備をし、内定後の交渉も自分でやる。それが続くうちに、朝起きるのが怖くなっていきました。
内定をもらったある日の夜、退職願を書いてみました。でも、「誰に出すのか」「どう切り出すのか」と考えた瞬間に手が止まりました。そのまま何日も経ち、内定先からは入社日の確認が来ていました。
退職代行を知ったきっかけ・迷った理由
退職代行を検索したのは、「退職 言い出せない 転職先 決まった」というキーワードを入力したときでした。同じような状況の人がいて、退職代行を使って解決したという記事がいくつも出てきました。
最初は「自分でできないのか」と思いました。退職くらい自分で言えばいい、という気持ちも正直ありました。でも、4年間会社の重要業務を担ってきた分だけ、退職を告げたあとのやり取りが怖かった。引き止め、責任の話、損害の話——その展開を想像するだけで、体が固まりました。
調べる中で、弁護士法人が対応する退職代行があることを知りました。会社とのやり取りを代わりにやってもらえるだけでなく、万が一会社側が法的に何か主張してきた場合でも対応できるとのことでした。IT系の会社はコンプライアンスに敏感な会社もありますが、バックオフィスという立場で業務上の情報に触れていたため、退職時に何か言われないかという不安もあったので、弁護士法人という点は決め手になりました。
数日迷いましたが、内定先への回答期限が迫ってきたこともあり、申し込むことにしました。
実際に依頼してみた流れ(相談〜退職完了)
LINEで問い合わせから始めました。IT企業のバックオフィスで働いていること、転職先への内定が出ていて入社日が決まりつつあること、退職を自分で言い出せない状況であることを伝えました。返信は冷静で、状況に合わせた確認が続きました。
確認されたのは、会社名、雇用形態、最終出社日の希望、有給の残日数、社内の重要な連絡先(直属の上司)、貸与物の有無などでした。私はPCと社員証を会社から貸し出されていたので、返却方法についても確認しました。
依頼した翌日の朝、私は出社せず、自宅で待機しました。退職代行の担当者から会社へ連絡が入り、退職の意思と即日退職の希望が伝えられました。
数日後、会社から退職書類と返却物に関する連絡が担当者経由で来ました。離職票、源泉徴収票、健康保険の資格喪失証明書などについても確認してもらいました。貸与品は自分で郵送対応しました。
退職完了の連絡を受けたとき、内定先への入社手続きがすでに進んでいました。もっと早く相談していればよかったと思いましたが、間に合ってよかったとも感じました。

辞めた後の変化
退職してから最初の数日は、解放感よりも疲弊が先に来ました。転職活動と退職対応が重なっていたので、体が回復するまでに時間が必要でした。
でも、新しい職場で働き始めてからは、変化を実感しました。転職先でもバックオフィス系の業務ですが、評価制度が明確で、業務範囲と給与水準が整合していました。同じような仕事をしていても、前の会社とは扱われ方が違う。それだけで、仕事への気持ちが変わりました。
退職代行を使ったことを誰かに話すと、驚かれることがあります。「自分で言えばよかったんじゃないか」と言われることも、正直あります。でも、あの状況で自分から退職を切り出せていたかと言われると、分かりません。転職先の入社日が迫っている状況で、引き止めや責任論に向き合う精神的な余裕は、当時の私にはありませんでした。
退職代行に頼ることは、逃げることではなかったと今は思っています。それは「もう自分だけでは無理だ」というサインを、ちゃんとキャッチして動いた選択でした。
同じ状況の人へ伝えたいこと
IT企業のバックオフィスで働いている人の中には、私と同じように「評価されない」「給与が上がらない」「辞めたいけど言い出せない」と感じている人がいると思います。
エンジニアや開発職と自分の評価を比べたとき、やるせない気持ちになること。それが積み重なって、転職を考え始めること。でも、いざ退職を切り出そうとすると、「自分が抜けると会社が困る」「引き止められる」「何か言われる」という壁にぶつかること。そのサイクルに入ると、なかなか抜け出せません。
転職先が決まっているのに退職を言い出せない——その状況は、決して甘えではありません。バックオフィスという仕事の性質上、引き継ぎへの責任感が強くなるのは当然のことです。でも、その責任感を利用されて身動きが取れなくなるのは、おかしいことです。
退職は労働者の権利です。伝えることが怖いなら、代わりに伝えてもらう方法があります。一人で抱えて動けなくなる前に、相談だけでもしてみることを勧めます。





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