全部読む必要はありません。今困っている項目から進めます。民間企業で期間の定めなく(無期で)働いている人は、退職の意思を明確な書面で会社に届ければ、原則としてその後2週間で労働契約は終了します。上司の承認も後任の決定も、その条件ではありません(厚生労働省「確かめよう労働条件」)。ただし、有期契約、損害賠償の請求、未払い賃金、身の危険がある場合は、送る文面と次の一手が変わります。
対象は雇用契約で働く人です。役員の辞任、公務員の退職、業務委託の契約解除は扱いが異なるため説明しません。法律の説明は一般的な内容で、個別の事案の結論を保証するものではありません。
まず今日すること:状況別の案内
当てはまる項目のリンクから、必要な手順に進んでください。複数当てはまる場合は、下の安全の項目を最優先にします。
- 契約書がない・契約期間が分からない:会社への確認文と、返事がない場合の相談先
- 退職日を決めたい:到達が遅れた場合も含む日付の入れ方
- 後任がいないと言われる:退職の通知と引継ぎを分けて進める
- 退職届を受け取らない・返事がない:会社への送り方と届いた記録を残す
- 有期契約で明日出勤できない:欠勤連絡と合意解約希望の文例
- 有休を使って休みたい:残日数と退職日までの勤務予定を確認する
- 辞めたら払えと請求された:署名前に内訳と根拠を確認する
- 退職済みで給与が未払い:賠償の話と分けて賃金を請求する
- 暴力・拘束などの危険がある:手続きより安全の確保を先にする
- 貸与品・退職後の書類が未処理:返却先や書類が確認できない場合まで
文例へ直行:無期の退職届/有期で出勤が難しい/損害賠償の内訳照会/未払い賃金の請求
身の危険を感じるとき
上司の暴力、閉じ込めや帰らせない行為、自宅への訪問に恐怖があるなら、退職手続きより安全が先です。
- 安全な場所に移り、緊急のときは警察(110番)に連絡します。けががあれば受診し、受診の記録を残します。
- 証拠を取るために、危険な相手との対面を続ける必要はありません。記録は、メッセージ、着信履歴、診断書など、安全に確保できる範囲で構いません。
- 自分で会社に連絡できない場合は、家族や信頼できる人が状況メモを持って相談する方法があります。代理で受け付けてもらえるかは、窓口ごとに確認してください。
- 退職の意思表示は、対面ではなく書面やメールで行えます。送り方は後述します。
LINEでは、対応者・相談できる内容・料金を確認してから依頼してください。費用請求などの法的判断や交渉が必要な場合は、弁護士へ別途確認しましょう。
契約期間を確認し、退職日を決める
契約書がない・無期か有期か分からないとき
「正社員」「アルバイト」などの呼称や、手元に書類がないことだけで、無期か有期かを断定しないでください。まず次を探します。
- 最新の労働条件通知書、契約更新の書類
- 採用時のメール、電子交付されたPDF、社内システムの掲載
厚生労働省は、会社は契約締結時に契約期間を含む労働条件を明示する必要があり、労働者が望めば電子的な交付も可能と説明しています(厚生労働省Q&A)。また、書面がなくても口頭の合意で労働契約は成立します(厚生労働省「確かめよう労働条件」)。書類が揃うのを待たず、次の文面で会社に確認します。
使う条件:契約期間の定めの有無が、手元の書類で確認できないとき。
株式会社〇〇 人事ご担当者様
私の現在の労働契約について、契約期間(始期・終期、または期間の定めがないこと)と、その条件を明示した書面の写しを、交付または再交付してください。電子データでも構いません。〇月〇日までに、〇〇(メールアドレス)へお願いします。
作成日:〇年〇月〇日 氏名:〇〇〇〇
- 拒否された、または次の出勤日までに返事がない場合:求人票、入社日が分かるもの、更新履歴、採用時のメール、この照会の控えを持って、総合労働相談コーナーへ。当初の条件が明示されなかった疑いがあれば、労働基準監督署にも相談します。
- 資料が揃っていなくても相談できます。勤務が難しいなら、欠勤の連絡と受診を先に行い、契約の確認は並行して進めます(明日出勤できないとき)。
- 不明なままの状態で、無期用の退職届の「2週間」を流用しないでください。
契約書類で期間が分かるとき
契約書か労働条件通知書で「期間の定め」があるかを確認します。ここで使う文面が変わります。
| 契約 | 退職の基本 | 注意点 |
|---|---|---|
| 無期(期間の定めなし) | 退職の申入れから2週間で終了するのが原則(民法627条1項)。会社の承認は不要 | 就業規則が期間を大幅に延ばしたり許可を条件にしたりしても、無効とされるとの説明があります。手続き(様式・提出先)は確認します |
| 有期(期間の定めあり) | 期間中の退職には、やむを得ない事由が必要(民法628条) | 事由がないまま辞めると、会社に不測の損害を与えた場合に賠償責任が生じるリスクがあります |
| 会社と合意して辞める | 会社が承諾すれば成立する合意退職 | 承諾までは効果が生じません。日付を書面で確認します |
「退職願」と「退職届」は中身で分ける
退職願は、会社に承諾を求める合意退職の申込みと読まれやすく、会社が承諾するまでは効果が生じません。一方、確実に一定の日で辞めたいときは、必要な予告期間を見込み、合意退職の申込みと解釈されないよう退職の意思を明確に書いた「退職届」を出すのが無難だと、同資料は説明しています。争いになれば、題名だけでなく記載内容や当事者の言動で判断されます。無期の場合は「退職を願い出る」文面にせず、「退職します」と書いてください。
1年を超える有期契約と、条件が違っていた場合
- 1年を超える有期契約は、契約開始から1年を経過すればいつでも退職できます(労働基準法137条)。ただし、一定の事業の完了に必要な期間を定める契約や、法律で定める高度専門職・満60歳以上の人との契約は対象外です(厚生労働省・参照条文137条)。自分が該当するかは、契約書を持って個別に確認してください。
- 入社時に明示された労働条件が事実と違う場合、労働者は即時に契約を解除できます(同法15条2項。労働基準法)。対象は書面などで示された条件と実際の相違です。「思っていたより忙しい」という期待とのずれは、これに当たるとは限りません。契約書・求人票と実際の勤務条件を並べて比べ、相談時に見せてください。
退職届を受け取らない・返事がないときの送り方
無期契約で、上司が退職届を受け取らず、メールにも返事がない場合です。「提出」「到達」「承諾」を分けて考えます。
| 言葉 | 意味 | 無期の退職届で必要か |
|---|---|---|
| 提出 | 渡した、または送った | まず必要 |
| 到達 | 会社に届いた(届いた日を後から示せる) | 必要。2週間はここから数える |
| 承諾 | 会社が退職を認める | 不要(承認欄は前倒しの合意など手続き確認の意味) |
返事がないこと自体で、退職できない状態に戻るわけではありません。ただし、会社が「届いていない」と言い出す余地を減らすため、届いた事実が残る方法で送ります。
送る先と方法
- 上司だけでなく、人事部または会社代表宛に、メールと書面の両方で送ります。上司経由にこだわる必要はありません。
- 書面は、内容証明郵便に配達証明を付ける方法があります。内容証明は「いつ、どんな内容の文書を誰から誰宛に出したか」を日本郵便が証明する制度で、内容が真実かどうかは証明しません(日本郵便「内容証明」)。配達証明は配達した事実を証明するもので、実際の受取人が誰かは証明しません。内容証明は一般書留にする必要があります。謄本が2通必要で、字数・行数の制限もあります。必要な料金と形式は、日本郵便の案内か窓口で確認してください。
- 発送日、追跡番号、控え(謄本、受領証)は全部保存します。
日付を入れた例:到達日・退職日・最終出勤日
使う条件:無期で、会社に届いた日に争いがなく確認できるとき。以下は架空の例で、最短日の計算ではありません。
- 2026年10月1日に退職届が会社に届いたと確認できる場合、退職日を10月16日とします。到達から原則2週間以上を確保した例です。
- 実際の到達が10月4日に遅れたなら、16日では2週間未満になります。会社と早期の終了に合意するか、到達から2週間以上ある10月19日などの退職日を改めて明示して通知します。変更が争いになったら、独断で退職済みとせず、到達の記録と元の通知を持って弁護士等へ。
- 到達が不明、または受取拒否のときは、日付だけ決めず、下の「返送・受取拒否・返事なしのときの次の手」へ。発送日やメールの送信日だけで、到達したと断定しません。
- 退職日と最終出勤日と有給の日は別です。架空の勤務表:月〜金勤務で、10月10〜12日は所定休日。退職日は10月16日で、10月13〜16日の4所定労働日に有給を請求でき、残日数があり、会社の休暇の扱いも確認できた場合、最終出勤日は10月9日です。この例で休むのは10月13〜16日です。それより前の勤務日まで自動的に休みになるわけではありません(退職・年休)。
無期契約の退職届の文例
使う条件:無期契約で、会社に届いた日を後から示せる方法で送るとき。
株式会社〇〇 代表取締役 〇〇〇〇 殿(人事部 ご担当者様)
退職届
私は、貴社との期間の定めのない労働契約を、〇年〇月〇日をもって終了し、退職します。
本書は退職の意思を確定的に伝えるものであり、退職の承諾を願い出るものではありません。
引継ぎは、別途お送りする引継ぎ表の案に沿って進めます。連絡は〇〇(メールアドレスまたは電話番号)にお願いします。
作成日:〇年〇月〇日 氏名:〇〇〇〇(署名または押印)
文例の〇年〇月〇日には、到達の見込みから原則2週間以上の余裕を取った退職日を入れます。送った後に実際の到達日を確認し、遅れて期間が足りなくなった場合は上の日付例に沿って日付を調整・相談します。「発送日から2週間で辞めたことになる」とは決めつけません。
返送・受取拒否・返事なしのときの次の手
- 返送された、受け取りを拒否された場合:封筒、追跡の記録、日付を保存し、弁護士に相談します。到達したと言えるかは事情次第なので、自分では断定しません。
- 受け取られたが返事がない場合:配達記録を保存し、退職日までの勤務・引継ぎを進めます。体調や危険のため出勤できない場合は、下の「明日出勤できないとき」に沿って欠勤連絡や受診を行います。次の出勤予定日の前に、人事宛に「退職日は〇月〇日です。引継ぎの日程を〇日までにご指示ください」と再送します。
- 「認めない」と言われた場合:無期契約なら承認は要件ではありません。退職の意思は変えず、就業規則の手続き上の確認事項だけ書面で尋ね、争いが続くなら総合労働相談コーナーか弁護士へ進みます。
後任がいなくても、引継ぎと退職は別に進める
無期契約で後任が未定の場合です。「後任が決まるまで」という条件は、退職日を無期限に延ばす理由になりません。だから、次の2つを別々に出します。
- 退職の通知:退職の意思と退職日(前節の文例)。
- 引継ぎの提案:引き継ぐ内容と期限。ここで会社の意見を聞きます。
引継ぎ表は、会社のフォルダ、メールなど会社の環境に残します。私物のPCやクラウドには置きません。顧客データを私物へ持ち出すこともしません。
| 案件 | 現状 | 期限 | 保管場所 | 判断者 |
|---|---|---|---|---|
| A社の見積 | 先方回答待ち | 〇月〇日 | 共有フォルダ/A社 | 〇〇課長 |
| 月次報告 | 雛形あり、〇月分未作成 | 毎月5日 | 共有フォルダ/月次 | 〇〇部長 |
引継ぎ先の人がいないときは、人事などに「資料の保管場所はここです。引継ぎ先の指定をお願いします」と送ります。送った日付と依頼の履歴が、そのまま自分を守る記録になります。
通し例1:後任が決まらない営業担当(架空の状況例)
※この事例は説明のための架空の状況で、実際の体験談や実績ではありません。
条件:無期契約。退職届が会社に届いてから月末まで2週間以上ある。〇月末で辞めたいが、上司は「後任が決まるまで無理」と言う。
今日送る文例(上司・人事宛のメール):
先ほどの退職の件です。〇月〇日付の退職届のとおり、〇月末日をもって退職します。退職日は後任の決定を条件としていません。
引継ぎは、添付の引継ぎ表(案件・現状・期限・保管場所・判断者)で進めたいと考えています。手続き上の確認事項や、退職日の前倒しに関するご意見があれば、〇月〇日までにお知らせください。
返答別の次の行動:
- 承認:引継ぎ表の内容と最終出勤日を返信で確定し、そのメールを保存します。
- 拒否(「後任が決まるまで認めない」):退職日は変えず、引継ぎ表の作業を続けます。就業規則の手続き上の要求だけ、書面で内容を尋ねます。争いが続くなら、書面控えを持って総合労働相談コーナーか弁護士へ。
- 返事なし:書いた期限の翌日に、人事へ同じ内容を再送します。保管場所と依頼日は残します。引継ぎ先が決まらないままでも、退職日は動かしません。
明日出勤できないとき
無期で、有給が残っていて翌日休みたい
有給休暇は、労働者が請求した時季に与えるのが原則です。ただし事業の正常な運営を妨げる場合、会社は別の時季に変更できることがあります(労働基準法39条5項。条文)。ただし、退職日までに変更できる別の日がなければ、退職後へ変更して取得を拒むことはできません(厚生労働省・退職時の年休)。残日数・勤務予定・退職日をそろえて、可能な限り早く請求します。まず、次の3つを別の日付として整理します。
| 日付 | 意味 |
|---|---|
| 退職日 | 労働契約が終わる日 |
| 最終出勤日 | 実際に出勤する最後の日 |
| 有給の日 | その間に有給を使う具体的な日 |
使う条件:有給の残日数があり、退職日までの所定労働日を指定できるとき。
〇月〇日(〇)を有給休暇として請求します。給与明細では有給の残りは〇日と理解しています。所定労働日で、退職日〇月〇日までの範囲です。
- 残日数が足りない分は、自動で無給の休みになるわけではありません。休むなら欠勤の連絡が必要で、扱いは会社に確認します。
- 体調不良なら、欠勤の連絡をして受診します。会社が有休を拒む・返事をしない場合は、請求日と希望日を再送して記録を残し、次の出勤予定前に総合労働相談コーナー等へ相談します。休む連絡と、有休としての扱いは分けて確認してください。
- 有給は退職日までに使うものです。退職後に消化できるとは考えないでください。
有期契約で、ハラスメントのため明日の出勤が難しい
有期契約は、無期用の退職届(2週間で終了)をそのまま使えません。期間中に辞めるにはやむを得ない事由が必要で(民法628条)、その有無は個別の事情で決まります。診断書があれば即日退職できる、とは言えません。だからまず、安全と記録、そして合意による解約の希望を分けて動きます。
通し例2:入社1か月・3か月契約の場合(架空の状況例)
※この事例は説明のための架空の状況で、実際の体験談や実績ではありません。
使う条件:3か月の有期契約、入社1か月で出勤が難しい。上司の叱責と暴言が続き、明日の出勤がつらい。
今日送る文例(人事宛のメール):
体調不良のため、明日〇月〇日は出勤できません。医療機関を受診する予定です。
〇月〇日以降、上司から〇〇という発言が繰り返されており、安全に働けない状況です。契約期間の途中ですが、〇月〇日での契約の合意解約を希望します。合意解約へのご回答と、今後の連絡先を、書面でお知らせください。
返答別の次の行動:
- 合意:解約日、最終出勤日、貸与品の返却方法を、書面かメールで確定して保存します。
- 拒否(「契約満了まで来い」):日付、発言、受診記録を保存し、契約書を持って総合労働相談コーナーか弁護士へ。
- 返事なし:次の出勤予定日の前日までに、出勤の可否と欠勤の連絡を再送します。診断名や受診内容の詳細を一律に伝える必要はなく、必要な資料と提出先を確認します。返事がなくても連絡を絶たず、無断で来なくなる状態(バックレ)にしないでください。相談を並行して進めます。
違約金・損害賠償・給与不払いへの対応
「辞めたら50万円」と言われても、次の3つは別物として整理します。
| 種類 | 例 | 確認すること |
|---|---|---|
| 予定違約金 | 「辞めたら50万円払う」と事前に決めている | 労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定したりすることは禁じられています(労働基準法16条) |
| 実損の請求 | 「あなたのせいで実際に損が出た」 | 実際に労働者の責任で生じた損害の賠償請求まで禁じるものではありません。損害の事実、金額の内訳、根拠を求めます |
| 別契約の貸付・研修費 | 「研修費を返せ」 | 契約の内容によって扱いが変わるため、契約書を持って相談します |
出典:兵庫労働局「労働契約」。
損害賠償の内訳を書面で求める文例
使う条件:会社から「辞めるなら〇〇円」などの請求を受け、まだ支払いも署名もしていないとき。
〇月〇日付の「退職するなら〇〇円を支払え」とのご連絡について、次の点を書面でお知らせください。
1. 請求の内容(違約金、実際の損害、貸付・研修費のいずれか)
2. 事実と金額の内訳(いつ、何により、いくら)
3. 請求の根拠となる契約書の条項
〇月〇日までに、書面またはメールでご回答ください。回答があるまで、責任の承認や給与からの控除に同意する書面には署名しません。
- 内訳が示された場合:金額と根拠を契約書と照らし、納得できない部分は書面で異議を伝えます。実損の額や責任は、弁護士に見てもらってから判断します。
- 拒否された、または期限までに返事がない場合:支払いも署名もせず、照会文と会社の発言の記録を持って、総合労働相談コーナーか弁護士へ。請求が続くなら、期限を区切って同じ内容を再送し、その控えも残します。
- すでに責任を認める書面や給与控除の書面に署名した場合は、その書面を持って相談します。
- 実際の損害の請求は、法律上禁じられていません。「必ず支払わずに済む」とは言えないので、内訳を見てから判断します。
- 請求書や裁判所からの書類は、放置しません。裁判所の書類は、期限をすぐ確認し、弁護士に相談します。
退職済みで、未払い給与を違約金と相殺すると言われた
退職後、賃金や積立金などの請求があれば、会社は7日以内に支払う必要があります。賃金に争いがあっても、異議のない部分はその期間中に支払わなければなりません(労働基準法23条)。賃金は通貨で全額を支払うのが原則で、控除できるのは法令の定めや書面による労使協定がある場合です(同法24条)。損害賠償の請求があるというだけで、会社が給与を一方的に差し引けるわけではありません。税金などの控除とは分けて考えます。本人が自由な意思で相殺に同意した場合などは別の判断になるため、署名済みの書面がある人はそれも相談先に見せてください(厚生労働省・賃金と他の債権の相殺)。賃金の請求と、賠償をめぐる争いは、別件として書類を分けて保存します。
通し例3:退職済みで賃金が払われない場合(架空の状況例)
※この事例は説明のための架空の状況で、実際の体験談や実績ではありません。
使う条件:〇月〇日に退職済みで、賃金が未払い。〇月分の給与〇円が未払いで、会社は「研修費の違約金と相殺する」と言う。
今日送る文例(書面。内容証明・配達証明も選べます):
私は〇年〇月〇日から〇年〇月〇日まで貴社に勤務しました。〇月分の賃金〇円が未払いです。労働基準法23条に基づき、本書到達後7日以内に、次の口座へ支払うよう請求します。
口座:〇〇銀行〇〇支店 普通 〇〇〇〇 名義〇〇〇〇
賃金の計算内訳(基本給、手当、控除の項目と根拠)も、あわせてお示しください。「違約金との相殺」を主張される場合は、その根拠を書面でお示しください。賠償をめぐる件は、別途書面でお答えします。
返答別の次の行動:
- 支払い:入金額を計算内訳と照らして確認し、足りなければ差額を書面で請求します。
- 拒否(相殺すると主張):異議のない部分の支払いを求めます。未払い賃金は労働基準監督署へ、賠償の争いは弁護士へ、並行して相談できます。
- 返事なし:請求書に書いた支払期限の翌日に、請求書の控え、配達記録、給与明細、雇用契約書を持って、労働基準監督署か総合労働相談コーナーへ行きます。
LINEでは、対応者・相談できる内容・料金を確認してから依頼してください。費用請求などの法的判断や交渉が必要な場合は、弁護士へ別途確認しましょう。
相談先の選び方と持参メモ
| 相談先 | 向いている場面 | 覚えておくこと |
|---|---|---|
| 総合労働相談コーナー | まず状況を整理したい。会社との調整を進めたい | 無料。電話か面談で、予約不要。土日祝と年末年始は閉庁。助言・指導やあっせんの案内あり。相談しただけで会社との合意や退職日が確定するわけではありません |
| 労働基準監督署 | 賃金不払いなど、労働基準法などの違反が疑われる | 賃金などの違反について調査・是正指導を行う窓口です。退職日の争いや損害賠償額を裁判のように確定する窓口ではありません |
| 弁護士 | 退職日の争い、届いたかの判断、実損の請求、代理交渉・訴訟 | 費用は事務所ごとに違います。事前に確認します |
| 労働組合 | 団体交渉で会社と話したい | 加入や対応の範囲は、相談前に確認します |
| 民間の退職代行 | 会社への連絡を代わりに行ってほしい | 意思の伝達と、法律上の交渉は別です。「弁護士監修」は、弁護士が依頼を受けて対応することとは限りません。誰が対応するのか契約前に確認します |
| 警察 | 暴力、拘束、自宅訪問などの危険 | 緊急なら110番 |
相談用メモ(そのまま書き写せます)
- 雇用期間:無期/有期(〇年〇月〇日まで)
- 退職の通知日と届き方:〇月〇日、メール/郵便(追跡番号〇〇)
- 希望する退職日:〇月〇日
- 次の出勤予定日:〇月〇日
- 会社に言われたこと(日付・相手・発言):
- 未払いの額と月:
- 手元にある資料:契約書、給与明細、メール、診断書、送付控え
- 会社に連絡する前の希望(退職日、引継ぎの範囲など):
退職日まで、退職後の返却・書類チェック
退職日まで
- 退職の通知の控えと、届いた記録を保存した。
- 引継ぎ表を会社の環境に置き、依頼の履歴を残した。
- 有給の請求日、最終出勤日、退職日を分けて書面に書いた。
- 署名を求められた書面は、内容を確認するまで署名していない。
- 顧客データなどを私物に持ち出していない。
退職後
- 貸与品(PC、鍵、社員証、制服など)は、返却先と方法を、メールなど記録で確認します。追跡できる発送方法を使い、送った物の一覧の控えを取ります。
- 会社が返却先を答えない場合は、返却物の一覧と返却する意思を人事・代表宛に再送し、安全に保管します。返却先や配送可否が確認できないまま高価な機器を発送せず、無断で廃棄・使い続けることもしません。受け取りを拒まれたときや、物の扱いで争いになったときは、記録を持って相談します。
- 必要な書類が届かないときは、どの書類をいつ依頼したか、会社の返答は何かを記録します。
- 離職票が届かないときは会社に処理状況を確認し、手続きされない・督促しても届かない場合は、住所地を管轄するハローワークへ相談します。本人確認書類と退職したことがわかる書類、依頼・返答の履歴を用意してください(厚生労働省Q&A)。退職の成立と書類の受領は別なので、書類が届くまで退職できないとは考えないでください。
- 未払いの賃金や金品があれば、前の節の請求文を使います。
よくある質問
後任が見つかるまで辞められないと言われました。従う必要がありますか。
無期契約なら、退職の申入れから原則2週間で契約は終了し、後任の決定は条件になりません。退職の通知と引継ぎの提案を分けて書面で送り、引継ぎ表は会社の環境に残してください。争いが続く場合は総合労働相談コーナーか弁護士に相談します。
上司が退職届を受け取ってくれません。どうすればよいですか。
上司への提出にこだわらず、人事部や会社代表宛に、メールと書面で送ります。書面は内容証明に配達証明を付ける方法があります。返送や受取拒否があった場合は、封筒、追跡、日付を保存して弁護士に相談します。発送日から2週間で退職になったと自分で決めず、届いた日を確認してください。
有期契約の途中で辞めると損害賠償を請求されますか。
有期契約の途中でも、会社と合意すればその日で終了できます。合意がない場合は、やむを得ない事由などの条件を確認します。事由なく辞めて会社に不測の損害を与えた場合は賠償責任のリスクがあります。1年を超える契約の開始から1年経過後に申し出て退職できる規定にも例外があるため、契約書を持って相談してください。
「辞めたら50万円」と言われました。払う必要がありますか。
あらかじめ違約金や賠償額を決める契約は労働基準法で禁じられています。一方、実際に生じた損害の請求までは禁じられていません。責任を認める書面や給与控除への同意には署名せず、請求の内容、金額の内訳、根拠を書面で求めてください。
退職代行を使えば確実に辞められますか。
確実とは言えません。会社への意思の伝達と、退職日や金銭をめぐる法律上の交渉は別です。弁護士監修とあっても、弁護士が受任して対応するとは限りません。契約前に、誰が何を行うのかを確認してください。
今の状況で、次にする一つのこと
- 危険がある:安全な場所へ移り、緊急なら警察へ。
- 契約期間が分からない:探した書類を確認し、なければ書面の写しの交付を会社に求める。
- 無期で、返事がない・後任がいない:退職届(前の文例)を人事か代表宛に、届いた記録が残る形で送る。
- 有期で、出勤が難しい:欠勤連絡と受診を今日中に行い、契約書を用意する。
- 金銭を請求されている:署名せず、内訳を書面で求める。
- 退職済みで未払いがある:請求書を送り、控えを保存する。
相談窓口の営業日は限られます。土日祝の前に、相談用メモを一度書き出しておくと、窓口で話が早くなります。
出典一覧
LINEでは、対応者・相談できる内容・料金を確認してから依頼してください。費用請求などの法的判断や交渉が必要な場合は、弁護士へ別途確認しましょう。





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