「もう今日から会社に行けない」と感じたとき、最初に押さえてほしいのが「退職日」と「休む日」は別のものだという点です。この2つを混同したまま連絡すると、退職が成立していないまま欠勤が続いたり、有給の残日数を誤って計算してしまう誤認につながるおそれがあります。この記事では、契約の種類ごとに退職日の決め方を整理し、今日連絡できない場合の手順、返事がないときの対処法、損害賠償と返却の注意点までステップ順に説明します。
「どう連絡すればいいか分からない」「自分では言い出せない」という方は、まず無料相談から確認できます。
※LINEでの相談は無料です。退職代行の依頼(実施)には別途料金がかかります。即日退職を保証するものではありません。
目次
会社を突然辞める前に退職日と休む日を分ける
「突然辞める」という状況には、次の2つの異なる日程が含まれています。
- 今日(または近い日)から会社に行かない日:欠勤・有給消化など、出勤しない状態が始まる日
- 退職日:雇用契約が正式に終了する日。契約の種類によって決め方が異なる
「今日から行かない=今日退職」ではありません。退職日が確定するためには、退職の意思を会社に伝え、契約の種類に応じた手続きを経る必要があります。退職日が確定していない段階で「本日付で退職しました」と扱うのは誤りです。
有給休暇を使って退職日までの期間を乗り越えようとする場合も、退職日そのものが変わるわけではありません。退職日までの所定勤務日に有給を充てるというかたちです。有給残日数は暦日(カレンダー上の日数)ではなく所定勤務日で数えます。たとえば退職まで14暦日あっても、週休2日の場合の所定勤務日は10日程度になります。「14日後に辞める=有給が14日必要」とはなりません。
退職日までに取得する有給を、退職後の日に変更することはできません。ただし、当日の連絡だけで有給扱いが確定するわけではありません。残日数・取得希望日・申請手続きを確認してください。厚生労働省の年次有給休暇の解説も参照できます。

契約別に退職日を確認する
退職日の決め方は雇用契約の種類によって異なります。自分の契約がどれに当たるかを確認することが最初の一歩です。口頭での約束しかない・雇用契約書を受け取っていない場合は、雇用契約書の内容が異なる・書面がない場合の確認方法も参照してください。

無期雇用(契約期間の定めなし)
民法627条第1項に基づき、退職の意思表示が会社に到達した日から2週間後が退職日の原則です。「伝えた日」ではなく「届いた日(到達日)」からカウントします。就業規則の申告先や手続きも確認してください。会社から「1か月前でないと辞められない」と言われた場合は、規則だけで判断せず、通知内容や契約を整理して総合労働相談コーナーに相談できます。厚生労働省の退職・解雇の解説では、辞職と合意退職を区別しています。

有期雇用(契約期間の定めあり)
原則として契約期間の満了まで働く義務があります。ただし、「やむを得ない事由」がある場合は途中解約が認められることがあります(民法628条)。体調不良があっても、それだけで自動的に「やむを得ない事由」と判断されるわけではないため、自己判断で退職日を決めず、まず相談窓口や弁護士に確認してください。
なお、労働基準法137条は「1年を超える期間を定めた労働契約」の場合、契約開始日から1年が経過した後に申し出れば退職できるという規定です。「更新を含む通算勤続1年」だけでこの条件を満たすとは限りません。また、一定の事業完了を目的とする契約・高度な専門的知識を有する労働者(労基法14条1項1号)・満60歳以上の労働者(同2号)は例外です。
労働基準法14条・137条の原文で対象と例外を確認できます。明示された労働条件と事実が違う場合には、労働基準法15条2項による即時解除が問題となることもあります。単に契約書がないこととは区別し、上記の関連記事と公的窓口で確認してください。

合意退職を希望する場合
会社と合意が成立すれば、任意の日付を退職日にできます。ただし、会社の回答を確認してから退職を確定させてください。合意を求める連絡を送った時点では、まだ確定していません。返事がないまま「合意が取れた」と思い込むと、後から手続き上の問題が生じることがあります。

業務委託・公務員・役員の場合
業務委託は原則として委託契約の内容を確認します。ただし、契約名が業務委託でも実態が労働者に当たる場合は、労働基準法の適用が問題になるため、働き方も含めて相談してください。公務員や会社役員には雇用契約とは異なる退職・辞任の手続きがあります。民間の労働者向けの「原則2週間」をそのまま当てはめず、任命権者・人事担当者や専門家に確認してください。

今日会社に行けないときの連絡手順
「今日どうしても行けない」という状況での連絡は、目的によって内容を分けることが大切です。2つを同じ連絡でまとめようとすると、「退職の意思が伝わったのか」「今日休む連絡だけなのか」が曖昧になります。
- 今日の欠勤連絡:今日(または明日以降)の出勤ができない旨を伝える
- 退職の通知:退職の意思表示をする(別の機会でも可)
体調によっては退職の話まで今日する必要はありません。まず欠勤の連絡を入れ、体調が落ち着いた段階で退職の話をするという流れも選択肢のひとつです。

体調が限界の場合はまず受診を
精神的・身体的に追い詰められている場合は、連絡より先に医療機関への受診を優先してください。診断書を取得しておくと、有期契約のやむを得ない事由の説明や傷病手当金の申請など後の手続きに役立つことがあります。

文例①:今日の欠勤連絡(退職の話をしない場合)
件名:本日の欠勤について([氏名])
お世話になっております。[氏名]です。
体調不良のため、本日は出勤が難しい状況です。
ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
状況が落ち着き次第、あらためてご連絡いたします。
文例②:退職の意思を合わせて伝える場合
件名:退職の通知と本日の欠勤について([氏名])
お世話になっております。[氏名]です。
本日は体調不良のため出勤できません。欠勤の手続きについてご案内ください。
あわせて、[退職日]をもって退職する旨を通知します。
通知の受領、退職日までの勤務・休暇の扱い、引継ぎと返却先についてご回答ください。
文例②は無期雇用で、会社への到達から原則2週間以上先の退職日を記入する場合の例です。有期契約や、合意によってそれより早く辞めたい場合は、退職希望日と合意を求める内容を分けて伝えてください。文例は説明用で、実際の体験談ではありません。


電話が難しい場合
声が出ない・精神的に電話できない状況であれば、メールやチャットツールでの連絡も有効です。誰に送ればよいか迷う場合は、直属の上司→その上の上司→人事部門の順で確認先を探してください。今日の勤務連絡は始業前を目安に行い、返答がなければ当日中に別の連絡手段・担当者も確認します。退職通知の受領確認は、自分で回答期限を設定して再連絡してください。未回答のまま放置すると「連絡がなかった」と扱われるリスクがあります。
「自分では会社に言えない」「連絡が怖い」という方は、退職代行への相談も選択肢のひとつです。
※相談は無料です。退職代行の依頼(実施)には別途料金がかかります。費用の目安はこちら

返事がない・有給が足りないときの確認表
退職の意思を伝えた後、「会社から返事がこない」「有給が足りなくて退職日まで出勤できない」という状況で、次に何をすればよいか分からなくなる場合は、以下の確認表で状況を整理してください。
| 状況 | 残る確認事項 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 退職の意思を伝えたが返事がない | 到達確認(メール開封・既読・配達記録) | 回答期限を示して受領確認を再依頼。届いたか不明なら配達記録が残る郵送方法を相談 |
| 有給残日数が退職日までに足りない | 所定勤務日数と残有給日数の照合 | 不足分の欠勤扱い・無給可否を会社に確認 |
| 退職日を会社が認めない | 契約種別・就業規則の退職申告期間 | 労働基準監督署または総合労働相談コーナーへ相談 |
| 有給申請を拒否された | 退職日前の申請か・会社の時季変更権の行使有無 | 退職後への時季変更はできない。取得希望日と拒否理由を書面で確認 |
| 合意退職を申し出たが回答がない | 合意の可否がまだ確定していない状態 | 回答確認まで退職確定と扱わない。期限を設けて再確認 |

記録しておく4つの項目
後からトラブルになったときに確認できるよう、以下を手元に残しておくことをおすすめします。
| 記録事項 | 内容・メモ欄 |
|---|---|
| 通知日 | 退職の意思を会社に伝えた日(送信日・投函日) |
| 到達確認日 | 会社側に届いたことを確認できた日(既読・返信・配達記録) |
| 退職日(予定) | 到達日から2週間後(無期の場合)または合意した退職日 |
| 勤務扱い | 退職日までの期間:有給消化・欠勤・通常出勤のいずれか |
欠勤は会社が無給扱いとする場合があります。「欠勤すれば自由に休める」という保証はなく、給与控除の有無については事前に会社への確認が必要です。

損害賠償と返却・書類の注意点
損害賠償について
会社から「損害賠償を請求する」と言われた場合、まず以下を区別してください。
- 予定賠償・違約金の禁止:労働基準法16条により、会社はあらかじめ賠償額を設定すること(「退職したら○万円払え」など)はできません
- 実損害の請求:あなたの退職によって会社に具体的な損害が発生した場合、損害賠償請求が認められる可能性はゼロではありません
「2割以下しか認められない」などの一律の上限は法律に定められておらず、損害の内容・金額だけでなく、責任の原因や因果関係など個別の事情によって判断が異なります。会社が賠償を主張したことだけで支払義務が確定するわけではありません。賠償名目で賃金から一方的に差し引くことも原則としてできません。その場で安易に支払いに同意しないことが重要です。内容を確認し、必要であれば弁護士に相談してください。
厚生労働省の損害賠償に関する解説では、あらかじめ定める違約金と実際の損害への請求を区別しています。


引継ぎの範囲
体調や状況が許す範囲での引継ぎを行うことは望ましいですが、体調が悪い場合は医師の助言も踏まえ、できる範囲や代替方法を会社と確認してください。業務に関連する社内情報・顧客情報の持ち出しは禁止です。データのコピーや社外への転送は行わないようにしてください。
備品の返却
会社から貸与された備品(PC・スマートフォン・社員証・制服など)は返却が必要です。貸与品の返却手順も参照し、返却時には以下を記録しておくとトラブルを防げます。
- 返却した日付
- 受け取った担当者の名前
- 返却先の住所・部署(郵送の場合)
受け取るべき書類
離職票は必要に応じて会社に交付を依頼し、源泉徴収票の送付先も確認してください。会社が預かっている雇用保険被保険者証・年金手帳などは返却を依頼します。離職票や雇用保険の書類が届かない場合はハローワークへ、年金の記録・手続きは年金事務所へ確認してください。
退職代行を選ぶ場合の注意
退職代行サービスには民間業者・労働組合・弁護士法人の3種類があり、対応できる範囲が異なります。民間業者は主に意思の伝達を担います。労働組合は適法な団体交渉を行うことができますが、個別の損害賠償紛争や訴訟などへの対応は弁護士に相談してください。料金だけで選ぶと必要なサービスを受けられないケースがあるため、法的対応範囲も確認してから選んでください。費用の比較は退職代行の料金・費用相場で確認できます。また、公的な無料相談窓口として各都道府県の労働局が運営する総合労働相談コーナーがあります(個人に代わって会社と交渉することはできませんが、情報提供や制度説明を受けられます)。
よくある質問
今日から会社に行かなければ、それで退職になりますか?
今日から出勤しないことと、退職日が確定することは別です。無期雇用の場合、退職の意思表示が会社に到達した日から原則2週間後が退職日です。今日から欠勤しても、その日が即退職日になるわけではありません。まず退職の意思を会社に伝え、退職日を確認する手続きが必要です。
有給が足りない場合、残りの日は欠勤するしかないですか?
有給が不足する場合、残りの日は欠勤扱いになることがあります。欠勤は給与控除の対象になる場合があり、「欠勤すれば自由に休める」という保証はありません。欠勤の扱いや給与控除の有無については会社に確認することをおすすめします。合意退職を交渉して退職日を早める選択肢もあります。
会社から損害賠償を請求すると言われました。支払わなければなりませんか?
労働基準法16条により、会社があらかじめ賠償額を定めることは禁止されています。ただし、あなたの退職によって会社に実際の損害が生じた場合、損害賠償請求が認められる可能性はゼロではありません。損害が生じたことだけで支払義務が確定するわけではなく、責任の原因や因果関係なども含め個別に判断されます。一律の「2割以下」という上限はありません。その場で安易に支払いに同意せず、内容を確認し、必要であれば弁護士に相談してください。
退職代行を使えば、自分は何もしなくていいですか?
退職代行は会社への連絡を代行するサービスですが、すべての手続きが不要になるわけではありません。備品の返却や書類の受け取り、健康保険・年金の切り替え手続きなどは本人が行う必要があります。また、民間業者が担う意思伝達と、労働組合の団体交渉、弁護士の紛争対応は範囲が異なります。賠償請求など個別の法的紛争は弁護士に確認してください。
退職代行に相談すると、すぐに退職できますか?
退職代行に相談・依頼しても、即日で退職が完了するとは限りません。無期雇用の場合、退職日は意思表示到達から原則2週間後です。合意退職が成立すれば退職日を早めることも可能ですが、会社側の合意が必要です。即日対応という表示が、当日中の契約終了を意味するとは限らないため、退職日については代行業者への確認が必要です。
まとめ
- 「今日から行かない日」と「退職日」は別。退職日は契約種別と手続きによって決まる
- 無期雇用は意思表示の到達日から原則2週間後が退職日。就業規則の申告期間だけで退職日が変わるとは限らない
- 有期雇用の途中退職は会社との合意、やむを得ない事由、労基法137条など、利用できる条件を確認する
- 有給残日数は所定勤務日で数える。14暦日後に辞めるからといって有給が14日必要なわけではない
- 欠勤は無給になる場合があるため、事前に会社に扱いを確認する
- 損害賠償の予定額設定は禁止されているが、実損害の請求は状況によって認められる可能性がある。その場での同意は避ける
- 退職代行は民間・労組・弁護士で法的対応範囲が異なる。労組の団体交渉や弁護士の紛争対応など、必要な範囲を確認する。公的な無料相談窓口として総合労働相談コーナーも活用できる




コメントを残す