退職代行業者のホームページを見てみると「退職成功率100%」といったPRをしている企業を見かけます。ここでは成功率に隠された落とし穴と推奨される退職方法を紹介します。
目次
すべての業者に共通する退職代行サービスの交渉・対応方法
退職代行業者は大きく分けて弁護士と一般企業(労働組合加盟含む)がサービスを提供していますが、いずれも依頼者の会社に退職通知をする手段と具体的な連絡方法は共通しています。
まず、依頼者と打ち合わせて会社に連絡する人を決め、当日は一般的に電話で会社に連絡します。
そこで依頼者が会社を退職したい旨、本日以降出勤ができない旨、退職日までの期間を有給休暇の消化に充てる旨を伝えます。もし会社側がこちらの意向を聞き入れない場合、法律を盾に取ることになります。
民法627条
民法電子版(総務省)
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
上記は民法記述の通称「退職2週間の法則」です。労働法が適用される無期雇用の社員は、退職する旨を会社に伝えたのち2週間後に労働契約を解除(=退職)できるものとされます。日本では職業選択の自由が憲法で保障されているため、会社側が引き止めることは本来できません。
退職代行の成功率100%の真相と業者の選び方の注意点
退職代行業者のホームページを見てみると、「退職成功率99%」、「失敗する確率0%」といったキャッチをよく見かけますが、これは本当なのでしょうか?
上記で解説したように、法律上会社は従業員の退職を止める術を持ちません。日本社会では慣例的に就業規則の退職規則に則り3か月前に退職を申し入れ、さらに退職届を出して引き継ぎをすることになりますが、法令上は2週間となるほか、退職届の提出や引き継ぎをする必要もありません。
そのため、退職代行業者が「従業員が退職を希望しているので退職手続きをしてください」といえば会社側は原則断ることができません。そのため、弁護士ではない一般企業であっても高い退職率を誇ることができるのです。
しかし、退職成功率100%には実は大きな落とし穴があることを知っておかなければなりません。弁護士ではなく一般企業に退職代行を依頼する人は、以下をよく留意して問い合わせるか否かを判断するようにしましょう。
退職代行の選び方は成功率ではない。交渉に失敗するリスク事例
退職代行の選び方で大切なのは成功率ではありません。なぜなら、実際に退職代行に依頼して失敗してしまう事例もあるからです。ここで言う失敗する事例とは、「退職できない」問題と「退職はできるけど条件がついてしまう」リスクです。
退職代行業者の選び方の失敗事例:成功率は高いけど退職できない
上記の法律を掲げても退職できない原因は「退職代行業者に経験豊富な実績を有する人間がいない」ことが挙げられます。もともと退職代行は法律の専門家である弁護士の業務範囲です。それを素人が利益を上げるためにやってしまうと、会社側の顧問弁護士に言いくるめられてしまったり、逆に損害賠償を請求されたりと依頼者が不利益を被るケースも報告されています。
退職できるけど失敗と同じ?条件とは
一方で退職はできるものの、「退職日までの2週間は会社に出勤しなければならない」、「退職する前に社長と面談しなければならない」、「有給休暇は消化できない」、「退職金が減額」といった条件が会社側から提示され、経験の浅い退職代行業者の担当者が要求を呑んでしまうといったリスクがあります。この場合、退職はできるため成功率は100%を維持したままとなりますが、依頼者は「退職代行に依頼して成功した」と果たして考えるでしょうか。
退職できる成功率は100%でも「即日退職」はトラブルや追加費用が発生するかも
退職代行ではしばしば「即日退職」と言う言葉を使いますが、これは「業者が会社に連絡した日を境に出社する必要がなくなる」という意味合いがあります。
非常に助かるサービスではありますが、繁忙期で業者のスタッフが多忙を極めるときや、連絡の不備で即日退職が実現しないこともあります。また、一般企業の退職代行業者だと折り合いがつかないことも十分可能性があります。
業者によっては即日対応は「特急料金」など別費用を取るところも少なくありませんので、契約する前によく調べておくのがいいでしょう。
成功率ではない退職代行業者の選び方:実績のある弁護士法人に依頼する
上記からもホームページ上に退職代行業者が謳う「成功率100%」には落とし穴があることが分かります。そこで、このような失敗リスクを避ける方法の1つが「退職代行の実績が豊富な弁護士法人に依頼する」ことです。退職代行サービスを提供している弁護士法人は労働問題を専門に扱う事務所となるので、会社側がどんな手段に出ても深い法律知識によって解決ができます。
退職代行の選び方:未払いの残業代請求や有給消化の成功率はどのくらい?
退職代行に依頼を検討している人の中には「未払いの残業代過去3年分を請求したい」、「有給休暇がたくさん残ってるから、すべて消化したい」と考えている人もいるでしょう。
正式に未払いの残業代を請求するのであれば、これは一般企業ではなく弁護士事務所の業務となるので、弁護士法人に依頼するようにしてください。また、残業代を請求できるか否かは弁護士業界では「勝率(成功率)」という言葉を使いますが、「残業をした証拠」と「残業代が支払われていない証拠」があれば勝率を上げることは難しくなく、成功率も高いです。
また、有給休暇の取得は労働者の「権利」となるため、こちらも会社側が拒否することは原則できません。
ちなみに残業代の請求や有給休暇の消化は労働組合加盟の退職代行業者でも交渉が可能ですが、相手が交渉を受け入れなかったり、訴訟に発展する場合は一般企業では対応ができませんので、「最初から弁護士に依頼しておけばよかった」と後悔することもあるかもしれません。
まとめ:退職代行業者の選び方は成功率だけじゃない!評判や口コミを吟味して
今回は退職代行業者を選ぶにあたり、成功率の落とし穴を具体的に紹介しました。退職代行は法律に基づいて依頼者の退職手続きを会社側に通知しますが、場合によっては出社しなければならない、などトラブルも想定されます。
そういった問題を避けたい人は、最初から弁護士法人に依頼するのがおすすめです。
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