「退職代行に頼んで会社を辞めたいけれど、いまの社宅はどうするの?」と疑問に思っている方も多いようです。引き続き住めるのか、引っ越しするタイミング、引き払う手順など、退職代行に依頼したあとの流れをご紹介します。
目次
自分で辞めるときと退職代行を使う場合の社宅の流れは同じ
まず押さえておいてほしいのは、退職代行を使う場合と使わない場合、社宅の引き払い方や交渉の流れは同じとなります。引き払うにしろ住み続ける交渉をするにしろ、退職代行が何かできることは数少ないのが実際のところです。
会社が「いますぐ出ていけ!」と無理を言ってきた場合はどうする?
ただし、もし会社側がブラック企業で、「いますぐに出ていけ」といった理不尽な対応をしてきた場合は、退職代行が法律の下で会社側に冷静な判断を促しつつ、合法的に依頼者には一定期間社宅に住み続けられるよう、交渉をすることが可能です。
会社を退職後に社宅退去に伴う違約金・敷金を払えと言われている
今の会社を退職するにあたって、会社側から「クリーニング代とは別に違約金の支払いが必要。家賃の2か月分だ」、「敷金を未だ払っていないのだから、1か月分支払う必要がある」と言われて途方に暮れている人もいるでしょう。
まず、社宅を退去する際に違約金が発生するケースは、短期解約違約が考えられます。自己都合で短期間で社宅を退去する際に発生する違約金で、こちらの支払いの有無は「賃貸借契約書」や「社宅規定」を確認することで理解することができます。
契約書や規定に支払う必要があることが記載されていない場合は支払う義務はありません。それを知らずに会社の事務担当者が誤って請求する可能性はありますので注意しましょう。
ただし、短期解約違約金でなければ、違約金というのは単なる嫌がらせの可能性もありますので、理不尽な要求にはこちらが争う姿勢を見せることで会社側が引き下がる可能性があります。
一方で敷金に関しては、会社と貸主との契約となりますが、通常は契約時に会社が貸主に払っているため、社宅退去時に貸主が会社に返金するのが普通です。そのため、退去する従業員が支払う義務はありません。もし貸主が従業員の銀行に敷金を振り込んでいるならば、そのお金は会社に返金しなければなりません。
退職代行を使う前に、自分が社宅にいつまで住めるかを知ろう
退職代行を利用する前に、まずは会社を辞めたら社宅にいつまで住めるのか、もしくは、継続して住み続けたいのかを考えてみるといいでしょう。
社宅を引き払う時期は、原則「退職日=退去日」
通常、社宅を引き払うタイミングは、退職日となります。しかし、現実的な問題として退職日に退去ができないことも多々あります。そのため、社宅の退去日は会社側と要交渉、というのが多いケースとなります。
有給の有無で社宅を引き払うタイミングは変わる?
退職代行を利用して有給休暇を使ったり、または有給がすでにない場合など、有給休暇の消化によって社宅の引き払うタイミングは変わるのでしょうか。
まず、有給休暇の消化中は無論のこと会社に在籍しているので、社宅を引き払う必要はありません。
一方で有給休暇がない場合は、退職日が退去日となります。有給休暇がある場合でも、退職日が退去日であることには変わりありませんので、退職代行を利用するさいは、退職日にもしっかりと言及してもらうようにしましょう。
とはいえ一般的には月末となるので、当月末を目途に社宅を引き払う準備をしてみてはいかがでしょうか。
自分が家賃を払っている場合は社宅の退去は6か月後ってほんとう?
こちらはよくある問合せの1つです。社宅といっても、100%会社が家賃を払ってくれる場合もあれば、会社から近い物件として提供はしてくれているが、家賃は自分が払っている、あるいは、会社から出る家賃補助は微々たるもの、といったケースなどがあります。
その内、社宅の退去が6か月後でかまわないケースというのは、「社宅の家賃を100%自分が払っている」、あるいは「会社から家賃補助は出ているが、家賃の割合や周辺物件の相場に対して少しの割合でしかない」場合となります。
この場合は「借地借家法」が適用され、会社側は社宅に住んでいる従業員を退去させるさいは6か月前の申し出が法律で決められています。ただし、ご想像の通り「少しの割合」というのがどのくらいの金額が境になるかは、裁判でも争う焦点となります。
退職代行を利用して今の社宅に住み続けることは可能か
一方で退職代行を利用して会社を辞めたいけれど、いまの社宅に住み続けたい場合は、どのような条件があるのでしょうか。
基本的に、いま住んでいる社宅が会社所有の不動産であれば、住み続けることはできません。
一方で、会社が借り上げている場合は、いままでの契約が土地オーナー⇔会社→自分だったのが、土地オーナー⇔自分のように、土地オーナーと直接交渉することで、退職代行で会社を辞めたあとも引き続き住むことができます。
ただし、社宅に住むということは、辞めた会社の人間とも引き続き会うことになります。場合によっては嫌な先輩上司もとも顔を合わせることもあるでしょうし、仕事のことで突然訪問されることもあるかもしれませんよ。
自己都合退職で会社の借り上げ社宅は住み続けることはできない?
会社で働いていたときは会社が借り上げていた社宅のマンションに住んでいた従業員が、自己都合退職で会社を辞めた場合、社宅は住み続けることはできないのでしょうか。
社宅とはそもそも会社が所有している不動産か否かは場合によりけりです。上記でも説明したように、仮に会社が所有している財産であれば、そこに退去命令後も住み続けてしまうと、場合によっては不動産侵略罪で損害賠償を請求される可能性もあります。
一方で会社が所有しているわけではなく、あくまでも借り上げというのであれば、その社宅を貸している土地オーナーが別に存在するはずです。
そのため、自己都合退職で会社を辞めたのちも会社借り上げの社宅に住み続けたい場合は、まずはその社宅を所有している土地オーナーに会う必要があります。社宅によっては会社が借り上げしているといっても一棟すべてを借り上げしているわけではないため、近くの不動産会社に行けば自分が住んでいるマンションやアパートの賃貸物件を扱っていることもあるはずなので、自分で交渉&賃貸契約を交わすことによって、今後も住み続けることは可能となるでしょう。
ただし、会社借り上げの社宅は家賃の多くを会社が払ってくれているので、実際自分が個人で賃貸契約を結ぶと、物件によってはかなり高くつくこともあります。
退職代行を使った後に社宅から引っ越し。部屋の備品はどうする?
退職代行を使って会社を辞めて、その後社宅から引っ越しをする場合は、部屋にある備品関連はどのように処理すればいいのでしょうか。たとえ社宅であっても、制服などはそのまま放置するのではなく、クリーニングをしたのち、会社の総務や人事といった然るべき部署に郵送するのがいいでしょう。
退職代行を使えば二度と会社に出社する必要はなし
退職する人の中には、うつ病や適用障害などを発症して、もう会社に出社できない状況にある人もいます。そういった人も退職代行を利用することによって、必要なものはすべて郵送で解決できるよう代行業者が取り計らってくれます。
たとえ会社側が出社して話し合いを要求してきたとしても、退職代行に依頼したあとはすべての交渉を業者が代行するため、出社の必要はもちろん、会社や上司からの電話に出る必要すらありません。
ただし、鍵の返却や部屋のクリーニング(現状維持費用)などは規約に基づいて済ませましょう。
退職&社宅退去のあらゆる手続きは対面以外で済ませることができる
退職代行に依頼すれば、退職や社宅退去にまつわるあらゆる手続きを代行してもらうことができます。場合によっては本人による許諾が必要なこともありますが、それらも退職代行業者が一括して代行及び交渉することができます。
注意点としては、仕事上における顧客の引継ぎやパソコン・内部書類など備品の返却はなるべく退職代行を依頼する前に済ませておくといいでしょう。
また、社宅の退去書類の手続きや鍵の返却はすべて郵送で行うことができますが、不要なトラブルを避けるために退去に関して退職代行に交渉してほしいことがある場合は、事前に担当者に伝えておくようにしてください。
退職代行に問い合わせする前に、引っ越し先や社宅の退去日は決めておこう
会社を辞めることを決意して退職代行に依頼を出すと、本当に驚くほどすぐに退職日が決まります。そのため、退職代行に依頼をする前に、引っ越し先はもちろん、社宅の撤去日も決めておくといいでしょう。
また、敷金や礼金を払っていない場合は原状回復費用を払わなければなりませんが、こちらは必ずしも立ち会う必要はありません。ただし、時折理不尽な見積もりが出てきたりするので、できるだけ立ち会うようにするのがいいでしょう。
会社が社宅退去の違約金の支払いを要求してきた場合も退職代行が解決
会社が社宅退去時に執拗に従業員に対して違約金を請求してくるケースもあります。基本的な違約金の支払いの有無は、従業員が社宅に入居する際に会社側と交わす契約書に沿って行われ、もしそこに違約金の支払い事項が具体的に記載されているのであれば、原則はそれに従う必要があります。
しかし、場合によっては合理的ではない高額な請求をする会社も少なくありません。その際は退職代行業者に依頼することによって解決を図ることができます。
退職代行業者には弁護士と普通の企業の2種類がありますが、違約金など金銭面の支払い交渉をする際は、法律を熟知した弁護士に依頼しなければなりません。
弁護士法人「みやび」は東京に本社を置き退職代行サービスを提供している法律事務所です。
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