新人看護師は働き始め1年目が最も離職率が高く、多くの看護師が辞めたいと考えます。「こんなはずじゃなかった」と理想のギャップに苦しむのもこのころ。そこで、今回は新人の看護師が辞めたいと思った場合のとるべき方法と昨今注目されている「退職代行サービス」について紹介します。
目次
辞めたいと考える1年目の新人看護師と退職の現状。離職率も高い
日本看護協会によると、新人看護師の離職率は約8.6%。他の業界と比べてそれほど高い数字ではありませんが、やはり激務な仕事と職場環境、そして派閥を含む特殊な人間関係・上下関係に理想とのギャップを感じる新人看護師は非常に多くみられるのが現状です。
一方で、1年目の新人看護師の場合は、退職する際にかなり高い確率で先輩上司から引き止められてしまい、辞めたいけど辞められない状況が続いてしまう傾向にもあるようです。
看護師を1年目で辞めたいと考える人が急増中の背景
看護師を1年目で辞めたいと考える人が急増中の背景には、病院のスリム化と合理化、そして時代にそぐわない院内でのパワハラや無言の圧力が原因として挙げられます。看護師を夢見てもう勉強をして国家試験にパスをしたとしても、現実は過酷とも言える激務な職場が待ち構えていて、理想と現実のギャップに、「まだ1年目だけど、もう看護師を辞めたい……」と考えるようになる人が多くいるようです。
また、昨今は看護師も患者から訴えられる時代です。日々の疲労の蓄積で集中力を欠き、患者を重症あるいは死亡させてしまう事例もあります。そういったワンミスが許されない環境に身を置くことに限界を感じる看護師は実際多くいます。
新人看護師が1年目で辞めるメリットとデメリット
新人看護師が1年目で辞めることを考えた場合、メリットとデメリットはどのような点が挙げられるのでしょうか。
【メリット】
- 将来設計・キャリアプランを改めて考えることができる
- 心身・ストレスをリフレッシュして再スタートを切れる
- 本当に自分のやりたい仕事、自分に合った職種を見直すことができる
【デメリット】
- 履歴書や職務経歴書に1年目に退職した事情を記述しなければならない
- 転職先の面接で質問されるので、退職理由を考えておく必要がある
- 看護師2年目、3年目で培うスキルが身に付かない
1年目の新人看護師が辞めたい理由の上位「職場の人間関係」
多くの先輩上司は「新人だから最初は分からないことだらけなのは当たり前」、「3年我慢すれば楽になる」と1年目の新人看護師を励ましてくれます。しかし、新人看護師の中には出勤前に精神不安に陥ったり、毎日夜は泣きながら朝が来ないことを祈る人もいます。どんなに先輩上司が優しい職場でも、看護師という非常に大きな責任を背負いきれないで、我慢して働いているうちにうつ病が発症してしまうこともあります。
また、職場の人間関係が悪いと先輩上司からパワハラやセクハラ、モラハラを受けることもしばしばあります。想像以上に看護師の世界は上下関係が厳しいことを職場に勤務してから知ることになります。
1年目の新人看護師の辞めたい理由「ナースがこんなに夜勤があると思わなかった」
1年目の新人看護師が辞めたいと考える理由の1つに「夜勤」が挙げられます。「看護師(ナース)になったけど最近は夜勤の連続で体力の限界」、「シフトが直前にならないと出ないからスケジュールを立てられない」といった声がよく見受けられます。
患者へのミスに対する責任が重い。病院が守ってくれない
また、病院勤務の看護師は患者の命を預かる仕事でもあります。1つのミスが致命的な事故に繋がることもあり、1年目の新人看護師は心の準備ができていないため、覚悟ができないのが普通です。
場合によっては自分のミスで患者から訴えられることもありますし、病院側が守ってくれない場合は、看護師が過失責任を取ることになります。
仕事を辞めたい1年目の新人看護師。退職の判断基準とは?
まず言えることは、「本当に辛く、辞めたいと心の底から思ったら、看護師を辞めるべき」です。上述したように、どんなにいい職場でも仕事の激務や責任、夜勤などが合わなければ、どんどん精神は崩れていき、うつ病になってしまいます。
ほとんどの場合は先輩上司が言う「3年我慢」は到底待ちきれません。仕事と健康・プライベートのどちらを取るのかを考えた場合、当然後者となりますし、日本の法律もしっかりと看護師を保護してくれます。そのため、本当に辞めたい場合は、その職場を辞めて、まずは心身をリセットするのがいいでしょう。
まずは転職エージェントに登録を。求人豊富。看護師資格&経験は一生使える
幸いにも、一度取得した看護師資格はずっと使うことができます。一度新人看護師を抜け出して、別の業界に転職してみるのもいいですし、クリニックの事務や医師の補助など、責任と仕事量が多くない職種を検討してみるのもいいでしょう。
毎日の激務に苦しんでいる新人看護師は、まずは帰宅後に転職サイトを開いてみてはいかがでしょうか。看護協会が運営しているナースセンターでも探せますし、別の民間業者のサイトも利用価値があります。転職先の会社一覧を眺めているだけで、「苦しくなったら、いつでも看護師を辞めていいんだ」と思うことができて、幾分心も穏やかになることでしょう。
1年目の新人が看護師を辞めたい!転職先の面接での退職理由とは?
転職先の面接で、「なんで看護師を1年目で辞めたんですか」と理由を訊ねられた場合の返し方。これは、転職先の業界が病院や看護師であるか、もしくは医療業界とはまったく関係ない職種かで異なります。
まず、引き続き看護師の職種に付きたい場合の前職の退職理由は、「家庭の事情で数か月帰省しなければならなかったが、病院側が許してくれなかったので仕方なく辞めた」といった、「家庭の事情」、「自分が勤務を続けられるよう頑張ったが、結局退職せざるを得なかった」ということを伝えるのがおすすめです。
一方で医療業界とはまったく関係ない一般企業に説明する退職理由は「ワンミスで人の命を奪い、また訴訟されるリスクに毎日おびえるのに疲れた」、「過酷な職場環境」などを理由にするといいでしょう。これらは一般企業で働く人では到底想像することができませんので、「そうでしょうね……お疲れ様です」くらいしか返す言葉ありません。看護師1年目で辞めたい人にも使うことができる退職理由です。
辞めたいのに何かしらの理由で辞められない場合もある
しかし、ここで問題となるのが、パワハラやセクハラ、先輩上司からの圧力をうけて、辞めたいけど辞められない環境に身を置いている新人看護師の方々。医局のような大学病院や、個人オーナー経営の小規模クリニックでよく見られます。
後者は少人数で仕事を回しているので、辞めようとすると、先輩から嫌味を言われたり、オーナーがパワハラやモラハラをして辞めさせてくれないことがよくあります。
1年目の新人看護師だけど辞めたい悩みがある人は「退職代行」も選択肢
法律的な側面から説明すると、正規雇用であれば、2週間前に退職届を出せば、それで問答無用で辞めることができます。上司が退職届を受け取らなかったり、オーナーが退職を認めないというのは関係がなく、仕事を辞めたいときに辞めるのは労働者の権利となり、逆に退職を引き止めてしまうと、憲法にある職業選択の自由に抵触します。
とはいっても、法律を盾に取って先輩上司や院長と一人で戦うのはとても勇気のいることです。そこでおすすめしたいのが「退職代行」です。弁護士が請け負っている業務範囲の1つですが、退職代行に「1日も早く看護師を辞めたい」旨を告げれば、最短である2週間前に辞めることができるほか、その2週間も有給休暇の消化、もしくは欠勤扱いにしてもらうことができます。つまり、最も早くて次の日から職場に行く必要はなくなります。
うつ病や適応障害が心配なら即日退職も視野に入れられる
うつ病や適応障害などの症状が発症し、「2週間も待てない」と言う場合は弁護士の退職代行に相談してみましょう。労働法では2週間後の労働契約解除となりますが、働けない身体にも関わらず労働を強制することは病院側にはできません。場合によっては即日退職も可能なので、一度相談してみてください。ただし、一般企業(民間業者)の退職代行業者では対応が難しいため、必ず弁護士事務所に依頼するようにしてください。
看護師の退職代行請負実績豊富!弁護士法人「みやび」
弁護士法人「みやび」は東京に本社を置き退職代行サービスを提供している法律事務所です。
「無料LINE相談」、「即日対応可」、「転職サポート」、「残業代・退職金・慰謝料各種請求」に対応。退職代行の利用は基本料金5万5000円(税込み)と一般企業並みの安さも特徴。
新人看護師はまだいくらでもやり直しができる!辞めたいと思ったときは行動で示そう
新人看護師はまだ若いので、病院を辞めてもいくらでも転職することができます。また気が向いたら看護師に戻るのもいいでしょう。都心でも田舎でも需要は高いので、今の職場にこだわる必要はそれほどありません。
ただし、上述したように辞めたいけどなかなか辞めるタイミングや辞める理由が見つからない、とずるずると退職を引き伸ばしてしまうと、本当に心の病気に襲われてしまいます。
そうならないように、新人看護師は1年目であっても辞めたいと思ったときは、無理せず転職するのが自分の人生のためと言えるかもしれません。
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