歯科衛生士の退職理由と伝え方を解説。嘘は問題なし?

歯科衛生士の退職理由と伝え方を解説。嘘は問題なし?

歯科衛生士が今の職場を辞めたいと考えた場合、院長にはどのような理由で退職を申し出るのがおすすめでしょうか。また嘘をついてもいいのでしょうか。今回は退職理由について解説します。

歯科衛生士の退職理由は「職場の悩み・歯科医師や院長との人間関係」が上位

歯科衛生士の退職理由は「職場の悩み・人間関係」が上位

歯科衛生士の退職理由で毎年上位に上がってくるのが「職場の悩み・人間関係」です。職場の同僚上司・院長・副院長と良好な人間関係を構築できないと、同じ職場に毎日出勤するのは地獄のような日々となります。

開業医であれば転勤もありませんし、同じ歯科医師・先輩たちと毎日顔を合わせなければなりません。毎日いびられたり、八つ当たりのように叱咤されていると、心身ともに参ってしまいます。

「給与待遇・福利厚生」への不満も歯科衛生士の退職理由

 「給与待遇・福利厚生」への不満も歯科衛生士の退職理由

歯科衛生士の平均月収は約26万円となります。他の職種と比べてそれほど残業があるわけではありませんが、最近は差別化を図るために営業時間を長くしている歯科医院も増えており、2交代制をとっているものの、人手不足の場合は「一日通しで入って」と言われることもしばしばあります。

個人開業医の場合は退職金やボーナスが出ないところも普通なので、例え月収だと平均以上でも年収換算すると平均以下ということがざらにあります。

また、歯科衛生士の休日は歯科医の定休日となるほか、必要最低の従業員で回している開業医だと有給休暇の取得が困難なケースもあります。「歯科衛生士になってから家族旅行に行けない」、「体調が悪くても有給休暇を使わせてくれない」といった歯科衛生士ならではの悩みや、院長がよく労働法を理解していない問題もあります。

「仕事内容・スキルアップができない」ことも歯科衛生士の退職理由

「仕事内容・スキルアップができない」ことも歯科衛生士の退職理由

仕事内容・スキルアップができないことも歯科衛生士の退職理由の定番となります。毎日同じ業務のため1年もすれば慣れてしまいますし、それ以上のスキルアップや昇給・昇格も望めません。パートタイムと割り切ってしまえばいいのですが、「もっと年収を貰いたい」、「病院勤務がいい」といった目的があると、これ以上歯科衛生士として働くのが嫌になってしまうこともよくあります。

「結婚・出産・育児」などライフスタイルの変化も歯科衛生士の退職理由

「結婚・出産・育児」などライフスタイルの変化も歯科衛生士の退職理由

結婚・妊娠・出産・育児といったこれまでの生活から一変してライフスタイルが変化した際も歯科衛生士をこれ以上続けるのが難しいときがあります。しかし、これらを退職理由として院長や副院長に告げると、「妊娠しても続けられるでしょ」などと言い訳されて引き止められるケースもよくあります。

歯科衛生士が辞める時期・タイミングはいつがおすすめ?

歯科衛生士が辞める時期・タイミングはいつがおすすめ?

一般の企業であれば業界によって繁忙期や閑散期があるので、比較的業務が落ち着いている時期を見計らって退職の相談をします。それ以外であれば年末や決算期を退職月として動くのが一般的です。決算期は総務が多忙のため、普通は12月末日退職が多い傾向にあります。

一方で歯科衛生士が働く歯科医院は年間を通じてそれほど浮き沈みがありません。強いて言えば、日本人の心理で年末に虫歯などを治したい傾向にあるため、10月から12月が繁忙期となります。

ただし、全体的に見ると歯科衛生士に関しては、特に退職月に関して考慮する必要はなく、辞めたいときに辞めることができる職種と言えます。

歯科衛生士が退職したいときは何か月前に伝える?

歯科衛生士が退職したいときは何か月前に伝える?

歯科衛生士が退職したいときは、通常は就業規則のうち「労働契約の中途解約」や「退職規定」といった項目に記載があります。一般的には「3か月前に退職の旨を上長に伝えること」などと記載されているでしょう。

そのため、基本は就業規則に沿って退職手続きを進めるのがトラブルなく辞められる方法となります。

ただし、既に心身ともに疲弊している場合、「3か月も待てない」、「就業規則には6か月前と記載がある。とてもじゃないけど我慢できない」といった悩みを持つ人も多くいます。個人で開業した歯科医院の中には法律をよく知らず、自院の都合の良い就業規則に作り替えるところも多くあります。

多くの会社が退職期間を3か月前の告知に設定している理由は、辞める従業員の穴を埋めるために人材の採用と引継ぎ、育成に架かる合理的な時間だからです。一方で6か月前はどう考えても合理的ではないため、よほど特殊な人材でない限り認められません。

歯科衛生士がすぐ辞めたい場合の退職理由の例とは

歯科衛生士がすぐに辞めたい場合の退職理由の例とは

歯科衛生士がすぐに辞めたい場合、問題となるのが「歯科院長が即同意してくれるか否か」です。歯科医院の多くは少ない従業員で回しているため、一人辞められると業務に支障がでることが多いです。

そのため、人手不足や業務の多忙を理由に退職届を受け取ってくれなかったり、強く引き止められることがよくあります。

そんなときの退職理由はどのような例がいいのでしょうか?

  1. 引っ越しをする
  2. 育児に徹する
  3. 心身が疲労困憊のためしばらく療養が必要
  4. 他にやりたい仕事を見つけた

などが退職理由としてはおすすめです。いずれもプライベート・私生活・人生のため、院長に常識があれば安易に踏み込むことができない退職理由となります。

しかし、場合によっては嘘を勘ぐって執拗に具体的な退職理由を問いただしてくる院長も少なくありません。

歯科衛生士は本来は退職届を出した2週間後に辞めることが可能

歯科衛生士は本来は退職届を出した2週間後に辞めることが可能

歯科衛生士が仕事を辞めたい場合、仮に就業規則では3か月前に退職届を出すよう記載があっても、実は退職届を出した2週間後に辞めることができます。

就業規則は民法の下位となり、両者に相違ある場合は民法が優先されます。そして、民法には以下の文があります。

民法627条
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。

民法電子版(総務省)

上述した民法627条の通り、歯科衛生士が仕事をすぐに辞めたい場合は、退職の旨を告げてから最短2週間後に強制的に辞めることができるとあります。ちなみに、法律では退職届を出す必要すらありません。口頭だけだとトラブルの元となるので、相手が退職届を受け取ってくれない場合はメール送付でも構いませんし、書留で退職届を送るのでも問題ありません。

歯科衛生士は退職理由で嘘はあり?

歯科衛生士は退職理由で嘘はあり?

歯科衛生士は上記のように嘘の退職理由を伝えてもいいのでしょうか。

基本的に歯科衛生士の本当の退職理由は「人間関係・給料・休日・福利厚生・将来性」のいずれかとなります。しかし、いずれも個人事業主となる院長に直接伝えてしまうと、気分を害してトラブルに発展する可能性が高い事由ばかりです。

そのためバレない嘘、あるいはバレてもかまわない嘘であれば問題はないでしょうが、「身内に不幸があった」、「実家の稼業を継ぐ」といった調べればすぐに分かる嘘を退職理由にするのは絶対にやめるべきでしょう。

転職先の歯科衛生士の面接で退職理由は何と説明する?

転職先の歯科衛生士の面接で退職理由は何と説明する?

歯科衛生士が転職する際に、面接で退職理由はどのように説明すればいいのでしょうか。基本的に面接では包み隠さず説明するべきと言えます。ブラックな歯科医院で働いていたのであれば、どこに苦痛を感じたのか、上司や院長からどのような対応をされて病んだのか、など。

転職先の歯科医院がホワイト企業であれば共感してくれるでしょうし、前職と似たような体質の企業であれば「それは君にも責任があるんじゃないのかな」、「院長も君に成長してほしかったからそういう態度をとったんだと思うよ」などと前職をかばうような姿勢を見せてくるかもしれません。

面接の時点で転職先がどのような考え・体制・方針・福利厚生を持っているのかを知ることができないと、最悪二の舞になってしまう可能性があるので注意してください。

ブラックな歯科医院で働く歯科衛生士の退職理由の伝え方

ブラックな歯科医院で働く歯科衛生士の退職理由の伝え方

ブラック体質の院長のもとで働く歯科衛生士は、通常の退職理由の伝え方をしてしまうと、上述したように引き止められてしまったり、退職届を受け取ってくれないトラブルが考えられます。

そのため、歯科衛生士を辞めたい人は、「退職届を出すときは『辞める』とき」である意思を強く持つことが重要です。

しかし、多くの歯科衛生士は自分の社長である院長に強い退職意思を示すことは困難です。仮に院長が良い人であっても、「いまは辞めないでくれ」と懇願されたら躊躇してしまうでしょうし、「いま辞めるようなら給料も退職金もなしだよ」と言われたら働きざるを得ません。

退職代行でスムーズかつ確実に歯科衛生士を辞める

退職代行でスムーズかつ確実に歯科衛生士を辞める

近年は退職代行を利用してスムーズに辞める歯科衛生士や歯医者が増加しています。退職代行サービスを利用すれば、退職の交渉から手続きまですべて業者の担当者がやってくれます。

自分からは強く退職の意思を示せない人や、何かと言い訳されて仕事を辞めさせてくれない人に退職代行はおすすめです。ただし、歯科医の院長夫妻は個性的でクセが強い人が多いので、業者を選ぶ際は歯科衛生士や歯科医の退職代行の実績が豊富な業者を選ぶといいでしょう。

退職代行でも失敗はある。必ず弁護士事務所に依頼を

退職代行サービスでも実際は失敗するケースも散見されます。特に近年は本来弁護士しか請け負うことができない退職代行を一般の企業(業者)が受注するケースも多く、実績とノウハウ、法律の知識と立ち回り方を知らない業者に依頼してしまうと、「相手の院長が取り合ってくれないので退職できません」と勝手に返金してサービスを終了するところも多いようです。

仮に退職代行を使って辞められなかった場合は出社するしかないので、まさに生き地獄です。院長からも同僚先輩からも激怒されいじめに遭うのは容易に想像できます。そのため、退職代行を使って歯科医院を辞める覚悟ができた場合は、確実に退職しなければなりませんし、退職代行の担当者が歯科医院に電話した日から金輪際出社はすべきではありません。

退職代行は弁護士と一般企業(労働組合加盟店含む)双方が請け負っていますが、やはり依頼するべきは弁護士となります。弁護士であれば確実に辞めることができますし、場合によってはこちらも法的手段(損害賠償請求など)をとることもできます。また、残業代や退職金の請求・有給消化なども可能です。

弁護士法人「みやび」は東京に本社を置き退職代行サービスを提供している法律事務所です。

「無料LINE相談」、「即日対応可」、「転職サポート」、「残業代・退職金・慰謝料各種請求」に対応。退職代行の利用は基本料金5万5000円(税込み)と一般企業並みの安さも特徴。

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