トラックドライバーが事故で自腹の賠償請求!解決方法と運転手を辞めたいときの流れ

トラックドライバーが事故を起こして賠償請求を求められた場合の解決方法!

トラックドライバーが事故を起こすと、賠償請求をされることがあります。被害者から直接される場合もあれば、自分が働く会社側から請求されることもありますし、最悪裁判に発展することもあります。

トラックドライバーには従業員・個人事業主のいずれかの雇用関係がありますが、どちらにせよ自腹で賠償金を払う必要が発生することもあります。そこで、今回はトラックドライバーが賠償請求をされた際の解決方法をご紹介します。

トラックドライバーの事故件数はどのくらい?

トラックドライバーの事故件数はどのくらい?

まず一般、中型、大型車両の合計の事故件数は警察庁の公開するデータによると、およそ40万件。その内2000件前後がトラックドライバーが起こした事故とされています。また、その2000件の内、死亡事故を起こしているのは200件。つまり、単純計算で10件の事故の内1件(10%)は死亡者が発生している計算となるので、これは非常に懸念される事態であります。

また、全体の事故件数自体は20年前と比べるとはるかに減少しており、これは働き方改革やトラックドライバーの安全意識の向上、飲酒運転の減少などが挙げられます。しかし、その一方で不思議なことに、死亡者を出している死傷事故は、なぜか毎年同じ200件前後で推移しており、こちらは減少の傾向がありません。

「なんだ。相手か自分が死んでしまう確率なんて10%程度なんだ。低いじゃん」と思っている方は要注意。例えば対物のような軽度の事故を含めて、自分が生涯に10回事故を起こしてしまうとしたら、その内の1回が死亡事故に繋がる案件であるということです。

トラックドライバーが事故を起こして賠償請求されるパターン

トラックドライバーが事故を起こして賠償請求されるパターン

中小企業の中には、経費削減やドライバー管理がずさんで、トラックに対して十分な保険に入っていない会社もあります。また、死傷事故を起こしてしまった場合は、億単位で賠償請求を被害者遺族からされる可能性が高く、1件の死亡事故を起こしてしまったために、会社が倒産においやられることも実は珍しくありません。

そのため、会社の社長は事故を起こしたトラックドライバーに責任をおしつけようと、トラックドライバー側に事故の賠償請求をすることがあります。大まかな流れとしては、

  1. トラックドライバーが死亡事故を発生
  2. 被害者遺族がトラックドライバーとトラック会社に対して賠償請求
  3. トラック会社がトラックドライバーに対して賠償請求

上記となります。つまり、トラックドライバーは①被害者遺族から賠償請求。②トラック会社から賠償請求。と最悪2度賠償請求を受けることが考えられます。

トラックドライバーが被害者遺族から賠償請求をされた場合

トラックドライバーが被害者遺族から賠償請求をされた場合

トラックドライバーが死亡事故を起こしてしまい、のちに被害者遺族から賠償請求をされることがあります。通常は保険で賄うことができるのですが、長距離を走り事故発生率が高いトラックドライバーの保険は非常に高額です。そのため、トラック会社もトラックドライバーも保険に入っていないケースはよく見られます。

例えば被害者遺族から1500万円の事故に対する賠償をした場合、その後、トラックドライバーはトラック会社に対して1500万円の賠償請求の一部負担を求めることができます。これまでの裁判の判例としては福山通運の事件がよく知られていますね。

トラックドライバーがトラック会社から賠償請求をされた場合

トラックドライバーがトラック会社から賠償請求をされた場合

一方で被害者遺族がトラック会社を訴えて賠償請求を起こした場合、その後、トラック会社がトラックドライバーに賠償請求する事態も考えられます。この場合、トラックドライバーの過失割合や普段の勤務態度などを公平に判断したのち、金額の一部を実際賠償請求することが可能です。

しかし、あくまでもトラックドライバーは会社の利益のために働く従業員という身分のため、責任は会社側にあり、トラックドライバーが会社側から請求を受けたとしても、25%程度が関の山となります。

それでもトラックドライバーが事故を起こしたら賠償の自腹は防げない!

それでもトラックドライバーが事故を起こしたら賠償の自腹は防げない!

しかし、上記のことからも分かるように、トラックドライバーが事故を起こして、被害者もしくは会社から何かしら賠償を請求された場合、その多くは自腹で負担することになります。しかし、上記で紹介した25%のトラックドライバーの事故賠償なども、これは話がうまくまとまった場合です。大抵被害者は一般の人の人生が狂うほどの賠償を請求しますし、会社側も自社の保身のために、罪をトラックドライバーになすりつけることに必死です。会社によっては顧問弁護士や行政書士といった法律の専門家を雇っていることもありますので、言いように言いくるめられて、結果的にトラックドライバーの払う割合が多くなってしまうのがよくある問題。

しかし、もしトラックドライバー側も弁護士を雇ってしっかりと交渉に臨むことができるならば、25%以下の事故賠償負担に落とすことも可能です。トラックドライバーの事故の賠償の度合いは、上記で挙げたトラックドライバーの日ごろの勤務態度や実績だけではなく、会社側の過失の有無も重要となります。会社側がしっかりと毎日の点検やオイル交換、車検を義務付けていることが重要で、何かしら事故の要因となる不手際がある場合は、そこを突いて事故賠償の自腹額を下げることができます。無論これらは弁護士にしかできない行為です。

トラックドライバーが会社に事故後に賠償請求をすることも可能

トラックドライバーが会社に賠償請求をすることも可能

これは2020年に発生したトラックドライバーが起こした死亡事故の裁判が判例となります。トラックドライバーは被害者の遺族に賠償請求を払ったのち、会社に賠償請求(=求償)を求めた裁判となります。

会社側が自賠責保険に加入してなかったこともあり、最高裁では「損害の公平な分担」として、トラックドライバーの求償が認められる形となりました。

ここでの焦点は、「トラックドライバーはあまりにも大きなリスクを背負いすぎている」というところだったので、世のトラックドライバーとしては一安心といった感じではないでしょうか。

全国のトラックドライバーは賠償請求に備えて自賠責含むすべての保険の見直しを!

全国のトラックドライバーは賠償請求に備えて自賠責含むすべての保険の見直しを!

上述したように、例えトラックドライバーの過失性が高くとも、被害者からの賠償請求に対して100%の責任を負うことはまずありません。しかし、10~25%の賠償請求額であっても、1000~3000万円の支払いを余儀なくされます。

そこで、全国のトラックドライバーは、いまいちど自身の加入している運送保険を早急に確認してみてください。上述したように、会社側は本来強制加入のはずの自賠責保険ですら加入していないかもしれません。

また、フリーランスで請け負っているトラックドライバーも、自身の自賠責と任意保険を確認してください。自賠責は死亡事故や被害者後遺症事故に対しては3000万円まで保険で賄うことができますので、よほど損害賠償の請求額が高額で、トラックドライバーに過失がなければ、これで80%以上は賄うことができるはずです。

しかし、自賠責は対人保険なので、配送を請け負った荷物の欠損などは、別の任意保険で賄わなければなりません。トラックドライバーは他の業種と比べて事故率が高いので、保険も決して安くはありませんが、それでも自分の身を守るためとして、必ず任意保険も加入してくださいね。

トラックドライバーは事故でクビになる?

トラックドライバーは事故でクビになる?

トラックドライバーの中には事故を起こしてクビになる運転手も少なくありません。大抵は1年に2度3度と事故を起こした際に、会社側から見切りを付けられてクビを通達されます。

「トラックドライバーが事故を起こしたことが原因でクビになるのは違法ではないか」というのは、少々難しい問題となります。1度程度の事故であれば会社はクビにすることはできないでしょうが、2度3度となると、そもそものトラックドライバーとしての適性がないと判断されるかもしれません。また、1年に複数回の事故を起こしている場合は、免停となっている可能性が高く、それに関しても会社側としてはクビにしたい要因となります。

しかし、事故によるクビに関しては法廷で争う価値はあるため、通常は会社側も解雇ではなく運転手側の“自己都合退職”で辞めるように仕向けます。もしクビになりたくないのであれば、弁護士に相談する事案となるでしょう。

トラックの運転手が事故の損害を自腹?給料天引きは違法じゃない?

トラックの運転手が事故の損害を自腹?給料天引きは違法じゃない?

トラック運転手が事故を起こして会社が積み荷などの損害を被った場合、トラック運転手は自腹で補填しなければならないのでしょうか?また、トラック会社によっては問答無用で損害分を給料から天引きするところもありますが、これについての違法性をご案内します。

まず、会社の損害分をトラック運転手の給料から天引きする事案に関しては、労働基準法24条「賃金全額払の原則」に抵触し、重大な違法となります。ご存知の方も多いかもしれませんが、給料は原則全額一括現金での支払いとなります。そのため、会社側が損害賠償を請求したい場合は、まずは給料を全額支払ったのちに要求することになります。

また、トラック運転手が自腹で損害を払う案件に関しても、基本は会社が負担しなければならないものと考えます。上記でも触れましたが、会社側は従業員のもたらす利益を享受することができる一方、不利益が発生した際も同様に享受しなければなりません。そのため、損害が発生したときだけトラック運転手に自腹負担をさせるのは違法と言えます。

自腹請求するトラック運送会社は労基に相談しても解決は困難

損害分だけではなく、オイル交換等も会社がトラックドライバーに自腹を強いてくる場合、多くの人がまず思いつくのが「労基(労働基準監督署)に相談しよう」というものです。しかし、実際のところ労基は役所仕事となるので、対応は遅いほか、会社に対しては是正勧告しかできません。トラックドライバーに自腹を強いるような会社は、もとから自腹の違法性を知っているため、仮に労基に動いてもらっても素直に言うことを聞くとは思えず、むしろトラックドライバーは自分の立場を悪くするだけかもしれません。

今現在事故の賠償請求を受けて困っているトラックドライバーの解決方法!

今現在事故の賠償請求を受けて困っているトラックドライバーの解決方法!

もし今現在、上記のように被害者遺族もしくは自分の勤めるトラック会社から事故の賠償請求を受けている場合、トラックドライバーはどうすればいいのでしょうか。

まずは自分が所属している会社への早急な報告と対策です。会社側が顧問弁護士を抱えていない場合は、弁護士を雇い、被害者遺族と示談の方向で話し合います。ここで運送会社やトラックドライバーが誠実な対応を見せれば、裁判への発展を防ぐことができます。

しかし、被害者遺族と話が折り合わない場合は、訴訟となりますので、後は被害者遺族を慮ると同時に、トラックドライバーは最小限の賠償請求になるよう努めなければなりません。このときに気を付けてほしいのが「会社に自分を委ねること」です。上述したように、零細中小の会社であれば、1度の死亡事故で倒産することも珍しくありません。そのため、被害者遺族から損害賠償を請求された場合は、従業員を守ろうとはせず、敵対関係になる可能性が大いにあります。

そのため、会社側が雇う弁護士と話し合う中で、何か不穏な空気を感じたら、自分も個人で弁護士を雇うことを強くおすすめします。

退職と損害賠償の双方を依頼「退職代行の弁護士」の強み

損害賠償を請求されたトラックドライバーとしては、まずは一刻も早く会社を辞めたいところです。また、裁判に発展した場合は弁護士に対応してもらいたいところです。

そこでおすすめしたいのが「退職代行を請け負っている弁護士」です。会社を辞めるための退職手続きを代行してくれて、さらに裁判沙汰になった場合、あるいはなりそうな場合にしっかりと対応してくれます。交渉によっては裁判になる一歩手前で示談できる場合も十分ありますし、裁判になっても、最小限の支払いで済むように取り計らってくれます。

「弁護士は高い」と考える人もいますが、これから損害賠償で失うことによる自分の財産と比べてみてください。上述したように、被害者遺族が請求する損害賠償額によっては、自賠責だけでは足が出てしまう可能性があります。弁護士料金は相対的な考え方となります。要は、「弁護士費用を払って事故の損害賠償の支払いを最小限にする」か、「弁護士を雇わないで、先方に言われた額を強制的に支払わされる」かです。どちらが高くつくかは明白です。基本的に弁護士は基本料金は数万円から十数万円程度で、あとは成果報酬となります。そのため、一般の人が想像している以上に支払う金額は少なく抑えることができます。

トラックドライバーは事故の賠償請求に備えて日ごろからリスク回避を

トラックドライバーは事故の賠償請求に備えて日ごろからリスク回避を

トラックドライバーは日ごろの勤務態度や生活習慣の改善によって、事故による賠償リスクを最小限まで減らすことができます。

  • 日ごろから遅刻などをせず、真面目な勤務態度で業務をまっとうする
  • 運転中はスマホなどの「ながら運転」を避ける
  • 自分個人と会社双方の保険の加入状況を見直す
  • 集中力の低下を防ぐため、飲酒や睡眠不足を解消する

一度の事故で取返しのつかない問題に発展してしまうトラックドライバーは、上記項目のように日ごろからできる最低限のリスクヘッジを行うようにしましょう。

トラックドライバーの損害賠償問題で絶対にやってはいけないのは「逃げる」「無視」すること

絶対にやってはいけないのは「逃げる」、「無視」すること

ここで絶対にやってはいけないのが「逃げる」、「無視」することです。勝手に会社を辞めて、携帯も着信拒否して、身を隠すのは絶対に駄目です。警察沙汰となりますし、裁判で心証が悪くなり、どんどん窮地に追い込まれてしまいます。

事故を起こしたのは事実なのですから、しっかりと向き合って、すべてを清算しつつ、自分の身と生活を守るために、最少の支払いをするように努めることが重要となるでしょう。

会社の即退職&事故の賠償を最小限・回避するならココ!「弁護士法人みやび」

会社の即退職&事故の賠償を最小限・回避するならココ!「弁護士法人みやび」

「会社をすぐに退職したい」、「賠償金を請求されてやばい!」そんなときに連絡してほしいのが「弁護士法人みやび」です。民間人を相手にする全国対応の弁護士で、会社の退職手続きを代行する退職代行、及び賠償請求された際の対応をしてくれます。

一番の魅力は何といっても「LINEで無料相談&依頼」ができることです。裁判沙汰になりそうであれば電話や場合によっては直接会うことも必要となりますが、基本はLINEで無料で相談することができます。

弁護士法人「みやび」は東京に本社を置き退職代行サービスを提供している法律事務所です。

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