会社を退職する際に、会社の勝手な都合によって退職できなかったり、退職日を引き伸ばされることがあります。今回はこの違法性と、会社をすぐにでも辞めたい場合の解決方法をご紹介します。いつまでも会社を辞められないでいると、自分の人生設計にも支障が出るかもしれませんので、早々に手を打つといいでしょう。
目次
会社都合で退職を引き伸ばす背景は「慢性的な人手不足」
実は日本の社会では頻繁に発生していることでもあり、完全な会社の都合で従業員の退職を引き伸ばす事例は全国で相次いでいます。
「君がいなくなったら会社が回らないから、なんとか辞めないでくれ」
「代わりの人間を雇うから、それまで退職はしないでくれ」
といった理由で退職を引き伸ばす会社はよく耳にします。いずれにせよ100%会社都合となり、本来であれば会社の頼みに耳を貸す必要はありませんが、なまじ上司が良い人であると、「いままでよくしてくれたから、せめて代理の人が見つかるまでは働き続けよう」と考えてしまい、退職を思いとどまってしまいます。
しかし、こういったケースでは、十中八九会社側は代わりの人を探しません。そもそも1人の従業員が辞めた程度で会社や仕事が回らなくなる状況というのは、会社側の管理責任の問題が問われます。
会社都合で退職を引き伸ばす理由とは。経営不安に陥っている可能性が高い
上述したように、従業員の退職を会社都合で引き伸ばす背景には、「慢性的な人材不足」が挙げられます。しかし、日本における求人倍率は1倍少々のため、人材確保にそれほどの労力は実はいりません。もしなかなか人材が見つからないのであれば、それは「正社員の待遇が悪い」、「給料が低い」、「ブラック企業の噂が立っている」、「人材派遣会社を利用していない」ことが挙げられます。
リクナビやenといった人材派遣会社への登録はかなりの費用がかかるので、小規模事業者はハローワークに登録するところが多いですが、それではなかなか良い人材は集まりませんね。もし自分の会社がハローワークでしか募集していないのであれば、「人材確保に回す予算がない」、「優秀な人材を探すつもりがない」と言い換えることができます。
会社都合で退職を引き伸ばす違法性に関して
では、そもそも会社都合で従業員の退職を引き伸ばすのは法律違反となるのでしょうか。まず、第一に従業員が合意している限りでは違法ではありません。上司が「もう少しいてくれ」というのはあくまでもお願いや相談の範囲となります。しかし、この引き伸ばしの行為に対し、従業員がパワハラやプレッシャーと感じた場合は、違法性が高まります。
実は会社都合で退職を引き伸ばす行為は、重大な日本の憲法違反
日本の法律において、最上位に位置するのが日本国憲法となりますが、会社都合で退職を引き伸ばす行為は、実は日本の憲法に違反する重大な違法行為となります。
日本国憲法には18条「奴隷的拘束からの自由」および22条「職業選択の自由」が保障されています。簡単に言い換えれば、18条は「奴隷の禁止」、22条は「退職の自由」と言えます。上記より、どんな事情があっても、会社が自社の都合で従業員を引き留めたり、退職を引き伸ばす行為は、重大な違法となります。
会社が退職を引き伸ばすときは労基に相談すべきかどうか
会社が退職を引き伸ばすときは、まずは「労基(労働基準監督署)」に相談を考えている人は多いでしょう。しかし、労働基準監督署は役所となり、役所が会社に行政指導をする場合は、それなりのステップを踏まなければなりません。また、仮に労基が会社に対して勧告をしたところで法的拘束力はありませんので、悪質な会社の場合は労基の意見に耳を貸さない可能性もあります。
当然労基にタレコミをしたのが誰かはすぐに分かることなので、会社側がさらに嫌がらせをして従業員の退職を引き伸ばすこともあるかもしれません。
退職日を会社が決めるのは違法かどうか?
退職の引き伸ばしをする上司の中には「じゃあ2か月後の8月末日に退職日を設定するから、それまで働いてね」と一方的に決める人がいます。場合によっては「退職日を会社が決めるのは当然でしょ」と言ってくる人もいます。
退職日を会社が決める違法性に関しては、「違法でもなければ合法でもない」と言うことができます。法律では退職日を誰が決めるかに関しての記述はないため、一般的には双方合意のもとか、退職希望者が退職届を出した2週間後に労働契約が解除されることになります。
しかし、ここで覚えておきたいのは、「会社側が一方的に退職日を決めるのは違法である」ということです。上述したように、労働者には「職業選択の自由」が保障されていますので、会社側が従業員の同意なしに退職日を決めるのは重大な違法と言えます。
会社都合で退職を引き伸ばされた場合の対抗策と解決策
会社都合で退職を引き伸ばされた挙句、一向に退職日を決めてくれないケースは、少々危険です。退職を希望している人の多くは、すでに転職活動を終えており、次の転職先の勤務開始日も決まっている段階にあるはずです。もちろんそのことを会社に言うわけにはいきませんので、何とかして今月末中に辞めたいと考えます。
しかし、会社側が退職を少しでも引き伸ばしたいため、言い訳をして退職届を受け取りませんし、「会社の規定で3か月後に辞めていいよ」と言われたら、どうすることもできませんね。
ちなみに法律上では会社の退職規定が3か月後であっても、2週間経てば強制的に労働契約を解除することができます。しかし、それを個人で訴えようとすると、「いま辞めたら損害賠償を請求するからね」などと脅されたりして、泥沼化する恐れがあります。
民法627条
民法電子版(総務省)
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
退職の引き伸ばしを断ると「自己都合退職」で辞めてねと言われる場合
当人が納得して自己都合退職で辞めるのであればいいのですが、実は「パワハラを受けていたから辞める」、「会社が違法なほど過酷な残業を強いてくるから辞める」といった場合は、会社都合で退職をしたいですね。しかし、退職の引き伸ばしを断る代わりに、「すぐ辞めたいなら自己都合退職にしろ」と脅されるように強いてくるのであれば、これもやはり問題です。
個人で辞める場合はどうしても会社の脅しに屈服させられがちですので、退職の引き伸ばしを断った上で、さらに会社都合で辞めたい場合は、下記で紹介する退職代行に依頼してみるのがいいでしょう。
会社都合で退職を引き伸ばすのはうんざり!「退職代行」に依頼するのが有効
もし、これ以上会社都合で退職を引き伸ばされるのが嫌なのであれば、「退職代行」に依頼するのは一つの手段として有効です。退職代行は上述した「2週間後の労働契約の解除(民法627条)」を掲げて退職代行をします。
退職代行が会社側に連絡をした日から依頼主は出勤の必要がなくなりますし、会社関係の人が連絡してきても、一切対応する必要はなく、すべて無視することができます。会社都合で本人の合意なしに退職を引き伸ばす行為は法令違反となりますので、ほとんどのケースでトラブルなく月末退職が可能となるはずです。
また、上述したように、退職時に「自己都合退職で辞めてね」と言われる問題に対しても、弁護士の退職代行に依頼すれば、すんなりと会社都合の退職に切り替えてくれます。
ただし、昨今は弁護士と民間含めて退職代行を提供している事業所の数も多くなってきましたので、退職代行業者は慎重に検討してください。
おすすめの弁護士の退職代行はココ!
弁護士法人「みやび」は東京に本社を置き退職代行サービスを提供している法律事務所です。
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