職場でいじめを受けて「いますぐ辞めたい」と退職を考えている人は近年増加しています。しかし、「本当に会社を辞めるべきか分からない」、「我慢して働き続けるべきだろうか」と悩んでいる人も多いですね。
そこで、ここではいじめを受けている人が会社を退職するべきか否か、また明日からするべきことを解説します。
目次
職場いじめで退職に追い込まれる人が増加の背景
職場のいじめを受けて退職をする人は決して少なくありません。過酷な労働環境を強いられている職場では、人間関係・上下関係に優劣を付けてストレスのはけ口にする人が後を絶ちません。
また、日本において正社員は労働法で手厚く守られているため、社員を自主的に退職に追い込むため、会社単位でいじめを繰り返すところも少なくありません。
社内の職場いじめ・パワハラ(ハラスメント)はどんな罪?
職場でいじめやパワハラをする人を仮に訴えるのであれば、どんな罪に問うことができるのでしょうか。
まず、いじめもパワハラも内容によりますが、もし暴力が認められれば「傷害・暴行罪」となり、激しい叱咤などで精神的に追い詰められているのであれば「侮辱罪」や「名誉棄損」、「脅迫罪」などに問うことができます。
一般的に会社側で暴力をふるう上司はそれほどいませんので、相手を訴えるのであれば後者となるでしょう。
職場のいじめを受けて退職。自己都合による退職でも失業保険を受け取れる?
職場のいじめを受けて退職に追い込まれた場合、会社都合退職で辞めることができれば、即失業保険を受け取ることができますが、自己都合退職の場合は2か月の待期期間が発生し、この間は収入を得ることができません。
いじめが原因で退職した場合、実は「労災認定」されることによって自己都合退職でも失業保険をすぐに受け取ることができるようになります。
ただし、注意点としてはいじめの証拠確保はもちろん、かなりのひどい嫌がらせや暴行を加えられていないと、なかなか認められないのが現状のようです。
退職の理由ランキング上位の「人間関係」はいじめも含まれる
業界大手の転職エージェントが毎年公開する「退職理由」のアンケート調査では、例年「上司と価値観が合わない」、「先輩など同僚との人間関係の悪化」がランキング上位に位置します。価値観や人間関係といえば大人の理由に聞こえますが、その中にはいじめを受けた退職も無論含まれています。
そのことからも、いじめは会社を退職する正当な理由となることが理解できます。
職場でいじめられている人は逃げるが勝ち?我慢して働き続けるデメリット
職場でいじめを受けた場合、我慢して働き続けるべきか、それともすっぱりと辞めてしまうのがいいのか。
「職場いじめは逃げるが勝ち」とも言われるように、我慢して働き続けることにメリットはありません。
職場でいじめが発生したにも関わらず解決しようとしない上司はもちろん、いじめを許容している周囲の同僚も同罪です。
会社の職場内のいじめは解決が困難。働くメリットがない
会社の職場で一旦いじめが発生すると、よほど上司が有能であったり、会社がコンプライアンスを徹底しない限り、解決は困難な点が挙げられます。いじめをする者は往々にして先輩であり役職者の立場となるので、さらに上の上司がいじめを発見し、彼らに対して異動や解雇といった処分を下さない限り解決を図ることはできません。
職場のいじめで退職すべき人と残るべき人
上記でも説明したように、職場でいじめが許容されている社風の場合、自力での解決が困難なことが挙げられます。また、「先輩や人事に相談しても守ってくれない」、「社長からいじめられている」、「ワンフロアの職場のため支店や部署異動がない」といったケースでは、休職を利用しても人事に動いてもらってもどうすることができないことがほとんどです。そのような状況に置かれている人は、心が病む前に退職をして仕事環境を変えることが求められます。
一方で「来期になったら上司が退職する」、「人事に異動願いを出せる」のように、会社内で環境を変えられるのであれば、少しだけ我慢して職場に居続けることもできるでしょう。
職場のいじめは解決できない?休職制度の盲点と注意点
職場のいじめに耐えられない人の中には「休職制度を利用してやり過ごす」ことを検討している人もいるでしょう。しかし、休職制度の利用には2つ注意点があります。
- ほとんどの会社は休職期間中は無給
- 休職明け後も同じ職場に配属される可能性が高い
近年はコンプライアンスを徹底する企業も増えてきたものの、まだまだ従業員の心の問題や社風・職場環境の改善に消極的な会社が多く存在します。自分の会社が該当するのであれば、休職による問題解決は期待できないかもしれません。
職場いじめを受けて会社をすぐに辞めたい人が退職前に準備すること
職場のいじめが理由で会社をすぐに辞めたい人は、退職前に何を準備すべきでしょうか。まず考えるべきは、「いじめをした社員やそれを許容した会社に対して訴えを起こして損害賠償請求をするか否か」です。
「そこまでしなくとも」と考える人も多いかもしれませんし、すでにメンタルが病んでいて「もうすぐにでも会社と関係を断ちたい」という人もいるでしょう。
職場のいじめはパワハラ。仕返し(訴える)はするべき?
しかし、パワハラの証拠があれば十中八九慰謝料が認められますし、その金額は退職してしばらく療養する人にとっては決して少なくありません。
“報復”というと聞こえが悪いですが、損害賠償(慰謝料)の請求は従業員に認められた正当な権利となります。
そのため、パワハラの慰謝料請求をする人は「職場でいじめを受けた証拠」を退職前に準備するといいでしょう。
職場の上司のいじめ・嫌がらせの証拠集め
- ・いじめを受けたときの音声・動画
- ・いじめの内容を具体的に記した日時つきの日記(メモでも可)
- ・自分がいじめや嫌がらせを受けていることを知っている同僚の証言
損害賠償(慰謝料)を請求する場合は、どうしてもいじめの証拠が必要となります。しかし、上述したように多少の証拠であっても十分認められる可能性はありますし、大抵は弁護士が介入することで会社や上司は心が折れて、訴訟に発展せず示談で穏便に済ませようとするでしょう。
職場でいじめられていても上司が辞めさせてくれない場合の解決方法
また、会社の中には上司が辞めさせてくれないケースも実は少なくありません。その理由は大きく分けて2つあり、「上司自体がいじめの当事者」であること、もしくは「上司が自分の評価が下がることを危惧している」ことです。
いずれも会社にいじめが知られることを恐れてのことですが、この場合の解決策としては「別部署に相談する」のが手っ取り早いです。総務や人事部へ社内メールを送れば、真っ当な企業であればすぐに対応してくれるはずです。逆に「上司は貴方のためを思って叱咤している」のように解決してくれないようであれば、ブラック企業と見なすこともできます。
厚生労働省の「総合労働相談コーナー」:職場のいじめを含む労働問題の相談窓口
厚生労働省管轄の労働基準監督署では、職場のいじめを含む労働問題全般の相談窓口を設けています。利用は無料ですし予約も不要です。ただし、労基はアドバイスはしてくれますが、解決はしてくれません。また、特定の弁護士や相談先を紹介することはなく、基本は法テラスを斡旋してくれます。
法テラスは無料で弁護士に相談できる総合案内所で、オンラインMTGツールを通じて法の専門家と対話することができます。法律による対処法を知りたいのであれば有効ですが、弁護士への依頼料は無論有料となるので注意してください。
上記のように、政府も相談窓口を全国に設置しているので、ケースバイケースで有効活用が勧められますが、直接会社に介入してくれることはありませんので、「すぐに解決してほしい」、「来週から出社したくない」という場合は適しているとは言えません。
職場のいじめで退職する前に転職活動はすべき?仕事の途中で面接受けてもいいの?
職場のいじめで退職を検討している人は、すぐに会社を辞めるのではなく、転職活動を終えてか退職手続きをとるのも1つの手段となります。もちろんいったん仕事を辞めて失業保険を受給しながら自宅療養するのもかまいませんが、間を置かずに新しい職場に就きたいと考える人もいます。
「仕事を抜け出して内緒で転職活動してもいいの?」という疑問もありますが、会社に損失を与えない範囲であれば問題ありません。日本の社会では現実的に面接は平日に設定されることが多いため、会社が不利益を被らない限り、仮に会社に見つかって「損害賠償請求するぞ」と脅されても支払う必要はないものとされています。
職場のいじめ対処法:退職代行を使えばすぐに辞められる!
「上司や会社が退職届を受理してくれない」、「メンタルを病んでしまって退職する勇気がない」という人は、退職代行サービスを利用するの1つの方法です。「でも職場の人達から白い目で見られて恥ずかしい」と考える人もいるかもしれませんが、そもそも退職代行を依頼して代行業者が職場に連絡を入れたその日から、依頼者は会社へ出勤する必要がなくなります。
会社や職場の人間からの連絡もすべて無視することになるので、既に会社との関係は断たれたと解釈して問題ありません。
退職代行の利用は賛否両論あるかもしれませんが、基本的にブラック企業体質の会社やいじめを含むパワハラを受けている現状があれば、サービスの利用は積極的に行うべきと考えられます
退職代行に依頼して会社都合退職で辞めることも可能!
退職代行に依頼することによって、スムーズに会社を辞められるだけではなく、会社と交渉して会社都合で退職することも可能です。会社都合で退職できれば1週間後から失業保険が給付されます。
会社側としても弁護士と揉めたくはありませんし、パワハラが公になってしまうと会社信用の失墜につながるため、ほとんどの会社は無条件でこちらの要望を呑んでくれます。
退職代行の注意点:職場のいじめ問題は弁護士に依頼する
一昔前より民間企業が退職代行業務を請け負うようになり、業界内における競争も激しくなりました。しかし、退職代行の実行には労働問題を専門とした深い法律知識が求められます。「安いから」という理由で民間企業に依頼してしまうと、退職できないトラブルに見舞われたり、退職できても出勤して上司と面談を余儀なくされる事態になる可能性もあります。基本原則退職代行の実施は一度限りです。そのため、相手企業がどんなに理不尽なことを訴えてきても、毅然とした立ち回りができる専門家が介入しなければならないと考えます。
弁護士は高いイメージがありますが、民間企業と比較しても料金は1~3万円前後しか変わりません。少しの予算をとるだけで失敗の不安を抱える心配なく、次の人生を歩むことができると考えれば、決して高い金額ではないはずです。
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