近年ブラック企業やパワハラ上司の増加に伴い注目されている「退職代行サービス」。初めて利用する方にとっては、サービスの内容や流れなど不明点が多いですよね。そこで、今回は退職代行サービスの基本的な流れ詳しくご紹介。弁護士及び民間企業とやり取りの内容は変わりありません。
弁護士法人「みやび」は東京に本社を置き退職代行サービスを提供している法律事務所です。
「無料LINE相談」、「即日対応可」、「転職サポート」、「残業代・退職金・慰謝料各種請求」に対応。退職代行の利用は基本料金5万5000円(税込み)と一般企業並みの安さも特徴。
目次
いまだ根深く残るリスクばかりのブラック企業とパワハラ上司
日本は一昔から少子化が叫ばれており、21世紀半ばには、現在の労働人口の半分にまで減少すると言われています。そこで、日本政府は2019年に働き方改革を実施し、一部労働法の改正に踏み切りました。
これによって長時間労働の改善に伴う36協定の改定が実施され、また、正規雇用と非正規雇用の格差解消案が決定されました。しかし、実際にこれらの労働法をしっかりと遵守している企業はいまだ少なく、「うちの会社はなにも変わっていないよ」、「毎日遅くまで残業、ノルマ非達成による上司からのパワハラは永遠と続く……」という声が数多く見受けられます。
ここでご案内する退職代行とサービスの流れは、今のブラックな会社をすぐに辞めたい、パワハラ上司とさよならしたい、という人に向けた正当性・合法性のあるものとなります。是非ご活用ください。
退職代行サービスを使って会社を辞めたい場合の注意点
退職代行を使って会社を辞めたい場合、会社はパワハラや残業代の未払いなど、いわゆるブラック企業がほとんどとなります。退職代行を使って会社を辞めたいのであれば、まずは自身で明確な退職の意思を持つことが肝心です。退職の手続きが進むにあたって、退職するのが怖くなって踏みとどまってしまうと、退職代行の業者は何も手助けすることができません。また、退職代行に依頼したあとは解約ができません。
そのため、退職代行の利用において会社を辞めたいのであれば、2週間後もしくは月末には100%会社を辞めるつもりでいましょう。後述しますが、基本的に退職代行サービスを利用し、弁護士や業者が依頼主の会社に連絡を取った日を境に、依頼主は原則会社に行く必要はなくなります。そのため、職場でやり残したことがないように、こっそりと仕事の引継ぎの準備をしたり、備品をデスクに置いていったりする工夫もするといいでしょう。
法律において、2週間後には必ず会社・仕事を辞めることができる
民法627条
民法電子版(総務省)
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
法律では、上記のように2週間後には会社を辞めることができます。仮に会社の就業規則で3か月前の告知といった条件があっても、法律はその上位に当たるため、会社の就業規則は無視してかまいません。ただし、労働法(労働基準法)は無期雇用の労働者に適用されます。上記民法でいうと契約社員など有期でなく、雇用契約のある無期の正社員が該当することに注意してください。
退職代行の成功率。失敗とトラブルの可能性
退職代行業者のホームページを見てみると、どの業者のサイトも「退職代行成功率100%」という謳い文句があり、失敗はほぼない記述があります。
これには1つだけ注意点があることを覚えておきましょう。
基本的に従業員は法律で退職の自由が認められているため、「ただ単に辞めるだけであれば100%可能」ということが言えます。
しかし、問題はスムーズに辞められるかどうか。
会社側が怒って、貴方に対して損害賠償を請求してきたり、裁判に持ち込んできたりすることもあるかもしれません。
会社を辞めることはできても、離職票を送ってこなかったり、有給休暇を使わせてもらえない、残業代や当月分の給料を払ってくれない、上司や社長との面談を強いられる、といったトラブルが発生するかもしれません。
それでも退職代行業者としては、結果として会社を辞めることができたのだから、退職率100%は維持される、というのが業者の理屈となります。
即日対応と即日退職は違う
入金確認後、退職代行によっては即日に対応してくれるところもあります。ただし、即日対応と即日退職は異なります。退職代行業者のサイトでよく見かける「即日退職可」というのは、あくまでも最短即日に対応できるというだけで、退職日が問い合わせした日になるというわけではありません。ただし、退職日までの間は有給休暇を使うため出勤する必要はありません。
退職代行サービスの流れ!相談(連絡)から退職までを簡単に解説
退職代行のサービスを利用するにあたり、まず不安となるのが「退職代行に連絡後の流れ・利用方法がよくわからない」というもの。いままで何の縁もない弁護士などに連絡するのは誰であっても躊躇するものです。しかし、事前にどのような流れで相談から依頼、会社への連絡、そして退職に進むのか分かっていれば、多少なりとも安心できるのではないでしょうか。
そこで、下記では会社を辞めたい場合に退職代行を利用する実際の流れをご紹介します。退職代行を請け負うのは弁護士事務所と民間企業がありますが、いずれも基本的な流れは同じです。また、退職代行業者に依頼するときは必ず本人が問い合わせてください。
退職代行の流れを知る前に。「基本はすべてLINEで済む!」
退職代行を利用する場合、消極的な人や人見知りな人は、「直接退職代行業者と会いたくない」、「弁護士に電話をする勇気がない」という人も多くいます。そのため、多くの退職代行業者ではLINEによるテキストチャットでやりとりできるので、メールで自分の意思表示ができます。
これは民間の代行業者、及び弁護士の代行サービスであっても同じこと。また、弁護士と言えば「相談するだけでお金がかかる」イメージがありますが、このような弱者救済の個人を相手にした民間弁護士の多くは無料で相談することができます。LINEの返信自体は業者の営業時間内となりますが、問い合わせや相談内容の送付は24時間受け付けているので、とりあえず送ってみるといいでしょう。
また、民間企業の退職代行業者と弁護士はサービスの流れ自体は同じですが、弁護士に相談する場合は、初回のLINEで弁護士から詳細な見積もりの説明があります。退職代行のサービスの利用だけの場合は、別途かかる費用もほとんどないので本来見積もりも簡易なのですが、弁護士法という法律が絡み、弁護士は詳細な料金の説明をしなければなりません。むしろ依頼する側としては安心できますね。
退職代行の流れを知る前に!業者に連絡する事前準備リスト
退職代行の流れの最初の段階となる準備編ですが、上述したように退職代行の業者が会社に連絡をした日を境に、一切の会社との連絡を絶ちますので、当然出社もできません。そのため、引継ぎや備品の返却は計画性を持ってしっかりと準備するようにしましょう。
- 会社の備品は自分のデスクの引き出しやロッカーなど分かりやすいところに入れておく
- 引継ぐ顧客情報などの書類整理
- 引き靴顧客情報などのパソコン内のデータを分かりやすいように整理する
- 営業ならば、顧客の特徴や今までの見積もりなどの過去案件の整理
- パソコンでパスワードがあるものは解除、もしくはメール送信
- 健康保険被保険者証をデスクの引き出しに入れておく
※健康保険被保険者証は会社が回収して年金事務所に返納する必要があります - 退職届をデスクの引き出しに入れておく
※退職届のフォーマットのダウンロード
退職することは誰にも言わないのがベスト
退職代行を使うことはもちろん、できれば退職することも同僚には黙っておくのがおすすめです。本当に信頼できる相手であればいいのですが、どこからか上司や会社に漏れてしまうと、退職代行を使うにしても支障が出てしまうかもしれません。仲の良い同僚やお世話になった先輩に連絡するのは、下記の流れに沿って退職をした最後にするといいでしょう。
退職代行の流れ1.まずはLINEで連絡及び無料相談して疑問を解決
弁護士及び民間の退職代行業者は、それぞれ窓口となるLINE IDを持っているので、まずはQRコードなどで読み取り、スマホで連絡を取りましょう。営業時間内であればすぐに返信があるはずです。その後、
- 退職をしたい旨
- 退職をしたい理由(パワハラなど)
- 退職したいけどできない理由があれば(引き止めなど)
- 有給休暇や未払いの残業代の請求、退職金の有無など
- 退職をしたい希望の日(最低2週間後)
- 退職代行の担当者が依頼主の会社に連絡をする日を決める
- 退職代行サービスを依頼するにあたっての料金
上記を担当者と話し合います。そして、料金に同意したあとは支払いとなります。基本的に退職代行サービスはどこの弁護士、業者も前払いとなります。
残業代の請求やパワハラの賠償金の請求を検討している場合
もし未払いの残業代の請求やパワハラで訴えたい、あるいは賠償金を請求したいのであれば、民間業者では手が出ない専門の領域となるので、最初から弁護士に依頼することになります。また、相手がブラック企業の場合、むしろ相手側が「いま辞めたら賠償金を請求する」と脅してくるケースもあります。そういった事態が想定される場合も、予め弁護士に相談するのがいいでしょう。民間業者は訴訟リスクがある案件は請け負いません。
退職代行の流れ2.メリット&デメリットを理解し契約&入金(サービスの料金相場)
一般的に退職代行の利用は前金なので、LINEのテキストチャットで合意した場合は、その後全額入金となります。費用の相場は民間業者で3~7万円。弁護士で5~10万円です。会社を一刻も早く辞めたい人にとっては、それほど高くはありませんし、もし未払いの残業代や有給休暇の消化ができるのであれば、その分の費用を考えれば安いものです。
退職代行の流れ3.退職日までは有給休暇&自宅待機。備品は郵送で返却
退職代行サービスの大まかな流れとしては、実はもうほとんど完了しています。退職代行の担当者がきちんと法的に会社側に退職の手続きを訴えることができているのであれば、トラブルもありません。ただし、退職日までの2週間の期間中は、有給休暇の消化をすることになります。もし有給休暇が14日分ないのであれば、欠勤(無給)扱いも可能ですが、一般的には会社側は余計な社会保険を払いたくないため、その日付けで退職することができます。
また、よくある質問で「うちの会社は有給休暇はない」というものがありますが、有給休暇は労働法で認められた従業員の権利となります。そのため、有給休暇を作らない、もしくは取得させないのはれっきとした違法行為。ご安心ください。
ただし、退職代行を利用したあとは会社に行くのはトラブルの元となるのでおすすめはしません。退職代行が動く前に備品を会社に置いていったり、それとなく引継ぎしておいたりするのがいいでしょう。会社から貸与された備品が手元にある場合は、会社の自分の職場もしくは人事に郵送して返却しましょう。
退職代行の流れ4.会社側から必要書類が自宅に送付。失業保険の手続きも可
退職代行が一連の流れをすべて済ませると、会社側から下記書類が送られてきます。
- 離職票
- 年金手帳
- 源泉徴収票
- 雇用保険被保険者証
こちらの書類を受け取ったら、正式に会社との繋がりは切れました。この中ですぐに必要な書類は離職票となります。転職まで少し自由の時間が欲しい方は、ハローワークに行って失業保険を受け取る手続きをしますが、その際に離職票が必要となります。また、転職先企業によっては、前職を退職した証拠として離職票を求めるパターンもありますので、失業保険が不要の方も念のため受け取るようにしてください。
会社側が離職票をなかなか送ってこない場合
会社側がなかなか離職票を送ってこない場合は、退職代行サービスの担当者に連絡をとってみるといいでしょう。離職票の送付もしっかりと労働法で義務付けられており、会社側が従業員が離職票を請求した場合、7日間以内に送付の手続きをしなければなりません。
退職代行の流れ5.転職活動開始。業者からサポートを受けよう
最後の流れとなりますが、失業保険を受給しつつ、転職活動を始めましょう。昨今の退職代行業者の中には、退職手続きの代行だけではなく、転職のサポートをしてくれる業者も多くいます。上記で紹介した弁護士事務所「みやび」も民間企業に倣って転職活動の支援業務をしているので、きっと働きやすいホワイト企業を斡旋してくれるはずです。
退職代行の流れ番外編:「慰謝料や残業代を請求したい・訴えたい」
上記で紹介した退職代行サービスの流れは、一般的な流れとなり、おそらく全体の8割程度の人に当てはまります。しかし、場合によっては「会社のせいでうつ病になったから慰謝料を請求したい」、「会社が労働法違反している。未払いの残業代をすべて請求したい」、「パワハラ/セクハラで訴えたい」といった強い要望を持つ人も少なくありません。
そういったケースでは、まず上記の流れのうち最初の相談の段階でしっかりと話してください。弁護士はこちらがむしろ専門なので、強い味方になってくれること間違いありません。ちなみに、これらは別途費用が掛かりますが、いずれも出来高となりますので、「慰謝料とれたけど弁護士費用の方が高くついた」といったことはありません。出来高もせいぜい20%程度ですのでご安心ください。
退職代行は弁護士と民間業者がある!流れの違いはある?
退職代行を請け負うのは昔から弁護士と決まっていましたが、昨今は民間業者もサービスを提供するところが増えてきました。両者ともサービス実施の基本的な流れは同じです。細かい流れの違いとしては、「弁護士は弁護士法を遵守する必要があり、報酬額はしっかりと依頼主に明示しなければなりません」。簡単に言えばぼったくりはありませんよ、というものです。民間業者がいまいち信用できない、という方にとってはいいかもしれませんね。
それ以外の流れはほとんど同じですが、民間業者は金銭にまつわる交渉を代理して行うことは法律で禁止されています。民間業者が行うのは、あくまでも使者の役目となります。
弁護士でもLINEチャットで退職代行の相談はできるの?
上記の最初の流れで、民間の退職代行業者の場合は電話は不要でLINEのテキストチャットで相談や依頼ができると説明しましたが、弁護士はどうでしょうか。やはり弁護士という性質上、基本は電話やメールでアポイントをとって、事務所に行かなければならないのが普通です。
しかし、弁護士の中には退職代行サービスを重点に置いている事務所もあり、そういった人気の弁護士事務所では、民間業者のサービスを模範にLINEチャットのサービスを行っているところもあります。
弁護士法人「みやび」は東京に本社を置き退職代行サービスを提供している法律事務所です。
「無料LINE相談」、「即日対応可」、「転職サポート」、「残業代・退職金・慰謝料各種請求」に対応。退職代行の利用は基本料金5万5000円(税込み)と一般企業並みの安さも特徴。
退職代行の流れを知る!弁護士の交渉と民間の使者はまったく違う
退職代行の基本的な流れは変わらないにしても、その中身は全く違います。上述したように、退職代行というものの、民間業者は依頼主に代わって交渉したり、代理することはできません。そのため、退職をするに当たって、以下の流れが異なります。
民間業者の「使者」による退職代行の流れ
代行業者「山田さんが会社を辞めたいと言っていますので、退職の手続きをしてください」
A社「それは山田さんと話し合って決めます。彼に出社して一度面談するよう伝えてください」
代行業者「山田さんはもう出社をするつもりはありません。退職日までは有給や欠勤扱いでかまわないと言っています」
A社「 一度出社するように伝えてください」
このように、最悪平行線を辿り、山田さんは出社する必要が出てくる可能性があります。
弁護士の「代行・交渉」による退職代行の流れ
弁護士「山田さんが退職を希望しているので、その手続きや金銭の代行をさせていただきます」
A社 「それは山田さんと話し合って決めます。彼に出社して一度面談するよう伝えてください」
弁護士「私は正式に山田さんから委任されているので、私が承ります。法律に基づいて2週間後の退職、及び速やかな離職票の郵送。残業代と退職金の計算及び支払いを要求します」
A社「一度出社するように伝えてください」
弁護士「退職日までは有給消化をしますので、山田さんに出社の義務はありません。民法に基づいて山田さんの退職を妨げることはA社できません」
このように、弁護士が退職代行を引き受けた場合、法律に基づいて金銭交渉をしたり、山田さんの代わりにすべてをこなすことができます。しかし、民間業者はあくまでも使者なので、「山田さんが〇〇と言っています」ということしかできなく、代わりになにか交渉することも、金銭にまつわることを法律を盾に訴えることもできません。
近年増えてきた労働組合加盟の退職代行業者とは
近年は労働組合加盟の退職代行業者も増えてきました。一見すると「民間企業ではなく政府関係」の団体と誤認しがちですが、実はこちらは普通の民間業者となります。いままで民間業者は弁護士と比べると、金銭交渉ができなく、違法性を指摘されていました。そこで、民間業者の中には金銭交渉が可能となる労働組合にわざわざ加盟し、「労働組合加盟の代行サービス」と名乗る業者が出てきました。
確かに労働組合加盟の業者であれば金銭交渉が部分的に可能となりますが、そもそも金銭交渉がなぜ弁護士のみに許されていたかというと、「企業と個人が金銭交渉をする場合は、トラブルになりやすく、逆に賠償請求を請求されたときに素人だと太刀打ちできない」からです。労働組合加盟業者は交渉をできる権利を持っているだけで、法律や交渉においては素人となります。
似たような業者に「弁護士監修」という民間企業もありますが、こちらも弁護士がアドバイザーとして提携しているだけであって、実際に弁護士が依頼者の窓口担当してくれたり会社に交渉してくれるわけではありません。退職代行業者のPRの記載で誤解しないようにしてください。
まとめ:退職代行に依頼したら失敗は許されない!流れと仕組みを覚えよう
会社を辞めたい人で退職代行を利用する場合、代行が失敗することは許されません。多くの人はブラック企業で働いているのだから、退職代行が失敗して、なくなく職場復帰せざるを得ない状況に陥った場合、会社や上司からだけではなく、いままで仲の良かった同僚まで敵に回すことになります。
そのため、退職代行サービスを利用する場合は、事前に流れや仕組みをよく理解しておくと同時に、実績のある弁護士や業者に相談するようにしましょう。料金の安さで決めては絶対にいけません。
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