ブラック企業のため自力で辞めることが困難な場合、近年注目されている退職代行を利用するのが効果的です。「即日に辞めたい!」という希望も多いようですが、弁護士に退職代行を依頼したら、果たして即日に辞めることができるのでしょうか。今回は退職代行の実情や、即日に辞められるか否かを詳しくご紹介します。
目次
退職代行業者が言う「即日退職」の本当の意味とは
退職代行は弁護士と民間企業が請け負っていますが、主に「即日退職」という言葉は、民間企業がPR文句として使うケースが多いようです。弁護士は法に敏感のため、依頼者に誤解される表現は基本取り除く傾向にあります。
ただし、民間企業であっても弁護士であっても、退職代行を依頼するに当たって「即日退職」というのは、基本的にあり得ません。退職代行が推す「即日退職」は、会社を正式に退職するのではなく、翌日から会社へ行く必要がない、という意味となります。また、業者によっては、この即日退職を「その日中に企業に連絡する」という意味合いで使っているところもあります。指摘が多かったためか、最近は「即日対応」と表現を修正する業者も多くなってきましたが、なんとも騙されやすい謳い文句であることには変わりありません。
退職代行を依頼すると、本当に即日に辞められる?
上述したように、即日退職とは、「即日に対応する」という意味であり、業者が会社側と話し合うことによって、退職日まで会社を休むことができるよう取り計らってくれることを指します。
例え弁護士に依頼したとしても、即日に会社を正式に退職するとは不可能です。しかし、一両日中に対応してくれるのであれば、翌日から会社へ行く必要はないので、「お前退職代行なんかに依頼しやがって!」と怒鳴られる心配もなければ、嫌な上司と顔を合わせることもありません。
退職代行で明日から会社に行かないことは可能?
退職代行を依頼した場合、即日退職は通常はハードルが高いですが、業者が会社側に連絡をした日から退職日までの間、有給休暇の取得や欠勤をすることによって、会社に行く必要がなくなります。もちろんこれらの取得の交渉も退職代行が行ってくれます。その後は仮に会社側から本人宛に連絡があっても、すべて無視してもらってかまいません。
実際会社員を辞めるとなると、退職金や有給休暇、当月分の給料といった金銭支払いの義務が会社側に生じます。しかし、実は民間の退職代行業者はこれらの交渉は法的にできませんし、仮に交渉をしたとしても、法的知識や経験がない業者がほとんどなので、会社側に何か言い返された場合、合法的な正式な請求ができません。そのため、金銭にまつわる問題が示唆される場合は、基本的に弁護士事務所に依頼することになります。
退職代行を使ってその日中に退職できるときがある!
一般的には難しいですが、場合によっては名実ともに即日退職をすることも可能です。これは「合意退職」と呼ばれ、いわゆるこちらが一方的に辞めるのではなく、会社側が合意してくれたときに実行できる契約です。「有給もいらないし、残業代の申請もしない」など、こちら側が一定の譲歩をしたときに、会社が折れて合意してくれることがあります。ただし、退職代行に依頼するほどのケースでは、基本的に相手はブラック企業であることが多いので、素直に合意してくれることはあまりありません。
退職日は自分で決める!パソコンですぐに完成!
日本の会社を退職する際は、一般的には上司と退職日の相談をすることになりますが、会社側が「いま忙しいから2ヶ月後まで待って」、「会社の規則だから3ヶ先までやめられないよ」と言ってくる場合もあるでしょう。
しかし、本来会社を辞めるか否かは従業員の自由のため、退職日を決めるのも当然従業員となります。いかに会社が上記のように引き止めにきても、断固として断ることができます。
ただし、突然退職したことにより、何かしら会社側が不利益を被った場合は、ケースによっては裁判で賠償責任を負う可能性も否定はできません。例えば「大きなプロジェクトの途中で辞めたので、取引が破断して会社側が○○億円の損失を被った」という場合は要注意です。
また、退職届は日本では古くからの慣習に基づいて手書きで書く人がいますが、書式に決まりはないので、パソコンで作成して問題ありません。そもそも退職届自体が法律では不要となります。
体調不良で会社を即日退職できるか否か
深刻な病気ではなく、少し重い風邪や慢性的な腹痛といった、ありがちな体調不良で会社を即日に退職することはできるのでしょうか。一見すると、その程度の体調不良で会社を辞めるなんてできるわけない、と考えがちですが、基本的に会社の即日退職は可能です。
まず、労働基準法の第5条には以下条文が記載されています。
第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
労働基準法 – e-Gov法令検索
つまり、会社側は仕事を辞めたいと言っている従業員を無理やり働かせることはできないというわけです。ただし、体調不良を理由に会社を即日退職することは法律では問題なくとも、会社側はそれを断固として許さない態度に出る可能性も高いです。
この場合は話がこじれやすいので、自力で解決・退職することが困難になることもありますので、退職代行を利用するのも有効です。
パワハラが原因の場合は誰でも即日に会社を退職できる
会社を最短で辞めたい場合は、民法上は「退職の旨を伝えて2週間後に労働契約の解除ができる」ものとされています。しかし、例えばパワハラが原因の場合は、上記法律を守る必要なく、即日で会社と労働契約を解除することができます。
しかし、即日で会社を辞めるとなると、当然会社側と揉めることになります。パワハラが原因の退職の場合は、会社側に優位に立たれないように、事前にパワハラの証拠を収集しておくことが重要です。
パワハラの証拠を集める際は下記を参考にしてみてください。
・パワハラの現場を収めた動画
・パワハラの会話を収めた音声録音
・パワハラの具体的な内容を書いた日記
ストレスが原因で会社を即日退職は可能?
一方で残業の披露や上司や同僚との人間関係、仕事に対する重圧といった、いわゆる「ストレス」を原因に会社を即日退職することは現実的にできるのでしょうか。
まず、ストレスも心の病気の発症原因の1つとなるため、放置しておくのは危険です。ただし、ストレスを原因に即日で労働契約を解除できるかどうかは微妙なところとなります。
例えば「仕事のストレスを起因とした適応障害」や「うつ病」といった診断が医師からされるのであれば、それをもってして即日で労働契約を解除する方向へ持っていくこともできます。
しかし、診断書がない場合は個人や民間の退職代行業者に依頼して、ストレスで辞めることは少々難しいでしょう。一方で弁護士に退職代行を依頼すれば、診断書がなくとも退職することができます。※即日で退職できるかは相談しましょう。
退職代行を弁護士に依頼するポイント。即日は無理でも対応の速度は超重要!
退職代行を弁護士に依頼する際のポイントとしては、記事のテーマにもなっている「即日」が重要となります。上述したように即日に退職日を設定するのは難しいですが、即日もしくは一両日中に対応してくれて、その日から会社に行く必要がないのであれば、ブラック企業で働き、一刻も早く辞めたい人にとっては非常に重要なサービスとなります。
即日に対応してくれるか否かは、退職代行の業者によって異なります。例えば、弁護士は依頼を受ける前に必ず料金体系やサービス内容を明確に伝える義務がありますので、場合によっては実際の対応に数日の時間を要することもあります。
一方で民間業者の場合は、多くが即日に対応してくれるでしょうが、もし会社がブラック企業の場合は、うまくいかない可能性もあります。その場合、自分が退職代行を依頼したことを会社側に知られた上で、出勤しなければならなくなります。
有給なしの場合は即日退職は無理?
即日に辞めたいと考えている人の中には「実は有給がもうない」、「そもそもうちの会社は有給休暇の制度がない」という方もいますね。まず第一に、有給休暇とは会社の制度ではなく、労働法で定められたれっきとした法律となりますので、有給休暇の規定がない会社は、それ自体が違法となります。つまり、いままで有給休暇を使ってこなかったということなので、ここで退職日までの間を有給ですべて消化することができます。
一方で、有給をすでに使い切ってしまっている場合はどうすればいいでしょうか。
考えられるのは休職ですが、休職は本来事故や病気、裁判といった際に使うもので、この休職制度に対する法律はなく、会社側が用意する規定に依存します。そのため、退職代行を利用して辞める際は、休職制度は期待しない方がいいでしょう。基本は会社側に給料なしの欠勤扱いにしてもらう交渉をすることになります。
コメントを残す