客先常駐のses契約は何かと問題があり、ベンダーに入社してすぐに「今すぐ辞めたい」と考える人も少なくありません。ここでは客先常駐のsesにまつわるトラブルや辞めたい場合の手順や法律のあれこれ、sesやエンジニアにおすすめの退職代行業者を紹介します。
目次
客先常駐のsesの現状。「今すぐ辞めたい」人増加中の背景
ses契約は、ベンダーとクライアントの会社との請負契約に基づき仕事をこなすシステムエンジニアです。昨今sesは非常に増加していますが、その一方でブラックな側面もあります。sesとして勤務しているけれど、「契約期間中だけどもう辞めたい」という人も多いです。
では、sesにはどのようなブラックな側面があるのでしょうか。
辞めたい理由① いつの間にか客先常駐先の上司に毎日業務を命令されている
ses契約はエンジニアが所属している会社(ベンダー)とクライアントとの契約となります。そのため、ses社員が客先常駐をしているからといって、常駐先の上司がses社員に業務に関係する命令をすることは許されません。しかし、実際は多く案件でそのような違反事項がまかり通っています。本来は「客先常駐だけど先方に怒られたり命令されることがない」というのがsesの魅力でもあるのですが、それが失われてしまっているのが現状です。
辞めたい理由② sesなのにサービス残業がまかり通っている
sesは成果報酬ではなく、時間給で給料が支払われます。そのため、通常のエンジニアやプログラマーと異なり「比較的残業が少ない」というのもsesの売りとなっているはずです。しかし、実際は月100時間以上の(サービス)残業もまかり通っていて、sesであっても毎日帰宅が夜遅くになることも普通です。
sesを辞めたい大きな問題「エンジニアとしてのスキル不足」
sesを辞めたい大きな問題の1つに「スキル不足」が挙げられます。エンジニアによって習得スキルや熟練度、経験、仕事のスピードが大きく異なり、「新しく始まったプロジェクトについていけない」、「わからないところがあるが、先輩に聞ける雰囲気じゃない」といった自分のスキル不足の問題を抱えることもよくあります。
しかし、ここで問題となるのが、もしフォローしてくれる先輩上司がいない場合は、下記のような精神的苦痛を体験することになるかもしれないということです。
- 先輩から吊るし上げられる
- 自分だけ仕事が終わらないため、毎日深夜まで残業
- 土日休みも返上しなければならない
- まったく仕事ができないため、毎朝会社に行くのが怖くなる
sesの場合、質問に答えてくれる人が周りにいない場合もよくありますし、自分のミスは自分でリカバリーしなければならない責任の重さもあります。
そのため、sesの中にはスキル不足のために出社するのが怖くなり、やがて辞めたいと考えるようになる人が大勢います。もちろんそれで辞めることができればいいのですが、無理して仕事を続けていると、やがてうつ病を患ってしまうことにも繋がります。
客先常駐のsesのトラブル~有給休暇を取れない
客先常駐となるses社員の誰もが共通するトラブル・悩みの1つが「有給休暇を取得できない」というものです。有給休暇の取得は所属元(ベンダー)に申請するだけで本来は取得することができますし、勤務先の上司はそれに関して文句を言う立場にはありません。しかし、実際は暗黙の了解で有給をとるときは常駐先の上司の許可が必要となります。
一般のIT業界よりも給料が低く、将来性がない
sesは所謂アウトソーシングです。クライアントからしてみると、使いたいときだけ依頼することができる便利なお助けマンとなるので、その一方で、自分自身のキャリアアップは見込めません。また、sesでは二次受けも普通にあるので、中間業者に中抜きされて、自分が受け取る給料は低くなることも多いです。ses社員とベンダーが正社員としての雇用なのか、それとも有期雇用なのかによっても待遇は異なりますが、自分が働くベンダーがどのように案件をとってくるかは、必ず一度は調べておくといいでしょう。
客先常駐のsesを辞めたいけど、契約中だと賠償請求トラブルがある?
こちらもよくある話ですね。ses社員は基本的に常に客先常駐して契約の真っただ中にあります。辞めたいときには、客先常駐している会社ではなく、ベンダーに対して退職届を出す必要がありますが、基本的にベンダーの事務所に行ったり、担当者に話す機会はそれほど多くありませんので、メールを送っても応答がないこともしばしば。
また、「いまは客先常駐期間中だから、辞められると困る」、「契約中に辞めたら賠償請求する」といった話もよく耳にします。しかし、これは問題外です。おそらく実際に賠償請求されたsesはいないのではないでしょうか。
そもそも、契約とはクライアントとベンダーの間での時間給での契約となるので、自分が辞めるのであれば、ベンダーは別のsesを派遣しなければなりません。ただし、有期雇用の場合は、sesとベンダーとの契約破棄とみなされて賠償請求されることもあり得ます。昨今のses契約はほとんどが2か月程度の短期契約更新となりますので、できれば次の契約更新を待つのが得策です。
sesを辞めたいときは結局誰に言う?
sesを辞めたいときに最初に誰に言うか?は意外と論争になるようですが、これはビジネスマナー的に自身を客先に派遣しているベンダー側に言うのが決まりです。もちろん雰囲気的に出向先にも言わなければならないときが来ますが、まず最初にアクションを起こすのは自社の上司であることに変わりありません。
sesが退職時に賠償請求をされる危険のあるパターン
では、sesはいつ強引に辞めても損害賠償を請求されることはまったくないのかというと、実はそうとも言い切れません。
例えば、辞めたいsesの方が「取締役や役員」の場合は、会社を突然退職することによって損害を被る可能性があります。取締役や役員は会社の一部とみなされるため、会社が損失を被った場合は、相場で2割程度は損害賠償請求されることがあります。
一般的に会社が雇用関係にある従業員に賠償請求をして、裁判で認められるケースというのはほとんどありません。ただし、会社側が損失した金額を論理的・合理的に説明することができる場合は、もしかすると損害賠償の可能性があるかもしれませんので、強引にsesを退職したい場合は、弁護士のような専門の人に手助けしてもらうのがよさそうです。
プロジェクトの途中でsesを退職する場合の注意点
上記でご紹介したように、sesを辞めたい場合は、法律を駆使すれば当月中に退職することも可能ですし、ほとんどの場合は途中で退職したとしても賠償金の支払い義務を負うことはありません。
しかし、上記でご紹介したように、「取締役や役員」であり、また重要なプロジェクトの途中で、自分が抜けることによって発生するベンダの損害金を具体的な数字で出すことができる場合、裁判によって賠償金の支払い義務が生じる可能性はあります。
そのため、プロジェクトの途中でsesを退職する場合は、役職の有無に問わず、まずは法律の専門家となる弁護士に相談することがおすすめです。近年は日本もアメリカを見習ってか、会社が従業員に対して訴訟をするケースが増えてきていますので、「自分は大丈夫だろう」と思うのはリスクがあります。
客先常駐のsesを1週間で辞めることはできる?
「客先常駐のsesを1週間で辞めることもできるのか?」という問い合わせも多くあります。sesの業務がイメージと違っていたり、派遣先でパワハラなどを受けている場合が該当します。
結論から言うと、1週間でも退職することはできます。労働法では退職の旨を会社に伝えた2週間後に労働契約を解除することができます。
また、パワハラやうつ病、当初の労働契約と違う業務をやらされている場合は、2週間を待たずしていつでも契約を解除することができます。
注意点としては、これらはあくまでも自分の労働者としての権利を行使することになるので、トラブルとなる可能性もあります。そのため、リスクヘッジを考えるのであれば、やはり弁護士のような後ろ盾を持っておくのがおすすめです。
sesを辞めたいときの退職理由は何がおすすめ?
sesを辞めたい場合、通常であれば契約更新時に更新をしないことでスムーズに辞めることができます。一方で派遣元の正社員や契約月数がまだ大分残っている場合は、辞めるタイミングがないため、「できればいますぐにでも辞めたい」と考えることでしょう。
sesを辞めたいときに使う一般的な退職理由は、「業務についていけない」、「体力がもたない」などが考えられがちですが、それでは上司から文句を言われながら辞めさせてくれない可能性が高いです。
sesに限らず、会社を辞めたい場合は、「精神的な疾患の気配がある」ことと「私生活で問題が発生したため」の2つを理由にすると、会社側は引き留めるのが難しくなります。
精神的疾患は会社にも非があるので、会社側は賠償請求を恐れて引き止めることはしない傾向になります。一方で私生活の場合は、「妻や自分の実家の稼業を継ぐ」、「親と同居することになり、引っ越ししなけれならない」といった理由であれば、会社や上司は込み入った話になってくるため介入を嫌がります。
しかし、上記退職理由で辞めることができるのは、あくまでもホワイト企業だけと思った方がいいでしょう。
ブラック企業だと通常の退職理由や理屈というのは通じませんので、別の手を考えなければなりません。
客先常駐のsesを今すぐ辞めたい場合の最短退職方法
客先常駐で毎日勤務しているses社員が今すぐにでも辞めたいと考えた場合、どのような方法で退職するのがいいのでしょうか。続いては法律を元に考えてみましょう。
無期雇用の場合:退職届を出すだけ。客先常駐のsesを辞めたいときに辞められる
ベンダーとの間での契約が雇用期間の定めのない無期雇用であれば、退職届をメールで送るだけで辞めたいときに辞められます。ただし、ポイントは2点あり、1つは「法律にのっとって2週間経ってからの退職とする」ことと、2つ目は「就業規則で別途退職方法が規定されているならば、まずはそちらに従えるかどうかを検討する」ことです。もし就業規則では「退職は3か月前」、「客先常駐が終えたあと」などと記載があり、それをses社員が「そんなに長い間我慢できない」、「1日でも早く辞めたい」と言うのであれば、就業規則は無視して2週間後に辞めることができます。
有期雇用の場合:次回更新をしない。今すぐ辞めたい場合は、奥の手を使う
一方で有期雇用の場合は、上記の2週間後に辞められる法律を盾にすることはできません。そのため、基本は次回の更新をしない、ことが最短で辞める方法となります。しかし、「もう客先常駐のsesは心身が限界」ということであれば、例えば以下の理由を元に辞めたいときに辞めることができます。
- 医師からうつ病やストレス障害と言った会社が原因となる診断書を貰う
- 家業をつぐなど実家に帰省しなければならない理由を考える
- 引っ越ししなければならない理由を考える
無期雇用の場合は、労働法によって退職届を提出して2週間後に辞めることができますが、有期雇用ではそれが通じません。その代わり、上記のように「退職せざるを得ない事由」があれば、2週間後とは言わず、明日にでも会社を辞めることができます。これは客先常駐のsesであっても同じことです。
sesを辞めたいけれど、半年や1年でも辞められる?
会社を辞めたいsesの中には、まだ入社して半年や1年と言う人もいるでしょう。sesを辞めること自体は半年でも1年でも問題ありませんが、1年未満で退職すると、失業保険で問題が発生します。
まず、失業保険は過去2年間の中で12か月以上就業していなければなりません。解雇された場合は過去1年間の中で6か月間勤務していなければなりません。
すでに次の転職先が決まっているのであればいいのですが、そうではなく失業保険による収入をあてにしているのであれば、自分が現在失業保険の受給資格を満たしているかどうか調べてみるのがおすすめです。
新卒だけどsesを辞めたい。そんなときはどうする?
sesを辞めたい人の中には新卒の方もいるかもしれませんね。専門学校を卒業して初めての会社勤務を経験すると、「自分には向いていない」、「黙々と一人でやる作業だと思っていたけど、チームメンバーとの会議や連携が業務の8割を占める」といったイメージのギャップに悩み、sesを早々に辞めたいと考える新卒は案外多いようです。
新卒のsesが会社を辞めること自体は問題ありませんが、まず、有給休暇は最低半年働かなければ付与されません。また、失業保険も一般的には受給することができません。
昨今は新卒で退職をする人もIT企業を中心に増えてきたため、特に苦労を強いられるsesにおいてはそれほど珍しいものでもなくなっています。そのため、新卒ですぐに辞めたからといって、転職でそこまで不利な状況に追い込まれることはそれほどないと言えます。
sesを辞めたいけれど40代。転職はできる?
sesを辞めたい人の中には、「もう40代だから転職に不安がある」と言う理由で、ずるずると辞められずにいる人も少なくありません。しかし、sesに長年勤めていたということは、WEBには相当精通していますし、マネジメント能力も高いはずです。
転職先としてはWeb制作やWebマーケティング企業はもちろん、一般の民間企業のIT・企画部でも重宝されることでしょう。また、思い切って起業するのもいいかもしれません。最初はフリーランス・個人事業主からはじめてみてはいかがでしょうか。自分の懐が潤うくらいの収入であれば、実はそう難しくはありませんし時間もかかりません。
sesを辞めたいけど「引き止め」られる場合はどうする?
sesを辞めたい派遣先もしくは所属している派遣元の上司から「いま辞められると困る」と引き止められることもよくあります。
まず、大前提としてsesが辞めたい場合は、最初は派遣先ではなく、自分が所属している派遣元の担当に辞めたい旨を伝えてください。
sesを辞める場合は、所属している会社を辞めるのか、それとも派遣先を変えたいのかによって対応が異なりますが、基本的にどんな理由があっても、会社側は辞めようとしている従業員を引き止めることは法律で禁止されています。
また、sesは派遣元であるベンダとの労働契約となるので、派遣先の会社はsesに対して引き止めることはもちろん、日ごろの作業や労働に対して意見をすることは原則できません。
常駐先の上司がses社員に命令するのは「偽装請負」!場合によっては法的手段も
常駐先の上司がses社員に対して命令するのは、「偽装請負」と呼ばれる違法行為となります。もし上記でご紹介したようなトラブルばかり発生する常駐先であれば、ベンダーを退職するとともに、常駐先を違法行為として訴えるのもありです。
客先常駐のsesも実は辞めたいときに辞められる!退職代行に相談するのもあり
客先常駐のsesの場合、普通の正社員として働くプログラマーよりも退職が難しいとされていますが、上記から分かるように、本当に辞めたい意思があるならば、辞めたい日に辞めることができます。もし、会社に辞めたいと言い出す勇気がないようであれば、昨今流行りの退職代行に相談するのも選択肢の1つとなるでしょう。
sesを辞めたい場合に絶対に重宝する!退職代行とは
退職代行とは、職場でトラブルを抱えている社員が辞めたいけれど辞められない状況に陥っているときに活用できるサービスの1つです。退職代行業者に連絡をして事情を話し、辞めたい日付けを言い渡せば、あとは退職代行のスタッフがses社員に代わってベンダーに連絡をとり、退職の手続きを取ってくれます。
トラブルを避けたい人が利用する退職代行サービス
退職代行サービスの利用を推奨するsesは、「辞めたいけれどトラブルの予感がする」、「ベンダーも常駐先もブラック体質」といった人です。
いまの職場を辞めたい人の中には、すでに次の転職先が決まっている人もいます。そういった人の多くは、上司と押し問答が続きなかなか辞められない状況を好みません。最悪次の転職先の入社予定日までに辞められなかったり、有給を1日も消化できない、なんてこともあるでしょう。
次の転職にあたって引っ越しをしなければならないのであれば、最低でも2~3週間前までには辞めたいでしょうし、何かトラブルの可能性があるようなら、多少のお金を払ってでも回避したい。
そんな人ならば、退職代行は打って付けのサービスと言えるでしょう。
sesが退職代行に依頼すれば即日で辞められる?
では、sesが退職代行に依頼すれば即日でも辞めることができるのでしょうか。
退職代行では「即日退職可」といったセールス文句がよく見受けられますが、これには実は誤解があります。
退職代行は法律に基づいてベンダー側と交渉しますが、法律では最短でも2週間後の契約解除と決まっています。これ以上早く辞めたい場合は、お互いの合意がなければなりませんが、関係がこじれた中で辞めたいのであれば、現実的ではありません。
「即日」とは、あくまでも退職代行業者がその日のうちに対応できる、というだけです。実際の退職日は2週間後以降となるので、一般的には当月末となります。ただし、退職日までの間は有給休暇を取得することになりますので、退職代行業者の腕次第では、連絡をしたその日から出社することはなくなります。
sesを辞めたいときに利用する退職代行業者を選ぶポイントとは
sesを辞めたいときに利用する退職代行は、一般企業と労働組合加盟業者、弁護士事務所の3種から選ぶことができます。それぞれメリットデメリットがあるので、よく覚えておきましょう。
一般企業の退職代行のメリットデメリット
一般企業の退職代行は昨今は減少傾向にあります。退職の代行を交渉することができるのは、一般的に労働組合加盟業者、及び弁護士事務所のみだからです。特にsesはベンダーもクライアントもこの手の法律はよく知っているため、一般の企業に退職代行を依頼すると、最悪足元をすくわれてしまうかもしれません。一般企業に依頼する場合は、せいぜいアルバイトやパートの退職代行依頼程度に留めておくのがいいでしょう。
労働組合加盟業者のメリットデメリット
労働組合加盟というと、何だか社団法人や政府系団体のようなイメージがありますが、実は上記紹介した一般企業が労働組合に加盟しているだけで、実態は通常の一般企業と何ら変わりありません。ただし、労働組合に加盟しているため、交渉権が認められているので、裁判以外の案件の交渉を代行することができます。
しかし、ここで働く従業員の知識やスキルは一般企業と変わらないため、法律に対する見解や示談金交渉などは期待できません。
弁護士事務所のメリットデメリット
弁護士事務所は一般企業や労働組合加盟業者と比較すると2~3万円ほど料金が割高となります。しかし、それを除けば、相手が損害賠償を請求してきたり、悪質な言動に出ても、こちらは弁護士のためすべてを任せることができます。
また、昨今は弁護士も民間の影響を受けて、LINE相談無料や転職サポートなども実施しています。特段の理由がない限りは、弁護士事務所に依頼するのが無難でしょう。
弁護士法人「みやび」は東京に本社を置き退職代行サービスを提供している法律事務所です。
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