会社が仕事を辞めさせてくれない。「人手不足」と言われたときの対処法

仕事を辞めさせてくれない。「人手不足」と言われたときの対処法

入社した会社を退職したいけど「人手不足だから」と仕事を辞めさせてくれない会社は、実はブラック企業の典型的なやり方です。もし一刻も早く退職したいのであれば、ここで紹介する方法を実践してみてください。今回は人手不足を理由に、仕事を辞めさせてくれない場合の実践的な記事をご紹介します。

目次

仕事を辞めたいとなかなか言い出せない理由は「人手不足」

仕事を辞めたいとなかなか言い出せない理由は「人手不足」

職場への不満から「仕事を辞めたい」と思っていても、さまざまな事情から言い出せない。そんな悩みを抱える方も多いのではないでしょうか?

会社は一般的に週5日、最低40時間仕事することになります。生活の大部分を占める職場の環境が劣悪ならば、仕事を辞めて新たな人生を見出すのも一つの手段となります。「でも会社はいつも人手不足を理由に辞めさせてくれない」、「人手不足だから、と上司はいつもはぐらかす」と困っている人も多く見受けられます。

しかし、従業員は労働基準法や民放で手厚く守られていますし、「人手不足」というのは単なる会社の企業努力が足りていないだけ。人手不足を理由に挙げて仕事を辞めさせてくれないのは、会社側の勝手な都合であって、従業員を束縛する理由には到底なり得ません。

「人手不足を理由で仕事を辞めさせたくない」会社側の立場を解説

「人手不足を理由で仕事を辞めさせたくない」会社側の立場を解説

人手不足を理由で仕事を辞めさせてくれないケースは、実は零細中小企業を中心にたくさん見られます。一般的に企業が求人を募集する場合は、リクナビのような転職サイトに登録するのが現代の普通ですが、零細中小の多くは有名どころのサイトに登録する経費がありません。そのため、こういった企業は最低限の人数で経営しているため、一人でも欠けると生産性が落ちてしまいます。

もちろん、ブラック体質のある企業には変わりありませんので、新聞の折り込みやハローワークで募集をかけてもろくに人は集まりませんし、仮に人材を確保できても、すぐに辞められるのが関の山。

上司が優しいと、仕事を辞められなくなる?

しかし、多くの人が上司と話すこと自体が気まずかったり、辞めた後の転職活動のことが不安で行動できなくなっているのが現状です。また、「ごめん、今本当に人手不足だから、もう少し待ってくれない」と変に下にでられたら、「しょうがないな」となあなあで働き続けてしまい、きっかけを失って辞められなくなってしまうパターンも少なくありません。

人手不足を理由に仕事を辞めさせてくれない会社。これは違法じゃないの?

人手不足を理由に退職を拒む会社。これは違法じゃないの?

人手不足を理由に仕事を辞められないんだけど、これって会社側は違法じゃないの?という問いですが、結果からいうと「違法」です。

人手不足だけではなく、いかなる理由があっても、会社側は従業員の退職を引き留めることはできません。これは法律ではなく、その上の憲法で定められています。昨今はブラック起業の増加から、下記憲法の職業選択の自由を「退職の自由」などと表現したりもしますね。もちろん会社の就業規則は無視することができます。

何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

日本国憲法第22条第1項

さらに法律においても、基本的に従業員の労働に関しては民法によって守られているため、下記法律を理由に、従業員は辞めたいときに退職することができます。「退職2週間の法則」などと呼ぶこともありますね。

民法627条
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。

民法電子版(総務省)

民放第627上では、一般的には社員と呼ばれる期間の定めがない契約の場合、いつでも解約の申し入れをすることができるとされています。この場合、雇用は解約申し入れ日から2週間を経過すれば終了します。

ちなみに、解約の申し入れは退職届となりますが、会社が退職届を受理してくれなかったり、上司に渡しても後ほど「そんなもの知らない」と言われる可能性もあります。そのため、メールや配達証明、特定記録等を用いて退職届を送付すれば、法的にも会社側は受け取っていないとは言えなくなります。

人手不足のせいで仕事を辞めさせてくれない。どうすればいい?

人手不足のせいで仕事を辞めさせてくれない。どうすればいい?

人手不足のせいで仕事を辞めさせてくれない場合、どうすれば簡単に退職することができるのでしょうか。

① 法律を盾に退職届を提出して翌日から出勤しない

労働法では従業員は退職届を出した2週間後に仕事を辞めることができます。仮に会社側が「人手不足だから」と出勤を強要して辞められない状況であっても、会社の都合に関係なく従業員は独断で辞めることができます。しかし、この方法を使う場合、「離職票などを会社が送ってくれないことがある」、「有給消化や残業代の申請ができない」、「退職金が支払われない」、「今月分の給料・給与が振り込まれない」といったデメリットがあります。

② 上司と相談して退職の条件や退職日を設定してもらう

会社を辞められない場合は、上司に正式な会議の場を設けてもらい、人手不足の解決方法や退職の条件、具体的な退職日などを打ち合わせをしましょう。その際は念のためレコーダーで会話の様子を録音することをおすすめします。ただし、上司がパワハラ体質であったり、そもそも会社側が貴方を退職させるつもりがない、なにも対応してくれない場合は、この方法は糠に釘。いつまで経っても仕事を辞めさせてくれないでしょう。

人手不足を理由に会社が退職を拒否・損害賠償請求できる場合はある?

一方で人手不足を理由に会社が従業員の退職を拒否できる場合はあるのでしょうか。日本においては、労働者の権利が強く認められていて、上述したように従業員は退職を伝えた2週間後に労働契約を解除できます。ただし、当該労働法が適用されるのは雇用契約が「無期」の正社員となります。

契約社員のような有期雇用の場合、契約期間中は互いの同意なく契約・業務を破棄することは違法となり、最悪損害賠償を請求されてしまいますが、原則1年以上契約を続けていると、受託者は契約解除をすることができるようになります。

また、一般の労働法が通じない公務員の場合は、上記2週間後の退職は困難となります。しかし、公務員であっても労働者の権利は有していますので、辞めることは可能です。一般的に職場が人手不足の場合は速やかに代わりの人材を見つけなければならなく、代理が見つかるまで公務員は辞めることができない可能性はあります。

しかし、代わりの人材が見つかるまでの妥当な期間は1ヵ月ないし1ヵ月半とされているので、それ以上引き止められるのであれば、違法性が高いと判断されます。

「辞めたら損害賠償を請求する」と訴えられそうに!そんな時の対処法

「辞めたら損害賠償を請求する」と訴えられそうに!そんな時の対処法

もし会社がブラック体質であれば、こちらが無理に辞めようとすると「もし仕事を辞めたら、会社は損失を被る。だから損害賠償を請求するぞ」と不当に訴える姿勢を示して従業員を脅す会社もあります。これは会社側はが自分たちが従業員に違法な強制労働を強いていることに気付いていない、あるいは単なる嫌がらせです。

上述したように、日本の法律ではいかなる理由でも会社側が従業員の退職を引き止めることはできません。人手不足を理由に仕事を辞めさせないのは、明らかな法律違反であり、損害賠償を請求するどころか、こちらがパワハラで訴えて慰謝料を逆に請求することも可能なほどです(少し大げさですが)。

しかし、法の知識のない一般の方がこのように会社側から脅されたら怖いですよね。そんなときの対処法は2つ。「1つは相手にしない」こと。もちろん会社側は実際損害賠償など請求することはできませんし、そもそもまだ辞めていない当人の退職と損害賠償の因果関係を示すことなどできません。しかし、相手にしないで無視するのはおすすめできません。万が一裁判沙汰になった立場が逆転する可能性もあるので、法に則った正攻法で迅速に対応するのが良いでしょう。

辞められない理由の事例を紹介。出向先から賠償金を請求される?

仕事を辞めたいけれど、辞められない理由に、「自分の勤めている会社から賠償金を請求されている」というケースもあります。広義での人手不足ですが、IT業界に多いトラブルとなります。自分が辞めたせいで出向先からクレームが来て、代替えもできずに違約金や賠償金払うことになり、その赤字分を辞めた従業員に支払わせる、というものです。

時折聞く事案ですが、当然これは違法。辞める従業員に過失や支払い義務はありませんし、会社側が何も対策を講じていなかった全責任がありますので、これが理由で辞められないというのは、明らかに違法となります。

良いように利用されているだけかも。「人手不足」の本音を探ろう

まずは人手不足の原因を考えてみるのはいかがでしょうか。人手不足を理由に仕事を辞めることができないのであれば、まず会社側に人を雇う意思があるのかどうか。人手不足を解消する予算があるのかどうかが重要となってきます。そもそも今の人員で仕事を回すことしか考えていなかったり、人件費の削減しか考えにない会社は、どんなに上司が優しく、パワハラとは無縁の人であっても、会社自体がブラック企業に片足を突っ込んでいると言わざるを得ません。

それを「会社の人にはお世話になったから」と退職を言い出せないのは、自分自身に対する甘えかもしれませんよ。

まずは会社の上層部が今の社員が置かれている状況と環境を知っているのかどうか、そして改善する予定はあるのかどうかを探ってみてはいかがでしょうか。

会社が人手不足で辞めさせてくれない場合はどこに相談をする?

会社が人手不足で辞めさせてくれない場合はどこに相談をする?

会社が人手不足で辞めさせてくれない場合はまずは下記でご紹介する場所に相談をしてみてはいかがでしょうか。ただし、いずれも相談はできるものの、自分の求めている答えややるべきアクションが見つかるかは分かりません。

そのため、1つの場所にとらわれるのではなく、あらゆる方法を用いて辞めることを考えるといいでしょう。

労働基準監督署は人手不足が理由で辞められない場合は助けてくれない

労働基準監督署は人手不足が理由で辞められない場合は助けてくれない

従業員の駆け込み寺の1つとして労働基準監督署があります。こちらは厚生労働省の出先機関となり、違法性のある会社の是正勧告(指導)をする機関となります。

しかし、上記のような人手不足が原因でなかなか会社を辞められない場合は、仮に労働基準監督署に相談しても、助けてくれることはありません。

労働基準監督署ができることと弱み

労働基準監督署は、会社の脱税など重大な法律違反を犯している場合でしかなかなか動いてはくれません。パワハラやセクハラはもちろん、人手不足が理由で会社を辞められない、という案件に対しては取り合ってくれないことがほとんどです。

なぜなら、上述したように法律上会社側が従業員の退職を引き止める権限はありませんので、従業員は好きなときに辞めることができます。

それができないというのは、本人の気持ちや覚悟の問題であることから、法律的な解決方法を労働基準監督署は提示してくれません。

転職エージェントに相談すれば人手不足でも辞められる?

転職エージェントに相談すれば人手不足でも辞められる?

自分の勤務先を紹介してもらった転職エージェントに辞められない相談をすれば、彼らが何とかしてくれるのでしょうか。基本的に転職エージェントは斡旋先から従業員を紹介することによって売上を得ているので、退職の相談はできても、彼らが会社側に連絡をとって何かをしてくれることはまずありません。

転職エージェントは労働法のプロではありませんので、人手不足で辞めたいけど辞められない、と相談しても「なんで?辞めちゃえばいいじゃん」や「最低3年は頑張ってみませんか?」と自分の置かれている状況を鑑みたアドバイスは期待できません。

人手不足で仕事を辞めさせてくれない。そんな時は安心の退職代行を利用

人手不足で仕事を辞めさせてくれない。そんな時は退職代行を

それでも人手不足で仕事を辞めさせてくれないで途方に暮れている。会社側との解決の糸口がまるで見えてこない場合、本当に確実かつ1日でも早く退職を希望しているならば、退職代行を利用するのも1つの有効な手段となります。

退職代行を弁護士に依頼すると、お金を支払った翌日には会社側に電話してくれて、弁護士がしっかりと交渉してくれるのでスムーズな退職の手続きが可能です。零細中小企業には顧問弁護士もいないですし、そもそも退職をさせないこと自体が違法となるので、企業側もほぼすべてこちらの要求を受け入れるのが一般的です。残業代、退職金、有給休暇の取得など、あらゆるお金も同時に請求しましょう。これは労働者の権利となりますので、躊躇する必要はありません。
※残業代の請求は証拠が必要となります。

また、退職代行サービスを利用すれば、引き継ぎの書類は自宅から郵送できるほか、離職票なども送ってもらうよう会社側に依頼してくれるので、退職日までの期間中は自宅療養が可能です。

弁護士と労働組合運営の退職代行業者はどちらがおすすめ

弁護士と労働組合運営の退職代行業者はどちらがおすすめ

退職代行業者の中には、労働組合に加入している業者もあります。これは法律と金銭を伴う交渉が通常の民間業者では困難のため、苦肉の策として労働組合に加入し、なんとかグレーを脱しようしている様子がうかがえます。

確かに労働組合に加盟していて、しっかりと実態の伴う運営をしていれば金銭の伴う交渉をすることができますが、それでも弁護士と比べると絶対的に“経験”が足りません。第一、一般企業に勤める普通のサラリーマンが法律を盾に会社に退職の手続きや未払いの残業代や有給休暇の請求をするのは、非常にリスクが高い行為となるため、依頼には細心の注意が必要です。

一般企業の退職代行サービスは法律違反?円満退職できないケースもある

一般企業の退職代行サービスは法律違反?円満退職できないケースもある

何かトラブルが発生して辞められない事態に陥った際は、業者は「すみません、失敗したので返金します」といって撤退するだけで、後に残された自分をフォローしてくれる人はいなくなります。そのため、退職代行を使うのであれば、失敗のない弁護士に依頼することを強くお勧めします。

また、退職代行業者の中には「弁護士監修」というPRをしている企業もありますが、弁護士がアドバイザーになっているだけで、実際に弁護士が対応してくれるわけではないことも覚えておいてください。

近年は弁護士法人の中でも「LINE相談無料」、「転職サポートあり」といった民間業者の優良サービスを積極的に取り入れている事務所もありますので、一度無料相談してみるのも良いでしょう。

退職後に転職サポートを受けられる業者を選ぼう

また、退職後に転職サポートを受けられるのも大切。リクナビやマイナビといった大手の転職エージェントに登録するだけではなく、退職代行業者が直接企業と提携して人材紹介をしている場合、間違いなくホワイト企業に就職できますよね。

最近は労働問題の専門家「弁護士法人みやび」の転職サポートが注目されています。弁護士であるにも関わらず、退職後の依頼者の就職先もサポートしてくれると評判です。

弁護士法人「みやび」は東京に本社を置き退職代行サービスを提供している法律事務所です。

「無料LINE相談」、「即日対応可」、「転職サポート」、「残業代・退職金・慰謝料各種請求」に対応。退職代行の利用は基本料金5万5000円(税込み)と一般企業並みの安さも特徴。

>>弁護士法人みやびの公式HPへ

まとめ:人手不足が理由で会社が仕事を辞めさせてくれないときは退職の意思を持って対応を

人手不足が理由で仕事を辞めさせてくれないときは冷静に対応を

人手不足が理由で仕事を辞めさせてくれないケースでは、分があるのはこちらとなります。相手は違法労働を従業員に強いていますし、法律で仕事をやめさせないのは違法となります。ただし、自分個人の力ではなかなか会社という企業体に立ち向かうのは困難です。退職代行はそんなときの隠し玉として覚えておきましょう。

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